ベニス、修復費用捻出方法を巡り論争

昨日のハンガリーでの事故写真、赤土色の泥流が覆った写真、なかなかすごいです。

本日もまずは9月18日付けNew York Timesに出た写真をご覧いただきたいです。(こういうのが写真のツヨミですねぇ)

記事のタイトルはBehind Venice’s Ads, the Restoration of Its Heritageで、ベニスで行われている歴史的建造物修復作業を行う際の防水シートに広告を載せることで、修復費用の捻出を行うという方法が論議を呼んでいるという記事。

これだけだと良さそうに思えますが、広告とそれを取り巻く景観の不一致ははなはだしい。しかも修復費用が充分に捻出できるなら兎も角、ぜんぜん足りない(広告費用として安すぎるという声もある)のでは議論が起きるのは納得です。

Art Newspaper10月号にも同様の記事Ads of Sighsが掲載されており、こちらによると「2008年からこうのような巨大広告がベニスに出現するようになり、サンマルコ広場や大運河沿いの建物に巨大アドボードを出す費用は(3年契約で月約40,000ユーロと思ったほど高くない」とあります。40,000ユーロは、日刊紙に2ページ広告を打つより安いし、必要な修復費用は280万ユーロであり、広告からお金を得てもまだ60万ユーロ足りないのだそうです。

市議会や建造物監督署(これらの広告の許可権を持っている)は、アドリア海とラグーンを隔てる防潮提建設(モーゼ計画・春の高潮でベニスが浸水し歴史的建造物に被害が及ぶのを防ぐ・2014年完成予定)に公的資金が費やされているため、建造物修復にまわせる費用が大変少なく、この方法だけが費用捻出方法だと強固に主張しているとあります。

しかしこれらの広告が夜ライトアップされるようになり、四六時中これらの広告が目を射るようになったとあります。この方法に批判的な者の声はもっと高くなり「1966年の大洪水の時、ベニスどころかイタリア全体ももっと貧しかったが、こんな方法を取らなくても修復は出来た。ほかの方法を考えるべきだし、世界遺産に登録されたベニスを守る義務がイタリアにはある」としています。

世界遺産に登録される、これは義務を伴うもので、その良い例がエルベ川渓谷の剥奪でしょう。これは架橋計画が実施された場合、剥奪するとユネスコは警告を出していたのですが、利便性か称号かで数度住民投票を行い、架橋を選んだという背景があります。

さて、ベニスはどうなるのか?です。
世界遺産に登録することに熱心で、その後の保全(こちらの方が重要であり大変)に目が届かないことの多い日本、ベニスの事例研究重要でしょう。
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by fukimison | 2010-10-07 16:51 | 景観  

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