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タイ、渇水対策用水路を巡る攻防

21世紀は水の世紀といわれています。いま原油価格高騰で石油やその代替燃料のことがいろいろと言われていますが、化石燃料はとりあえず代替が利きます。しかし水の問題はそう簡単に行きません。沿岸部は海水の淡水化ができまるが、これは大変にエネルギーを必要とすることから、採算に合わせるのが難しいうえ、消費エネルギーはさらなる温暖化の元になります。あとは生活雑排水を浄化する方法です。これは干ばつに苦しむオーストラリアや、マレーシアから水を買っているシンガポールで取られています。

東南アジアは雨期のスコールの激しさや、サイクロンの襲来が有名で、水不足とは縁が無いように考えられがちですが、タイはここ数年干ばつに悩んでいます。

タイ北東部の干ばつに対処するため、天然資源・環境省はコーン川とラオスのナム・グムダムから水を分流する水路建設の調査費用として10億バーツを求めると発表したというニュースが3月に流れました。

この調査はKhong-Chi-Moolプロジェクトの第3期実施に関するものです。このKhong-Chi-Moolプロジェクトは、Huai Luang貯水池かんがいプロジェクトに加え、計14の貯水池(Mool川に6カ所、Chi川に8ヶ所)を建設し家庭用水を供給するもので、現代替エネルギー開発及び効率局が、280億バーツをかけ2期に分け実施しました。第3期は181万ライ(1ライは1600平方メートル)の土地をかんがいし農地にするため、コーン川から導水を行うとされています。しかし同プロジェクトの1期と2期は、政府が予想したほどの効果を挙げていないことがあります。それどころか洪水や農地の消失といった問題を引き起こしてさえいると批判する人々もいます。

タイ北東部が渇水状態にあるのは事実なので何とかしないといけないのですが、それぞれの立場でいろいろな主張がでているのが現状。(どこの国でも同じですね。)

そうこうするうちに全国湿地委員会の会員が、政府の巨大水管理プロジェクトは北東部の豊かな湿地帯を破壊するものだと警告を発したというニュースが流れました。

北東部地域はタイ国内に109ある湿地の23が存在し、その多くは既にこれら沼沢地の請託学的な重要性を理解しない担当省庁により破壊されてしまったといいます。シーサケート県のラシ・サライダムの建設により3万ライの湿地がうしなわれています。

さらに政府の国内の計6,000超もの河川や運河の川幅を広げ、掘削を行うプロジェクト(工費150億バーツ)は、さらに水源を痛めつけるだろうとしています。
河川の掘削や川幅を広げる工事を行うと、見た目は同じでも河川独自の生態系は変わってしまうと警告しています。

タイの導水計画はトンネルを掘って送水するとか、いろいろあります。素人の私が聞いても、どうなのかな?と思うようなのもあります。またこれらの湿地帯はラムサール条約下の重要湿地帯に指定されていることから、注意深い対応が必要なのも事実です。

洪水防御、渇水対策そして水資源保護、この3つを上手く管理する方法はあるのでしょうか?

by fukimison | 2008-08-05 17:46 | プロジェクト  

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