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英国のガソリン税論議

英国の業界誌であるNew Civil EngineerをみていたらSpend fuel tax funds on roads says RACという記事があり、どこでもガソリン税について議論があるのだなと思いちょっとみてみました。

RACとはRoyal Automobile Clubのことで自動車利用者団体です。このRACの研究機関として設立された財団の調査が発表され、それによれば平均的な英家庭が利用する無鉛燃料の費用は2008年4月末に比べ3.4%上昇し、1ヵ月あたり106ポンドになった。財務省はこの106ポンドのうち64ポンドを、ガソリン税と付加価値税(VAT)として直接徴収している。英国の運転者は欧州で最も高いガソリン税を支払っており、毎年財務省に入る総税収は450億ポンドにのぼる。2007年に英運転者が支払った金額(VATを除く)で道路網改善に支出されたのは、その4分の1(26%)でしかない。

そこでRACのサイトを見てみるとCARS NEED FUEL ……AND ROADS にありました。
RAC財団のアナリストは運転者から徴収される税額と道路網への投資として戻される金額の差が、1970年代中頃に比べ400%超上昇していることを例をあげ示しています。
つまり1975年の運転者からの税収(2006年価格で116億ポンド)はほぼ同額(111億ポンド)が道路網へ投資されています。しかし1990年から1999年にかけての財務省に充当された税収は400億ポンドを越えるものの政府は、道路網拡充への急速な要求にもかかわらず、これにみあう増加は行わなかった。現在その差は460%に及んでいるとあります。

どこの国も目的税が目的とされるものの、建設・拡充・維持管理に使われないという現状、そしてそれに対する不満はあるものだなぁと思います。

それは当然のことなのですが、このNCEの記事の続き、読者からの投書がちょっとおもしろかった。
ある人は、ガソリン税が道路に使われようと保健に使われようと政府の支出先について余り気にしていない。いるものはいるのだからガソリン税が廃止されたところで、政府は所得税を増額するだろうと書いています。

また別の人は、一般に運転者が支払う税は納税者全体にばら撒かれているという不適切な神話があり、財団のこの言はその神話を崩さないようにするため、注意深く道路交通費の大部分を取り除いているふしがある。優秀な交通エコノミストのように道路輸送費に関し、全体的なアプローチをとれば、一般納税者が運転者を助成しているのがわかるだろうと書いてます。

日本でこういう問題がとりあげられると、マスコミですら感情的な論調を示すことが良く見かけられます。この英国の雰囲気、なんとなくいいなぁ

by fukimison | 2008-06-03 12:03 | 公共財  

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