チェルシー再開発の論争

昨日に続きチェルシー再開発におけるチャールズ皇太子の干渉についてです。

昨日は19日付けのTimes紙にのった著名建築家の意見広告についてお知らせしましたが、Times紙を良く見ると同じ日のeditorial section(論説欄)にA Prince who just happens to be rightという皇太子を擁護する記事があり、両者をお知らせしなければ公平さを欠くと思いご案内します。

記事は出だしから「Prince of Walesは建築に関する論争について素人ではないし、長年にわたり血みどろの戦いを行ってきた。しかし皇太子は常にその立場を注意深く選んできたし、対立はほどんど無かった。」と皇太子に好意的です。

記事は皇太子が異議を唱えた過去の例(1984年のナショナルギャラリーの拡張やセントポール寺院ぞいのPaternoster開発)を紹介し、彼の立場や影響力からこれらの事例は勝ったものの、最近では従来の住宅設計による開発を支援するPrince's Foundationに力を注ぎ、建築に関しては「目立った活動」を行ってこなかったと伝えています。

しかし第3パラグラフで「だからこそ、チェルシーバラック計画への干渉は意味深い」とし、皇太子の干渉に腹を立てた著名建築家の意見広告について「建築家はチェルシー再開発を今後5年間でロンドンで建築される住宅プロジェクトで最も重要なものの1つへとしいるが、このような国際的に著名な建築家が一緒になって、皇太子が立場を利用して介入したと糾弾したことはかつてなかった」とその反応の大きさを伝えています。

この意見広告に名前を連ねた建築家の代表作をしめしたあと、論説者は「しかし彼らとて完全無欠ではない。ロジャー卿はヒースローのぱっとしない第5ターミナルを、フォスター卿はバーミンガムの不体裁な水族館や前の市長がガラスの睾丸と評したロンドン塔の向かい側にある市長執務室を設計してる」とし、さらに「これらすべての開発業者がパッとしない醜い建物を急造しているように、建築家の判断力に疑問がある。地元民は計画プロセスに少ししか影響を与えられないと不満をいい、また計画プロセス自体もしばしば不透明だ。と完全に皇太子のサイドにたった論説を繰り広げています。

極めつけはこのパラグラフの最後で「貪欲な開発業者や古典的な設計を軽蔑する傲慢な建築支配者集団に対し、時には彼らに立ち向かう影響力の強い意見が必要だ。これが皇太子の意見が普及し、レーン(セントポール寺院の設計者)のライバルによるロンドンの開発が終わる機会となるように」という論説というより筆者の願望で終わっています。

プロセス違反を申し立てる建築家と景観論争をしかける論説者、同じ日の新聞に両者が載ることでバランスをとっている新聞、いろいろな面から日本とは違った社会が見えます。
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by fukimison | 2009-04-22 12:34 | 景観  

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