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ピケンズ氏の巨大風力発電ファーム、計画変更へ

ブーン・ピケンズ、バブル絶頂期に小糸製作所の株主総会に乗り込み、グリーンメーラーという言葉を日本に持ち込んだ人というのが私のイメージですし、wikiをみてもHe was a well-known takeover operatorと書かれているのですが、その反面フィランソロピー活動もいろいろとしており、最近では代替エネルギーの分野でも熱心なようです。もともとが石油や天然ガスで財を成した人(フォーブスの全米ランキングで117位、世界では369位だそうです)ですから、単に環境を考えて代替エネルギー推進とはとても思えません。

7月9日付けのRenewable EnergyのサイトにPickens scraps mega windfarmという記事あり、それによれば2008年にピケンズ氏が発表した1000メガワットの風力発電ファームを建設計画(テキサス州パンパ)が送電線の問題から計画縮小されたそうです。

このニュースはDallas NewsもPickens paring down wind farm projectと題した記事で伝えています。この記事によれば2008年5月、ピケンズ氏のMesa Power LPは1000メガワット発電量となる687基の風力発電タービン(約20億ドル)をGEに発注する計画であり、2014年までにオクラホマからテキサスにかけてのパンハンドル地方で4000メガワットの風力発電ファームを展開すると発表したとあります。

一般に原発1基の発電量が1000メガワットであることから、この規模の大きさがわかると思います。

ところが2008年夏は原油価格が高騰しましたが、それも沈静化し、天然ガスの価格も下がりしたがって発電コストが下落したことから、風力発電への投資インセンティブも縮小し、あまり魅力的とは言えなくなっています。その上Public Utility Commission (公益事業委員会)は50億ドルを投じて、テキサス西部から北部そしてヒューストン地域へ風力発電ファームの送電網を建設する計画ですが、ピケンズ氏のMesa Power LPが予定している風力発電ファームの地域はこれに含まれていないことから、標記のような記事となりました。

ピケンズ氏は既に第1期建設に向け風力発電タービンを発注し、それが2011年第一四半期には到着することから、この18ヶ月のうちにとにかく場所を探し風力発電ファームを建設しなければならない状態に追い込まれました。

いまのところウィスコンシン、オクラホマ、カンザス、テキサスの各州で6カ所ほど候補地があがっており、ここに150基程度の風車を持つ3-4のファームを建設することを検討中だそうです。

天然ガスや石油の輸送用パイプライン建設と送電線建設を比較すると、パイプラインは用地買収、環境保護主義者や環境アセスのクリアが大変そうですが、送電線の方が公益事業という側面からもっと大変そうな感じがします。

by fukimison | 2009-07-10 16:16  

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