英国、悪天候による工事遅延で賠償?

この年末年始、欧州は寒波が襲い、気温差が牽引となった不具合でドーバー海峡トンネルで列車が18時間も閉じ込められたとか、大雪に襲われた英国で財政難の自治体が除雪を主要道路に限るとしたことに対する非難Freezing weather grips cash strapped transportが1月7日付けのNCE誌に登場しました。

今年の寒波は衰えることなく、つい最近も東欧で零下35度を記録したと言う報道が流れています。

凍結防止や滑り止めのグリッツ(砂と岩塩のミックス)が供給不足だという記事に続いて現れたのが、この悪天候で発生した交通渋滞や工事の遅れは賠償対象となるのか?という問題です。

日本ではまだお目にかかりませんが、欧米では企業コンソーシアムに道路の建設、その後の管理、一定収益を上げた後は地元自治体に道路を譲渡するというBOT方式をとる場合があります。この管理期間も単に点検補修的な維持管理ではなく、交通渋滞はどの程度なら認められる、悪天候で道路封鎖をした場合でも一定時間で開通するなどの条件が付けられます。

そこで今回の大雪で英国の建設業者は大変というのが1月27日付けNCE誌が報じたLegal disputes over lost construction time increase after cold snapという記事です。

今回の大雪は英建設業界に約10億ポント相当゙の作業の遅れをもたらし、これに関連した紛争で大手法律事務所には建設請負業者からの問い合わせが曳きもきらずだと言うことです。記事は「悪天候は正当な理由にならず、これによる作業の遅れを正当化するのは難しいと警告を発している」とあります。

悪天候、請負業者には悩ましいことでしょう。作業員の衛生・保安上を考えれば、なるべく中止にしたい。もし事故が起きれば作業員や監督官庁と場合によっては長い法廷闘争が待っています。一方で完工日が決まっている場合、クライアントとどう交渉するのか?特に12月14日にお伝えしたハドソン川トンネル工事のように、完成日より1日早く工事が終われば1日5万ドルのインセンティブが支払われる。しかし1日遅れれば、やはり1日5万ドルの違約金を支払わなければならない。

記事も「契約に例外的な天候という条項があるが、予算がきつい社会状況でクライアントは例外的な天候を適用するのにそう簡単に納得しないだろう。一部のクライアントは大雪を工事遅延の口実に使う請け負い業者がでると予想しているだろう。この場合、悪天候の影響を証明する正確な記録が大変必要だ。これに加え常に請け負い業者・下請け業者と良い関係を築く、常識的な対応をして信頼関係を傷つけないのが法定闘争による莫大な弁護士費用を逃れる一番の方法」とあります。

この業界に詳しい人は作業量が3%から6%低くなることで、この悪天候は英国建設業界にとり4億ポンドから9億ポンドの損失となるだろうとしているそうです。
[PR]

by fukimison | 2010-01-28 15:10 | つれづれ  

<< ドバイ、カタール、中東いろいろ 英国、Earls Court取... >>