中国政府、山峡ダムの失敗を認める

これはすごいですね。

山峡ダムは長江の氾濫を抑えるために必要であり、孫文の頃からの悲願といわれた国家プロジェクト。

概要をざっとおさらいしてみると、建設費230億ドル(公称)1993年に着工、2009年に完成。70万kW発電機26台を設置し1,820万kWの発電が可能な世界最大の水力発電ダム。貯水池は約660kmに渡り、移住を余儀なくされた住民は110万人、詳しくはwikiをどうぞ。

肝心の記事ですが、6月3日付けThanh nien newsのThree Gorges lessons for Vietnam

記事は「世界最大の水力発電プロジェクトと言われる揚子江に建設された山峡ダム(建設費用は270億から880億ドル)だが、中国政府は公式に同プロジェクトは社会的、環境的、そして地質的に深刻な問題を引き起こしたことを認めた。」で始まります。

その影響ですが、まず出てくるのが強制移住に関する問題で120万人が移住させられ、何百人もの地元行政職員が補償費用を流用、政府は移住者に職や新しい定住地の用意が行えなかった。

ダム建設により魚の回遊が阻害され、川の浄化作用も低くなり、貯水湖沿いの工場から排出される汚染水により有害な藻繁茂がたびたび発生するようになり、揚子江自体のエコシステムにも大きな影響を与えた。さらに漁業不振、揚子江イルカの絶滅も起きている。

注目すべきはこのあたり、「社会的、環境的問題は予測できたが、巨大ダムによる地質的影響は予測していなかった(いわゆる想定外です)山峡ダム貯水池の水位は毎年145mから175mの幅で変動する。これが揚子江渓谷の斜面を不安定にさせ、頻繁に発生する地滑りの原因となっている。専門家によれば、貯水池の半分近く、178kmにおよぶ川岸が崩壊の危険にあり、これによりさらに30万人超が移住を余儀なくされるだろう」とあります。

これらに加え、揚子江が運んでいたシルトの大部分が貯水池に蓄積し、下流域に運ばれなくなったことから、沿岸沿いの湿地が毎年4平方kmの割合で侵食され、揚子江デルタは消失し、海水が上流に逆流することで農業や飲料水に影響を与えているし、栄養が海に運ばれなくなったことで漁業も影響を受けている。

水力発電は二酸化炭素を排出しないので、地球温暖化にとってはエコということになっていますが、層ともいえない、スケールメリットではなく、スケールデメリットになってしまっています。

もう一つ、中国関係で気になる記事が6月6日付けNYTのBuilding Boom in China Stirs Fears of Debt Overloadです。

上海の西425マイルにある武漢の建設ラッシュを例にとり、この建設バブルがはじけたら、というシュミレーション記事をだしています。

いま世界で唯一といってよいほどけん引役の中国ですが、その外交政策といい、近隣との資源争いといいい、ハラハラドキドキです。
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by fukimison | 2011-07-08 12:08 | プロジェクト  

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