グリーンビルディングの持つリスク

グリーンビルとは環境に配慮した持続可能な建築物であり、米グリーンビル協会からLEED認定を受けているビルというのが一般的な概念だと思います。

しかしLEED認定を受けるのは、ISOやHACCAPを取得するのと同様の大変手間のかかる、難しいプロセスを必要とします。

このプロセスを経てやっとの思いで得たLEEDですが、これにより運営費が削減されたり、投資収益率が上がったりと、それなりのリターンがあることになっています。

ところが、米ENR誌のInsurers Worry About Green-Building Risks という記事が目を引きました。

出だしの所を要約すると、「施主は持続可能で、従業員が使いやすいビルを希望した。建築家はより自然光が入るようにするため、より採光の行えるシステムからなる設計を行った。施主が防衛、または連邦政府関係であったので、大型の窓やスカイライトは保安上のリスクがあると判断した。それは施主の保安評価を無効にする恐れがあることから、この契約を破棄し、今後の契約も禁止した。施主は建築家を訴えた。」

日本人の感覚からすると「うーん、なんなんだ、これは」という気がしますが、この記事でインタビューを受けている弁護士は「典型的なケースだ。まだグリーンビルリスクの一般的な判例はないが、これから増えるだろう」と語っています。さらに記事は、保険業界はグリーンビルに関連したリスクについて憂慮していると続いています。

日本はグリーンビルの数も少なく、屋上緑化、壁面緑化に補助金を出し、これを勧めていますが、保安上の問題など、全く話題にもあがったことがないだろうと想像します。

保険上の問題点は1、LEEDなどの環境認証取得の失敗、2、予定された環境負荷削減効果があがらなかった、3、新規技術や設計による不具合や遅延といったもので、このようなリスクに対応する保険商品がまだない、というのも問題のひとつとなっています。

環境後進国の日本からみると、ある意味、うらやましいような話です。

保険業界の談話として「グリーンビルのリスクの数や規模がまだ整理されていないし、それにはあと10-15年はかかるだろう」としています。

このグリーン問題における建築家vs施主事例

認証:建築ははLEED Gold認証で設計することに同意し、開発業者はそれを下にリース契約を販売、時間や予算の成約がGoldの認証を妨げる。開発業者は是に対し、建築家を怠慢、契約違反で訴える。

緑化屋根:構造的な問題が原因とする緑化屋根の漏水損害、建築家が提訴

予期せぬ出来事:大学図書館設計の際、建築家は新鮮な空気を取り入れることを重要視し、開閉式の窓枠を設計、庇がハトによいねぐらとなる。図書館を利用することで学生に呼吸器疾患が発生、建築家がハトの糞による疾病を防ぐことを怠ったとして訴えられる。

この緑化屋根との問題は、設計・施行段階でなんとかなりそう、ハトの問題も是から学ぶということで防げそうな気がしますが、一番避けにくいのが予算・時間・認証の関係でしょうね。

でも、アメリカですね。
有名なカリフォルニアのケース、泥棒が盗んだ家財を車に乗せて逃げようとしたら、立ち木にぶつかって車が壊れ、自分も怪我をした。泥棒に入った家の持ち主を訴えた。結果、泥棒行為はそれで罰せられたのですが、持ち主は損害賠償の支払いを命じられるというのを思い出します。
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by fukimison | 2008-07-16 10:24 | グリーンビル  

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