中東不動産市場

ここのところ楽しいニュースがないです。
どれを見ても建設不況、不動産下落、工事延期といった文字が並びます。
そのなかで原油高の恩恵を受けている中東産油国は、6月20日にお伝えしましたがルーブルやグッゲンハイム美術館を誘致する、美術館は世界でも高名な建築家に依頼すると文化路線を目指す国、有名な大学の研究機関を誘致してR&Dセンターとしてがんばる国、いろいろあって資源大国はやはり強いと感じていました。
なんといっても、世界はエネルギー、食糧、これを背後で動かす金融で構成されているのですから。

そうしたら、8月13日付けのWall Street JournalにDubai Homes In on Effort
To Cool Red-Hot Property Market
という記事がでました。

加熱市場を冷やす、なんだか以前にもいろいろな国の市場で聞いたことのあるフレーズです。

いつかは石油が枯渇する。その日を見据えてドバイは観光、ビジネス、交通の要衝となるべく努めてきましたし、その政策の中心にあったのが不動産開発でした。
世界一高いビルといえば台湾にある台北101ビル(509m)です。このビルを追い越し、世界一の称号を手に入れようと建設中なのがドバイのブルジュ・ドバイ。建設中のほかのビルに追い抜かれたくないので正確な高さを公表していませんが、尖塔をいれて800m超となるはずです。
ほかにも、超豪華リゾートとして有名な人工島のパームジュメイラなどがあり、欧米のお金持ちに人気の避寒リゾートになっています。

ドバイはアラブ首長国連邦(UAE)の1つですが、このUAEのなかで初めて外国人に土地の所有権を認めました(2002年)。ドバイ土地局(Dubai Land Department)の見積りによると、土地取引額は2002年に387億ディルハムだったのが2007年に4620億ディルハム(約1258億ドル)に増加しました。さらに2008年には7170億ディルハムに達するだろうと予測しています。

ところがMorgan Stanleyが出した報告書は「ドバイの不動産取引は、2007年に65%増加し、また価格も79%上昇、2008年の前半でも25%上昇している。人口も2007年の141万人から2012年までには200万人に増加するとみられ、地価も2000年から4倍になり1平方フィートの平均価格は116.25ドルであるものの、2010年までに10%下落するだろう」と記しています。

2002年にコンドミニアムの分譲が始まった例の超高級リゾートのパームジュメイラですが、なんと価格は600%超の上昇を見せていますから、10%下落するといわれても貧民にとったはそれがどうしたです。

それよりも、MSの報告書が「ドバイで発生する確率は低いが、最悪のシナリオは1990年代のシンガポールで不動産価格が18ヶ月に80%下落したのと同様のパターンを起すことだ」と記している方が気になります。アジアの通貨危機はシンガポールどころかアジア各国を襲いました。今回のサブプライムでも分るように、ある国の市場急落はその国だけに留まらず、その地域全体、ある意味世界中に影響を与えます。

でも、強気のUAE人には気に入らないことだろうと思います。

アブダビの英字新聞The National はDubai house prices 'to fall' by 10%の見出しと共に、ドバイに比してアブダビは2010年までに25%の地価上昇があるだろうし、同様にカタールも15%の上昇が見込めるとしています。

しかし下落がいつ始まるか確かなことは分らないとしながらも、ドバイは価格修正の兆しが見えているとした専門家の談話を載せています。
また過剰な不動産価格上昇と過剰なコンドミニアム建設、これをもっとゆっくりとした安定的な成長に抑えるため、新しい法律やキャピタルゲイン課税が必要だとする専門家の談話も紹介しています。

600%の上昇は、素人が考えても市場のファンダメンタルというより投機が牽引しているわけで、いずれは価格の修正が起きるのは当然でしょう。

MSの報告書は2009年の第2四半期から下降が始まるとしていますが、別の専門家は2001年から価格の修正が始まるとしています。
ともかく、2009年あたりから注意するというのが結論のようです。
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by fukimison | 2008-08-15 12:06 | 不動産  

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