米国、港湾事情

本日はアメリカのニュース、しかも港湾関係という珍しいものです。鉄道、道路や橋梁は身近にありすぎて、かえって目に入らないぐらいなのですが、逆に港湾は非常に関係していのだけど遠すぎて、わからない。船舶が接岸され、荷揚げ中に排出される排気ガス(船舶、コンテナ車etc)は大変なものというのは、建物の排気が都市排出CO2の25%を占めるというのと同じぐらい知られていません。そのため米西海岸最大の港湾であるニューポートビーチは、ディーゼル発電を止めるため、船舶用の配電システムを用意したなんていうニュースが2年ぐらい前に流れたのですが、こんなこと日本で知っている人は環境系か建設系のオタクぐらいでしょう。

本日の記事はこれと似てなくも無いのですが、米港湾でインフラ不整備のため穀物輸出が滞っているUS Grain Exports Snagged By Infrastructure Delays というものです。これはAPが配信し、米加各地のTVや新聞で同じ記事が出ています。

背景として、原油価格の高騰からバイオディーゼルに関心が向き、人間が食べたり家畜の飼料にしていた穀類がバイオディーゼルに転用され、総量不足から穀類の価格も高騰しているというのがあります。そうなれば当然、生産者は増産に向かいます。

ところが急激な輸出量の増加は、これらを輸送する米鉄道、幹線道路、河川の非効率さにより、場合によっては数ヶ月も山積みにされ、風、雨、場合によってはネズミにさらされたまま放置され、この費用は農家、船主、採取的には消費者に年間何百万ドルもの損失となってのしかかっているということです。

農家は増産を行い天候も農家の見方をし、農務省は今年(2008年)米国のトウモロコシは史上2位、大豆は4位の収穫量を見込んでいます。米の穀倉地帯は中西部で、そこはミシシッピやミズーリと大河川流域であり、大量輸送ができること、人員も燃料費も少なくて済むことから、穀類の積み出しはこの河川を利用した船舶輸送に頼っています。

ところが途中のダムや閘門が旧式であることから大量輸送が出来ず、穀物はサイロに保管されたまま、数ヶ月も積み出しの順番待ちを強いられています。陸軍工兵隊によれば、この艀による損失だけで平均年間7260万ドルの加算費用となってるそうです。

損失は艀により発生するだけでなく、鉄道の延着によっても起きています。2006年、アイオワ、イリノイ、そしてインディアナで10億ブッシェルの穀類が野積みや仮設のシェルターで保管されたと見積もられ、およそ1億700万ドルから1億6000万ドルが輸送費に加算されたと農務省は伝えています。これは2006年のトウモロコシと大豆の輸出総額138億ドルの約1%にあたります。

集荷されたものの貨車の手配がつかなく野積みされ、損失をだす。そのためには鉄道の延伸や整備が必要なのですが、米鉄道教会は増える需要に見合うよう鉄道の延伸を行うには今後30年間に1480億ドルの投資が必要だとしています。しかし同協会はその約70%の資金調達能力はありません。

一方、ミシシッピ川の閘門とダムを近代化し、大型の艀が通行可能にするためには今後20年超に22億1000万ドルが必要だと見積もられていますが、これは議会の承認を要します。

やっとの思いで港に集まった穀類ですが、こんどはそれを輸出するためのコンテナの問題が立ちふさがります。いままでは中国などの海外から商品を運んできた20フィートコンテナを借り受け、それに穀類を積み込み海外へ送り出したのですが、米国の輸入量が減り、コンテナを借りるのが難しくなっている。これは借り賃の値上がりを意味し、この10ヵ月だけで70%の上昇をみたと伝えられています。

穀類輸出国の勢力分布図をみると、アルゼンチンやブラジルが輸出量1位の米国を急迫していることから、ここでも米国のずりずりと後退していく姿が見え隠れしているようです。

上手くまわすカギは正しいインフラ投資
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by fukimison | 2008-08-26 12:02 | 公共財  

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