米、史上最大のダム撤去プロジェクト

本日は久しぶりにコアなプロジェクトの紹介です。

5月29日付け米建築専門紙ENRはElwha Dam Removal Project, Largest in US, Starts June 1 as Generators Shut Downとしてダム撤去プロジェクトの開始を伝えています。

Elwhaダム撤去プロジェクトはワシントン州・オリンピック国立公園内を流れるElwah川にかかるダム2つを撤去するもので、記事は「河川の完全修復および鮭の遡上の回復など魚類の生息を議会が求めてから20年近く経ち、きたる6月1日、連邦職員は1913年から稼動している発電施設の火を止め、米史上最大のダム撤去プロジェクトが始動する予定だ」と伝えています。

1913年に稼動を始めたElwhaダム(32m)、その14年後に13km上流に建設され稼動を始めたGlines渓谷ダム(64m)は地元の製紙工場やシアトル市の西130kmにあるPort Angelesの1700世帯に配電を行ってきていたのが撤去されます。地元経済に与える影響を考えると、実現に約20年かかるのは仕方がないという印象を持ちますが、逆にこの20年間の技術的進歩があったから可能になったのではとも感じます。

「今秋から請負業者は3億2470万ドル、工期3年の予定で撤去作業を始め、完成に暁にはElwha川はオリンピック山脈からJuan de Fuca海峡に至るまで、72kmにわたり魚が自由に泳ぎまわれる川となる」のだそうです。

5月29日付けシアトル・タイムズ紙のA-listers invited to Elwha River dam removalは「9月17日に予定されている撤去開始イベントに向け、有名スターによるコンサートを公園管理局は企画している」と伝えています。

ダム撤去と川の再生により3000にまで減った鮭が30万に回復するだろう、河川に居住するネイティブインディアンLower Elwha Klallam族の文化復興を目指すとあります。これは大変けっこうなことですが、洪水防止や製紙工場・地元住民への配電はどのように折り合いをつけていったのかが気になります。

公園局サイト内のFAQによればElwha川再生プロジェクト費用3億4140万ドルに含まれるのは2つのダム水力発電施設の購入費、水処理施設2カ所の建設費、洪水防御施設建設費、魚類孵化・植生再生といった総合コストだそうですし、この2つのダムの発電量はあまり大きくなく、地元製紙工場(なぜか日本製紙)も現在自家発電施設建設中とあります。おそらく地元住民も基幹送電網からの配電を受けられるのでしょう。

総合的に考えて、撤去費用をかけても自然を再生するほうが新たな雇用も生み、長期的に見るとベターという判断なのでしょう。しかしえらいものです。

参考:公園局にある公式Elwha川再生プロジェクト サイト
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by fukimison | 2011-05-31 11:07 | プロジェクト  

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