建設と景観、ザハ・ハディッドの場合

何度もお伝えしてきたチェルシー再開発のケースは、チャールズ皇太子の行動に光があたることで、その背景にある景観を問いたいのだか問えないというジレンマが透けて見えるものでした。

そして本日お伝えする記事はスペインで起きた景観事件です。英国以外の国々の状況が少しはわかることを期待しての情報です。

これは6月25日付けのBuilding誌に載ったSeville residents halt Zaha Hadid libraryという記事です。

まずザハ・ハディッド(Zaha Hadid)の紹介から。彼女はバグダッド出身で英国を代表する女性建築家で脱構造主義の旗手の1人です。また女性ではじめてプリツカー賞を受賞しています。詳しくはwikiをご覧ください。

その彼女がセヴィル(スペイン南部アンダルシア州の州都)でおこなわれる図書館(400万ユーロ)建築の設計をおこなったところ、計画案が地元住民の反対にあい頓挫しているというお話です。

記事によれば、この建設により保護緑地が侵害されるとした住民の申し立てによりアンダルシア高等裁判所は、セヴィル大学の新図書館(3階建て)工事中止を言い渡したとあります。

ハディッド自身はこの図書館を「sculpted bar of stone」と表現しているそうです。
なんとなく、反対運動を呼びそうな建物という気がします。

しかし地元民を激昂させたのは単に設計の質だけでなく、地元民の憩いの場所であるSan Sebastian公園の約8%もを占有することになるからだとあります。

セヴィル議会はこの図書館建設のため都市計画法を変更したのですが、地元住民の訴えにより高裁はこれを覆しています。
(日本でもよくあるパターンですが、裁判所が住民側を支持するというのはまずないですね)

現在議会は新図書館は観光客の誘致に役立ち、また文化的な評判を高めるとして、決定を上訴する計画です。

彼女の作品はちょっと過激なので、コンペで優勝してもなかなか実現(建設)に至りませんし、最近では中国の広州で建設中だったオペラハウスが炎上したと言う事件(Fire hits Zaha Hadid's Guangzhou opera house)もあります。完成していれば中国で始めての彼女の作品となったでしょうし、記憶に新しいコールハース設計のCCTVビルの火災など、著名建築家の設計建造物の火災が多いのが気になります。
[PR]

by fukimison | 2009-06-26 11:20 | 景観  

<< 米、地下鉄事故続報と世界遺産 アメリカの厄日 >>