Prince's Foundation、DR路線で新たな批判

景観法があっても、都市マスタープランがあっても、都市計画法があっても、社会全体を巻き込んだ景観論争の起きない日本(誤解を恐れずに言えば、すくなくとも前者2つは理念法であり、余り意味がないとワタシは思っています)それどころか記事にならない。景観・デザインレビューが映画、本、レストラン、と同じぐらいの頻度でメディアに登場し、普通にランチタイムの話題になる日を夢見る今日この頃。

つい2週間ほど前、チャールズ皇太子の財団、cabeのデザインレビューを狙う?というタイトルで、Prince's FoundationのDittmar事務局長が、予算カットとなったcabeの穴を埋めるため、同財団がデザインレビュー役を務める用意があるとした発言を行なったことをお伝えしました。

この声明発表時から賛否両論でしたが、11月26日付けGuardian紙はPrince Charles seeks 'big society' role in shaping UK towns and citiesとして財団の動きについて懸念する報道をしています。

記事は「チャールズ皇太子は政府によるneighbourhood planning system(コミュニティー計画制度とでも言うのでしょうか?)で重要な役割を果たすことで英国の都市へ影響を広げようと図っている。官僚よりも人々の手に渡すことを目的としたキャメロン政権の「bid society」政策の一部である、コミュニティーにどういったものが建設されるべきかについて皇太子の補佐官は政府に助言をおこなっている」と続きます。

このBig Society論ですが、簡単に言えば「政府ではなく個人が意思決定を行う」というもので、ご興味のある方はこちらをご参照ください。日経ビジネスオンライン「英総選挙に米国の近未来を見た

いままでのPlanning Systemからもっと地方への自治権限委譲、住民参加の度合いが強くなった場合、事業者・行政・地域住民の仲介役として入る団体の考えにより、どういった施設が建設され、その形状はどうあるべきか、といった地域の姿は大変影響を受けることでしょう。それで専門家は皇太子が好む伝統で保守的な建築物へコミュニティーが引きずられ、民主的な計画制度に皇太子の影響が濃く出ることを懸念しているとあります。

これへの懸念を表しているのがAlsopの「我々は圧倒的多数の人々がチャールズ皇太子の態度に好感をもっていることを知っている。しかしいかなる芸術や科学と同様に、建築も古いものを守ると同時に新しいもので成長し、興味の対象を追い求めていく。Prince's Foundationの参加により、新規なものは無用になってしまうだろう」というコメントでしょう。

近代建築は技術により可能となった形状というのもありますし、3歩すすんで2歩下がるという回転的進化を思うと、こういう時期もあってまた先に進むという理解でよいのではと、つい外国のことなので言ってしまいます。

しかし、この件を検索した時、ヒットしたものの中にgulf timesに上記のguardian記事を引用したものを見付けました。やはりというか、皇太子の横槍でカタールティアールが計画した30億ポンドの住宅建築計画が1からのやり直しになり、開発事業者と泥沼の法廷闘争に至ったことから、これは見過ごせないということでしょう。
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by fukimison | 2010-12-02 10:32 | 景観  

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