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ブラジル、アマゾンダム建設か?

いろいろとチェックしているのですが見落とす情報もあり、これもその典型でしょう。

2月1日のロイター伝です。Huge hydroelectric dam approved in Brazil's Amazonによれば、ブラジルの環境大臣はブラジル政府は論争の的になっているアマゾンの熱帯雨林に建設予定の水力発電ダムに環境許可(environmental license)を与えたと発表したそうです。

このダムプロジェクトは電力不足解消を目指し、北部パラ州を流れるジングー川(Xingu River)に170億ドルを投じてベロモンテ水力発電ダム(11,000メガワット)を建設するものです。しかしダムにより立ち退きを余儀なくされるインディオや生態系への影響を懸念する人々は建設反対を主張しています。

ダム湖となる面積は250平方kmと日本の常識とかけ離れた数字で、反対が起きるのは当然でしょう。
ベルモンテプロジェクトはアマゾン地域で耕作される農産物を輸送するための水路建設も計画に入れており、環境保護団体はダム湖により繊細なエコシステムが破壊され、一部の魚種を脅かすとしています。

2月2日付けのTimes Onlineの記事Fury as Amazon rainforest dam approved by Brazilはもっと批判的で、90年代に始まったものの、インディオ、環境保護団体やロックスターのスティングによる内外での大反対キャンペーンにより20年も中断されていたダムプロジェクトが承認されたと伝えています。

完成すれば世界第3位の規模のダム(1位は中国の山峡ダム、2位がブラジルとパラグアイの国境にあるイタイプダム)で2300万世帯に電力を提供するものとなるそうです。

この記事の微妙な点はenvironmental licenseを承認というところで、建設許可とか入札という文字が出てこないところです。ただ、建設する企業は転居を余儀なくされる約12000人の再定住や影響を軽減するため8億300万ドルを支出することが求められるだろうとあるあたりでしょう。

Timesの記事はこのプロジェクトを巡り、2009年11月環境省の上級官僚が2人辞任に追い込まれたこと、乾季の3-4ヶ月間は発電量が大変落ちると予測されること、省エネに投資することで今後20年に40%の電力需要カットが可能であり、それは190億ドルの節約になるという試算があることなどを記しています。

こういうメガプロジェクトはもう流行らない時代になったのかなぁです。

by fukimison | 2010-02-05 22:30 | プロジェクト  

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