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英、ウォータールータワー開発却下

日本では画期的勝訴といわれた景観利益を巡る鞆の浦開発差し止め行政訴訟ですが、広島県と福山市が控訴の意向を固め、さらなる混迷へ向かっています。個人的には25年かかっても建設できないのはそれだけの理由があるわけで、道路を作ったからといって若者が地元に戻ってくることに繋がらない。それよりも上高地やスイスで行われているように鞆町の外にバイパス道とP&R施設を作り、観光客の車は鞆町にいれない。狭い道路は車が入れないから不便だというけど、車が入らないから自動車事故は起こらない、排気ガスもでない、コミュニティーが残るし生まれるとプラス思考で取り組んだほうが建設的に思えます。

そんなこんなで本日のご紹介記事は景観利益確保で随分と先を進む欧州・英国の話題です。

10月12日付けのArchitects'Journal誌はSecretary of State blocks Allies and Morrison's £1bn Waterloo Towersと題してコミュニティー・地方政府大臣のジョン・デナム氏がウォータールー駅の隣の再開発計画を却下したことを伝えています。

この計画(Elizabeth House)はロンドンのSouth Bank、ウォータール駅の隣にAllies and Morrison、P&O や Morgan Stanley Real Estateが再開発を押し進めているもので、オフィス棟(2)と住宅棟(1)(それぞれ22、27、39階建て)を建設するもので、すでにLambeth区議会は開発許可を出しています。

しかしカナリーワーフなどで超高層ビル建設による再開発を押し進めたリビングストン前市長を破り現在ロンドン市長の座にあるジョンソン氏は、この再開発計画に反対していました。これについて1年前の2008年10月28日付けAJ誌はAllies and Morrison braces itself for Three Sisters decisionというタイトルで「7月にElizabeth House(10億ポンド)は容認できないと発言していたジョンソン市長だが、最近は少し風向きが変わってきた。しかしイングリッシュヘリテージや隣接区のWestminster区議会が、世界遺産指定を受けているWestminster World Heritage Siteに多大の影響を与えるとして大反対(call in:強制介入)をしていることから、設計のMorrisonは楽観できないとしている」といった記事を掲載しています。

しかしコミュニティー・地方政府大臣のジョン・デナム氏の決定は2009年4月の公聴会を受けてのものであり、記事には計画官のコメントを受け、それに同意するものだとあります。その内容はなかなか厳しく、「計画の成功は、建物の外見、個々の建物の関係性とそれらが与える周囲への影響によって非常に難しいものになるだろう。住宅ブロックもオフィスタワー2棟も、高層建築の成功に欠かせないバランスのとれた彫刻的なエレガントな品質に欠けている。計画建物を個別に見ても期待される品格に欠け、全体としてみても設計における欠陥の大きさはスカイライン、重要な眺望、および歴史資産に対する影響に関する広範囲に渡る懸念を強調するものとなろう」とあり、ここまで言う英国行政って、すごい。

by fukimison | 2009-10-13 12:12 | 景観  

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