NY-NJ Rail Tunnel建設計画中止を巡って

予想通りというかオバマ民主党が破れ、米国も上院と下院で過半数が他政党という「ねじれ議会」になりました。英国の連立政権といったことを考えると、グローバル時代において二大政党制はある意味差別化がし難く、大同小異、是々非々に鳴っていかざるを得ないのかもしれない。しかし、民度を反映する民主政治は難しい。

そこで本日はハドソン川の川底にトンネルを掘り、NYCとNJを結ぶNY-NJ Rail Tunnelについての記事を紹介することにしました。

まず2年近く前の2009年1月にNJ-OnlineはN.Y.-N.J. rail tunnel receives final federal approvalとして連邦政府がハドソン川の下を通る2番目の通勤路線の建設プロジェクトを承認したと伝えています。

資金ですが、「NYの港湾局とNJの交通局、NJ州政府は既に57億ドルを用意しており、この連邦政府の承認によりこれら基幹が30億ドルの連邦政府供与の申請が可能となった」と伝えています。

現在NJ・マンハッタン間の移動手段は車で慢性的に混雑しているジョージワシントンブリッジ、リンカーントンネルかホランドトンネルと渡る、PATHといわれる地下鉄に乗る、ないしはフェリーで渡るの方法がありますが、パーク&ライドタイプのフェリーはNJ側に行ってから車がないとどうしようもなくなります。

そこでこの悲願の第二の鉄道トンネル建設計画が登場というわけで、関係者の言として「100年前の鉄道は1日あたり170,000人の通勤者が利用しており、もう限界であり、新しい鉄道が完成されれば現在1時間あたり27本の列車が48本に増強される」と伝えています。

さらに「建設関連で2017年の完成時までに4万から5万の雇用が生まれ、他の橋やトンネルを利用する自動車が1日あたり22000台減ることで大気汚染や渋滞が減る」と良いことずくめの報道です。

あれから時間が経ち特段の報道がでないので、計画はうまくすすんでいるのかと思ったら、10月6日のCNS NewsはNew Jersey Governor Scraps NJ-NY Railroad Tunnel; Can’t Afford It, He Says として「昨年(2009年)州知事の候補者としてNY-NJ Rail Tunnel プロジェクトを支持していた現NJ知事のChritie氏は、国内最大の交通プロジェクトは費用が大きすぎ、州としてまかない切れないと述べた」と伝えています。

当然のことながら、NJ選出の上院議員で連邦政府の資金供与に向け尽力してきた共和党議員は「NJ史上最大の失策」と酷評しています。

しかし「2005年当時で50億ドルといわれたプロジェクト費用が2008年には87億ドルに、2009年に連邦交通担当官が90億ドルから100億ドルと正式発表し、Chiristie知事のアドバイザーは費用は110億ドルから140億ドルになると述べた」とあることから、知事は中止の判断を下したようです。

是に対し10月30日付けENR誌はChristie Critics Say N.J. Gov Was Penny-wise, Pound-foolish to Kill Tunnelとして「中止を発表した際、NJ知事はNJの州民にとり30億ドルを節約したと述べたが、44,000の雇用が創出されず、22,000台の自動車が道路から減り、30,000ドルほど値上がりしたはずの駅近の住宅の価格が消えた」と報じています。

一方他の都市計画家の言として「NJ地域はトンネルがなくてもうまくやっていくだろうし、数十年前に比べNJはNYCにそれほど雇用で依存していない」と記しています。

眼を引いたのはこの一説「米の老朽化するインフラについて著書のあるLePatner氏は、政治家はどんどん数十億規模の公共工事にコミットすることに慎重になっていると述べた」とあるあたりです。

雇用の創出数も2007年に始まった景気後退前の数字で、信用に価するかどうか?だとあります。
しかし50億ドルの当初予算が倍に膨らんだからとして(連邦助成金までついているのに)きっぱり中止できる知事、すごいものです。
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by fukimison | 2010-11-04 11:47 | プロジェクト  

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