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シカゴのミッドウェイ空港、米国初の民営化

シカゴの国際空港といえばオヘアが有名ですが、ミッドウェイ空港も国際空港であり格安航空会社として有名なテキサスのサウスウェスト航空のハブ空港でもあります。

そのミッドウェイ空港がカナダのバンクーバー空港を含むコンソーシアムにより25億ドルで民営化されたという記事が10月1日付けのFT紙に現れました。

この価格はいわゆるEBTRDA(earnings before interest, tax, depreciation and amortisation :支払利息・税金・減価償却・償却控除前利益)の28倍に相当するものです。大型の空港買収例として、2005年の英空港公団によるブダペスト空港買収が揚げられます。

ミッドウェイ空港は5本の滑走路を備えており、2007年の実績は30,4000便のフライト、1900万人の乗客というものでした。2005年と現在とだいぶ航空界を取り巻く状況は変わってきており、ブダペストとシカゴ、一概には比べられませんがEBITDAの28倍というのはちょっと途方もないような気がします。

バンクーバー空港を含むコンソーシアムとありますが、その構成陣はCiti Infrastructure Investors, YVR Airport Services (バンクーバー空港とCiti Infrastuructureのジョイントベンチャー)John Hancock Life Insuranceであり、ゴールドマンサックスと組んだHochtief、モーガンスタンレーと組んだ パリ空港、オーストラリアのマッコーリーグループが率いるコンソーシアム、そしてBabcock & Brown, Gecas and Abertisandを含むコンソーシアムに対抗して99年のリース契約を勝ち取ったわけです。なんとも凄い顔ぶれです。

シカゴはインフラの民営化において米国内でパイオニア的位置を占めており、2005年にシカゴスカイロードを99年リースで民営化した実績があることから、このたび空港の民営化に踏み切ったものを想像されます。

道路の民営化、地下駐車場の民営化、これらは適切な維持管理がなされるという大前提がつきますが、官が運営するよりも民の方がおそらく経済効率の良い運営がなされるだろうと思います。それに対し空港はどうなのでしょうね?航空機自体は航空会社の管理ですが、道路や駐車場に比べ運営における天候や施設維持管理の割合が高く、そう簡単にコストダウンは効かないような気がします。でも欧州では英国のヒースローやガトウィックは民営化され自国外資本の企業が管理していますし、たしか以前ドイツの空港管理会社がフィリピンのアキノ国際空港の運営管理に意欲を示しているという記事を読んだ記憶があります。

日本でも空港施設や電力への外資参入の記事が出始めています。ちょっとサブプライムなどで目先は写りますが、早晩欧州では一般化し、米国で始まった空港インフラの民営化の波はひたひたと日本への圧力を増すことでしょう。

by fukimison | 2008-10-02 12:25  

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