ロシア、インフラ近代化政策と建設企業の株式公開

米グリーンビル協会が集団訴訟に巻き込まれたり、英キャメロン首相がSpending Review(予算見直し)の後、英国産業連盟(Confederation of British Industry)で「今後4年間に300億ポンド(341億ユーロ)を交通プロジェクトに投資し、さらにエネルギーやテレコミュニケーションに注目した2000億ポンド(2270億ユーロ)のインフラ計画」についてスピーチを行ったことなど、いろいろと話題はあるのですが、これらはどこか他でも伝えられていることなので、マイナーな扱いであっても合わせて考えるとちょっと気になる話題を選んで見ました。

まず少し古いのですが、10月5日付けKHLの記事にRussian infrastructure modernisationというのがあり、記事は「ロシアの橋梁・建設企業連盟であるAMODST Foundationによれば、現在ロシアの交通インフラ市場は国内の全建設産業の約15%を占めており、2009年において全建設市場が16%近く減少したにもかかわらず、交通市場は5%程も伸びを見せた」で始まります。

さらに記事は「AMOSTはロシアの交通システム近代化を目指す連邦交通プログラム(Federal Transport Programme:FTP)は2009年に4740億ルーブル(1130億ユーロ)を道路・橋梁市場に投じた」(この額はVATは含まれるもののR&Dは含まれないと但し書きがあるのがすごいです)
「このうち60%が新規建築、40%が補修と維持管理に費やされ、連邦道路の建設・復興における最大の投資先はモスクワ、モスクワ地域およびモスクワの北東250kmのYaroslavlであった」

道路以外でも「FTPは全鉄道市場は約1350億ルーブル(320億ユーロ)相当であり、うち約50%は非インフラ関連支出に、約12%が橋梁建設に直接関係する費用に費やされたと見積もっている」という記述や「ソチ・オリンピック会場、2012年にウラジオストックで行われるAPEC、2013年にユニバーシアードが開催されるKazanにおいてもFTPが実施されている」とあります。しかしAPECがロシアで開催されるとは!Asia-Pacificの概念はどこまで広がるのだろう?地域ではなく関係者とするのなら全世界となり、他の会議との差別化はどうなるのだろう?

記事の最後に「これらに加え、ロシアで多くの官民パートナーシップが実施されている。その中には鉄道建設(Naryn-Lugokan 及び Ulak-Elga ), 道路建設(連邦幹線道路 M-1,ベラルーシ モスクワ-ミンスクBelarus Moscow-Minsk), および空港の建設と近代化(サンクトペテルブルグのPulkovo空港) 」とあり、意欲が伺えます。

しかしオイルリッチ、ミネラルリッチのロシアですが、経済に関しては一筋縄ではいかない政治・経済状態にあるけど、どうなんでしょう?と思っていたところ出てきたのが10月25日のKHLに掲載されたMostotrest launches international share offeringの記事です。

MostotrestのIPOに関しては10月20日にMorningstar紙もMostotrest May Raise Up To $496 Million In Moscowとして紹介しています。

この記事によれば「ロシアの道路・橋梁建設企業であり、2014年のソチオリンピックで主要請負業者を務めるMostotrestは、1株あたり6.25-8.00ドルで6200万株を売却し、株式公開により4億9600万ドルの調達を予定している」そうです。

またKHL誌にも「Mostotrest社はロシアインフラ市場で7.8%のシェアを占め、ロシア最大の橋梁技術企業であり、6月30日時点での受注残は2010億ルーブル(66億ドル)、でそのポートフォリオにはモスクワ第4環状道路、M-10有料道路(モスクワ・サンクト)の複数区間、2014年ソチオリンピクでの各種プロジェクトがある」と報じています。

インフラによる景気刺激、投資の呼び込みは古典的手法ですが、日本や欧州の人口分布と経済の係りを見ていると、つくづく人口増の時に必要なインフラ投資の費用をどのように償却し、人口が減り始めた時にどのように維持管理費を捻出していくのかのバランスが重要なのだナァと感じます。

誤解を恐れずに言えば、日本もそろそろ維持管理するインフラとしないインフラの切り分けを、国民レベルで議論し始める時期ではと思います。
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by fukimison | 2010-10-26 13:05 | 動向  

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