スタンダードとは

建物は地球温暖化に大きな影響を与えており、米国では全エネルギー使用量の40-60%、水の消費25%、二酸化炭素排出の38%を占めているといわれています。

米国の建物だけが環境負荷が高いわけではないので、先進各国の建物が環境に与える負荷は大体において、このようなものだと考えられます。

そのため各国が環境負荷のない建物、いわゆる「グリーンビル」の建設に熱心です。
一口でグリーンビルといっても屋上を緑化しただけでグリーンビルといえるのか、新築の場合、商業ビルと住宅で同じような数値を求めるのか、既存ビルの改築においてはどうなのか、基準や対象とする建築物、検査項目もさまざまです。

英国はBREEAM(Building Research Establishment Environmental Assessment Methodの略)を、建築・建設・エネルギー・環境・火災・リスクなどを専門に手がける英国の建築研究所(BRE)が作成し、その普及に努めています。

こういった基準や普及努力は英国だけかというと、やはり各国で開発競争が行われています。

ブッシュ大統領は京都議定書からの離脱を行ったりと、温室効果ガス削減よりも自国の経済発展を優先させる政策を採っていますが、非営利組織のU.S. Green Building CouncilがLEED(Leadership in Energy and Environmental Design)と呼ばれるもので、作成しています。

これに対し日本も日本サステナブル・ビルディング・コンソーシアムが作成母体となり、CASBEE(Comprehensive Assessment System for Building Environmental Efficiency:建築物総合環境性能評価システム)というのを作成し、(財)建築環境・省エネルギー機構という組織が、評価ツールであるCASBEE販売や、CASBEEを利用して建物の環境性能評価を行うCASBEE建築評価員試験を実施したりしています。

このほかオーストラリアではGreen Building Council AustraliaがGreen Starという評価システムを作成・実施しています。

各国が独自の基準を作り出し、検査員の研修や資格試験を実施し、自国内で活用しているのなら、別に問題は起こらないのですが、2月、オイルマネーに物を言わせ、メガプロジェクトをいくつも建築しているドバイが、今後建設するグリーンビルはLEED基準に合致したものとすると発表しました。これはLEEDの資格を持つコンサルタントしか、今後ドバイで受注できなることを意味し、波乱を呼んでいます。

日本でCASABEEも開発が始まったのは2001年で、それなりの投資をおこなっております。

こうした開発投資を行わずに、あそこの評価法は評判がよいから採用しようと決めるのは、ある意味見識だと思うのですが、それを逆に見ると一つの手法がグローバルスタンダードになる道を歩み始めたともいえなくもなく、そのあたりが興味を引くポイントです。

当然、英国のBREEAMの資格を持つコンサルタント(主に英国人ですが)は、ドバイでグリーンビル建設の仕事を受注できなくなることは確かですし、評価手法の内容よりも、米国のロビーイングが勝利だと皮肉をいったところで、作戦転換をはからないことにはどうにもなりません。

建築でもマックOS対ウィンドウズ、はたまたリナックスのような戦いが起きるのでしょうか?

それともうひとつ、アラブ産油国はエコという言葉はアラブ語にはないのか、というほど環境保護意識はなかったのですが、最近では太陽光発電を建物に組み込んだり、自動車の乗り入れを行わないエコシティー建設のプランを打ち出したりと、ちょっと風向きが変わりつつあります。
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by fukimison | 2008-04-21 22:24 | グリーンビル  

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