リバプール再開発

Construction Newsを眺めていたら「Liverpool welcomes £1bn complex」というタイトルがあり、そういえばリバプールの中心街で再開発事業がおこなわれていたことを思い出しました。

この記事によれば、リバプールの中心部で計17ヘクタールを開発するリバプールワン事業は、1999年に開発許可を取得し、2004年から工事が始まりました。その事業内容は、小売店160軒、ホテル2棟、アパート600戸、5エーカーの広さをもつ公園、カフェ、バー、レストラン、3000台を収容する駐車場で構成されています。詳細はこちら→Liverpool Paradise Project

すごい計画だなぁ、建設費5億ポンド、投資価値9億2000万ポンドかぁと感心したのですが、別の記事はないのかしらとサーチしたところ5月28日付けのガーディアン紙でPolicing the retail republicと題された記事を見付けました。

この記事の出だしは10億ポンドのリバプールワン開発は欧州最大の民間開発であり、英国で3番目に富裕なウエストミンスター公爵が所有するグローブナー社がリバプール市議会から買い取り(250年の借地権)、郊外のショッピングモールから買い物客を市の中心街に取り戻すことを目的としているとありました。このあたりまでは借地権の長さに驚きましたが、日本と欧州の違いなどと受け止めていました。

しかし「アクセスに対する公的な権利が取り除かれることから、中心部の街路を事実上私有地化し浄化するのではと警戒されている」とあるのでびっくりしました。つまりこのプロジェクトというか民間企業が所有し開発している地域は、事業者による民間警備会社により取り締まられるという計画だそうです。この民間警備会社というのが、不安の一端を担っており、言い換えればビッグイシュー(ホームレスの人々が立ちなり資金を得るために販売する雑誌)を売る人々、スケートボードをする若者といった「好ましくない」人々の立ち入り(アクセス)を禁止するだろうということです。また飲食は、指定された場所のみで許されるそうです。

さらに「王立公認調査士協会の2006年版報告書によれば、この傾向はロンドンやシェフィールドといった他の都市でも見られる」と続いています。同協会は公的領域の所有と管理が公から民間部門にシフトしており、地主が都市の広大な地域を所有し管理していたビクトリア朝以降見かけることのなかったパターンが復活していることを指摘しています。

新宿の歌舞伎町、渋谷のセンター街など、監視カメラが多数取り付けられ、警備員が巡回する繁華街は日本でも見かけることができます。最近では保安上の問題からコンクリートの壁がそそり立つGated Houseが建設されるようになりましたが、開発用地全体が塀に取り囲まれ、出入り口に警備員が常駐するGated Cityが存在しないのは、日本ぐらいのものでしょう。

安全に越したことはないですが、監視カメラが多数設置されたり私服であっても警備員が巡回するのは、犯罪が起きることを前提としていることだと思います。犯罪が発生した場合、このリバプールワンや歌舞伎町の警備員はどういう行動がとれる、またはとれと指示を受けているのでしょうか?多分この警備員さんたちは、単にホームレスの人々やちょっと危ない感じのナンパ目当てのオニイサンたちを排除するよう指示を受けているだけなのでしょうね。

見えない壁のある繁華街といったところですね。

この記事の最後の所に所謂リバプール事業者組合みたいな組織の会長さんが、会員1500名にアンケート調査をおこなったところ、会員の86%が市の中心街全域でzero-tolerance(いかなる情状も酌量しない)政策を実施することを支持していると述べていました。
つまりこの政策により、安全=夜間の営業時間帯に家族づれを呼び込める=営業利益アップという図式のようです。

それが良いのか、良くないのか、見方によりいろいろな答えが出てきそうです。
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by fukimison | 2008-05-30 19:03 | プロジェクト  

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