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アゼルバイジャンのエコシティー計画

カテゴリーをプロジェクトにすべきか、環境にすべきか、悩ましいのですが、規模から行ってプロジェクトだろうということで。

アゼルバイジャンといっても直ぐに場所が思い浮かべられる人は少ないと思います。
カフカス山脈の南、カスピ海の西南に位置し、ソ連解体後にアゼルバイジャン共和国となりました。首都はバクー、バクーといえば油田、さらに首都バクー、グルジアのトビリシ、トルコのジェイハンを結ぶBTCパイプラインには日本企業も多く資金参加をしています。
天然資源が豊富、地政学的に見てロシアに近くイラン系住民がおり、さらに宗教的にイスラム系住民が多いとなれば政治的に不安定ですし、富の偏在は当たり前みたいな国です。

そのアゼルバイジャンで行われるエコシティーの建設の詳細記事がNCEに出ました。(Carbon neutral island development proposed for Azerbaijan:2月13日)

この金融収縮期に慶喜のよい話、さすが資源リッチな国です。天然ガスや石油が湯水の国ですが、さすがにご時世を反映しカーボンニュートラル(ライフサイクルの中で、二酸化炭素の排出と吸収がプラスマイナスゼロのことを言う:詳しくはEICの環境辞典参照ください)な都市開発をおこなうそうです。
この記事によると、デンマークを本拠とするBIG Architestsがマスタープランを作成し、コンサルタントのRamboll社が参画するもので、カスピ海に浮かぶ(バクーからフェリー)Zira島に100万平米におよぶリゾートと住宅開発を行うものです。世界ではUAEが進めるマスダール、中国のDangton、スペインのRiojaと炭素中立の都市開発が進んでいますが、この計画はリゾート開発の正確が強く、リゾートは人手を加えずにそのままの姿を楽しむを基本とする私としては、リゾート開発を炭素中立で行うというのが、不満です。

それはともかくInhabitatにある完成CGはなかなかのものです。

この島に建設される建物の冷暖房は島を取り巻くカスピ海に繋がるヒートポンプで行われる計画です。昼間はファサードや屋根に計画的に設置された太陽光発電がプールやアクアパークに給電を行う一方、建物に組み込まれた太陽温水パネルがお湯の安定供給を行う予定です。下水や雨水は集められ下水処理場に送られ、そこで浄化され、灌漑用水にリサイクルされますし、固形物はコンポストされ肥料とし島の表土にします。島を持続的に灌漑・施肥することで、最低限の生態学的足跡で(エコロジカルフットプリント・人間活動により消費される資源量を分析・評価する手法のひとつで、人間1人が持続可能な生活を送るのに必要な生産可能な土地面積)常緑樹の生い茂る熱帯の島の状態を可能とするものです。沖合い風力発電ファームによる風力エネルギーを取り入れることで、Zira島は自前の炭素中立電力が得られるとされています。

飲料水は海水浄化施設を建設して給水するとありますが、脱塩施設は大量のエネルギーが必要となりまた廃熱量も大きいことから、これまで含めたカーボンニュートラルなのだろうか?
その前にどの記事をみても工事費用や予算額、資金調達の方法の記述が無いのですが、この計画は本当に進むのだろうか?

by fukimison | 2009-02-16 11:04 | プロジェクト  

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