Velib:ベリブ

近頃、交通渋滞を避ける、環境に配慮、いろいろな点から自転車を利用する方々が増えてきました。それと同時に自転車利用についても、様々な角度からの記事が新聞紙上を賑わすようになりました。駅前の駐輪施設不足や自転車と歩行者の事故(なかには死亡事故にいたるものまで)の増加などなど。
さらには幼児を持つ母親からの声で始まった、子供を乗せても安全に走れる自転車の開発もあります。

用途に応じた安全な自転車の開発、利用者の安全および利用マナー教育の徹底、それよりも自転車専用道路の設置の方が急務だと思うのですが、少なくとも東京の道路事情をみると、自動車専用道に向けた土地収用は相当ハードルが高そうです。

そこで思い出したのが昨年(2007年)7月にパリで始まったVelib(ベリブ)という大規模貸し自転車システム。個人的にはバイク・シェアリングと呼びたい試みがあります。
パリ市長のドラノエ氏が推進するもので、交通渋滞、大気汚染、温室効果ガス削減、パリが環境に配慮した都市であるとのイメージ増強などを目的としています。

そのシステム内容はワシントンポスト紙によれば、364日、24時間いつでもレンタルスポットで借り出せ、レンタルスポットも美術館や駅などを中心に300mごとに設置されているそうです。

つまり公共交通機関の至らないところをこのベリブシステムで補う、さらにレンタルスポットを駐車場に設置することで(自動車1台分のスペースで自転車4台が駐輪可)自動車利用を抑えるといった目的もあるようです。

欧州におけるバイクシェアリングは1960年代から70年代に始まりましたが、自転車が盗まれたり、壊されたりしたことで消滅。それが近頃の環境問題から改めて脚光を浴びるようになりました。
この30年の技術の進歩が味方して、GPS情報が得られるようする、自転車に広告をつけて資金の一部にする(これは広告付きということで盗みにくいという別の利点もあります)などでシステムの補強ができるようになりました。

パリのシステムを請け負っている広告企業のJCDecauxは、リヨンで実施されている同様のプログラムを運営、壊されにくい頑丈な自転車の開発を行っています。自転車の貸し出し保証でしょうか、ベリブは利用パス発行時にクレジットカード情報を要求しています。しかし自転車をラックから取り出すための利用パスは1日で1ユーロ、1年でも29ユーロと安めになっています。
しかし短時間で自転車返却を行わせるため、実際の利用料は最初の30分は無料であるのの、その後は30分1ユーロですから、1時間利用すると無料時間があっても160円ということになります。

このJCDecaux社はパリ市との10年PPP(官民パートナーシップ)を結んでいます。
その内容は1台13万円程度の自転車とレンタルスポットの全てを用意する(2007年末で20600台、1450カ所)各レンタルスポットには、自転車の状態や場所をモニターする中央コンピューターに接続したハイテク自転車ラックを15-40の設置する。このシステムの立ち上げ費用は約1億1500万ドル(120億円!)かかりますし、10年自転車の修理を行わなければならないうえ年間430万ドル(4億5000万円)を支払う必要があります。

これだけの義務を負って得られるのは、10年間にわある市内1628ヵ所にある同市所有の広告看板の独占管理権とこれから得られる収入だそうです。

利用者はパリ市民なのですが、観光客の利用が予想以上に高かったと伝えられています。
観光名所を重点に300mごとにレンタルスポットがあり、1週間パスが5ユーロで、もし29分ごとに借りては返すで移動できれば、市内の交通費は5ユーロだけということなり、パリへいった際には使ってみようと思わせるものがあります。

いい事ずくめのシステムのように見えますが、利用者からはレンタルスポットが分りにくい(景観に配慮しているため目立たない)バイクを借りたいのにラックに自転車がない、または返したいのにラックが空いていないという報告があります。また頑丈に作られているため、自転車が重い(20kg)との苦情があるそうです。

このシステムを導入する前にパリ市は自転車道の整備をしたのでしょうか?
この種の情報をググッてみたのですが、今のところヒットしません。

日本でこのシステムを導入した場合を想像して楽しんでいます。
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by fukimison | 2008-05-13 22:19 | つれづれ  

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