エンパイア・ステートビルの景観を脅かす高層ビル計画

このところ米国関係の記事はメキシコ湾の石油流出事故関連ばかりでしたが、本日は景観系、しかもニューヨークという別格の地の話題です。

エンパイアステートビルから2ブロックばかりの場所に超高層ビルが計画されており、その是非をめぐり紛糾したものの、議会は承認というのがあらすじです。

いろいろなソースでこの件は報道されていますが、とりあえず8月26日付けのKHLから。

New York's 15 Penn Plaza approvedは、「ニューヨーク市議会は、同市の象徴でもあるエンパイアステートビルから2ブロックの地点にVornado Realty Trustが計画中のClarke Pelli設計による15Penn Plazaビル(67階建て・363mビル)を47対1で承認した」と伝えています。

計画ビルはエンパイアより18m低いだけであり、開発業者は「ニューヨークのスカイラインに素晴しいビルが加わる」と絶賛していますが、エンパイア側は「計画ビルはその高さやデザインがエンパイアに接近しすぎている」と反対を表明してましたが、ニューヨーク市長のブルンバーグ氏は計画に賛成していたことから47対1になったのでしょう。

この計画について8月26日付けWorld Architecture NewsはManhattan's iconic skyline at riskとして報じています。こちらのパースで見る限り、美しいとはちょっと言い難い。記事中に「6000の職と1500万ドルの交通改善を同市にもたらすと約束」とあるあたりが鍵でしょうし、大型ビル建設が景気に与える影響を是とする判断が大勢を占めたのでしょう。

しかし記事にあるこの部分、「エンパイアビル側が実施した調査は新タワーに肩入れする人の85%が同ビルはスカイラインを脅かし、うち39%がビルのインパクトを軽くするためストリートレベルでのセットバックを求めている。ニューヨークのスカイラインに関する論争はデザインメリットと市のイメージを形作るビルの役割に関し疑問を投げかけている」は議会は建設メリットだけを見ていると言いたいようです。

いろいろな特例を利用し、ゾーニングよりも50%容積率が大きい計画を承認した議会、ペン駅周辺は昼間は人でごった返していますが、夜は閑散としたものになります。そこへ新たなオフィスビルは混雑を増し、しかし住民がいないことで町としては機能が衰えたものになる。

複合開発といいますが、オフィスと商店だけでなく、人が住む、また住める場所に誘導しないと最終的につまらないことになるというのは過去の例から明らか。
[PR]

by fukimison | 2010-08-27 11:12 | 景観  

<< ブラジル、Belo Monte... 北欧の不動産事情 >>