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米インフラに年間157Bの投資が必要と土木学会

昨日の夕刊に笹子トンネル事故で遺族がネクスコを訴えるという記事がありました。高度成長時に建設されたインフラの耐用年数からくる維持管理問題が大きく取り上げられるきっかけともなった事件。

少子時代に向かい、税収減少期に膨れ上がった維持管理費をどうやって捻出してゆくのか?コンパクトシティ化して距離のある地域のインフラは切り捨てる、というのが合理的な考えですが、そう上手く行くのだろうか?
これは日本だけの問題じゃなく、先進各国も直面しているということでこれを選んでみました。

米国土木学会がFailure to Act Economic Studiesと題したレポートを発表したのが1月15日、なかなか衝撃的な内容です。
レポートはインフラへの過少投資がもたらす影響を総合的にみたもので、いままでの維持管理に加え1570億ドル(1.57Bじゃないかと見直しても157Billionなんですよね)の投資を上下水道、鉄道、港湾、水路、空港といった基礎インフラに投じないと、
GDPにおいて3.1兆ドルの下落(ドイツの全GDPに相当)、
貿易額で1.1兆ドル(メキシコのGDP相当)、
350億超の職の減少(この22ヶ月間で創出された職に匹敵、
消費支出において2.4兆ドルの減少(ブラジルのGDPに相当)、
個人可処分所得の減少年間3100ドル
なんてことが書かれています。

あまりに数字が大きすぎて、本当にあっているのか不安です。

これを伝えるHSNWの記事Final U.S. infrastructure report offers a sober messageの方は1.57Bとあるんですけどね。

とにかく、「2020年までの間に空港に390億ドル、港湾と水路に160億ドル、陸上交通に8460億ドル、電気に1070億ドル、そして上下水道に840億ドルの投資ギャップがあると見積もられる。国内インフラの劣化は経済を蝕み、公衆安全を危険に曝し、生活の質を脅かし、米経済に損害を与える」と記しています。

このレポートは過去に電気、上下水道といった分野での調査報告書をまとめたもので、各分野についての報告書もサイトに上がっています。

上下水道のをみてみると840億ドルを投じることで、産業界では1470億ドル、世帯では590億ドルのコスト増を防ぐことができるとし、さらにGDPにおいて4160億ドル、約70万の職場を確保し、個人所得の損失5410億ドルの発生を防ぐことができるとしています。

こういう数字を出してくるあたりが、米報告書の説得力を増す上手さです。
しかし、明日はわが身というか、もうわが身に降りかかってきているのを認めて備えなければです。

by fukimison | 2013-02-14 12:02  

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