ブラジル、ペルーで水力発電プロジェクト実施に向け協議
2009年 08月 11日
久しぶりのエントリーはこれもまっとうなインフラ物の記事紹介です。
8月10日付けNCE誌のBrazil plans hydro plants in Peruからの紹介です。
ペルーとブラジルのエネルギー担当大臣が会談を行い、その結果、ブラジルのEdson Lobao鉱山・エネルギー担当大臣がペルーで水力発電所を建設すると発表しました。その細目ですがまず5カ所の発電所を約130億ドルほどで建設し、2015年から年間計6,000MWの発電を行おうというものです。さらに同大臣はラテンアメリカ諸国は全部で15箇所の水力発電所を建設することを検討中だと付言したとあります。
これらの発電所は15,000MWの発電を行うと見積もられており、そのうちの80%はブラジルへ送電され、残りの20%がペルーで利用される予定だと報じられています。
工業化・総中産階級化をめざす発展途上国にとり費用がかかり環境にも問題の多いディーゼル発電を極力削減し、安定供給の行える水力へ移行するのは理解できる話です。でもアンデスを越えての送電網というのは建設・維持管理・送電ロスなど大丈夫なのでしょうか?
最終的には電力も地産地消だと思うのですけどね。
南米で水力発電所建設のニュースが流れる裏側ではトルコとロシアがパイプラインプロジェクト調印を行っています。8月7日付けNCE誌Turkey backs Russian pipeline project
この記事もなかなか奥が深く、まずEU諸国がトルコからオーストリアまで天然ガスパイプライン建設を模索始めた2002年に遡ります。この時のパートナー諸国(オーストリー、ハンガリー、ブルガリア、ルーマニア、トルコ)が会合の後、ベルディーのオペラ「ナブッコ」を見に行ったことからナブッコプロジェクトと名付けられたという逸話があります。ロシアへのエネルギー依存を低めるためのプロジェクトであり、ECがフィージビリティー調査費用の50%を負担するなどしてプロジェクトは始動を始めました。詳しくはNabucco Gas Pipeline Projectをご参照ください。
そこでやっと8月7日の記事にたどり着くのですが、South Stream pipelineはこのナブッコパイプラインに対抗するもので、ロシアからブルガリアに向け走るパイプラインは黒海においてトルコの領海内に敷設されます。調印式に臨んだロシアのプーチン首相はEUが後押しするナブッコプロジェクトに対抗するものだが、両計画は共存がか可能だと語っています。
水とエネルギー、究極のインフラです
by fukimison | 2009-08-11 10:37 | プロジェクト