ユーロトンネル火災のその後

英国とヨーロッパ大陸(フランス)の間にある英仏海峡、ドーバー海峡と言ったほうが分りやすいですが、その海底にロンドン・パリ・ブリュッセル間を結ぶ高速列車のユーロスターが走るユーロトンネルまたはドーバー海峡トンネルといわれるトンネルがあります。この海底トンネルはトンネルボーリングマシン(いわゆるTBM)により掘り進められたトンネルで、その工事についてはプロジェクトXで紹介されています。

このユーロトンネルですが、工事としては非常に面白いのですが運営は問題を多く抱え、1994年の開通後2006年に1兆5000億円の負債を抱えトンネル運営会社のユーロトンネル社は破綻しています。その後債務の減債が行われ、新会社のグループ・ユーロトンネルへ株式交換がなされました。

このトラブル続きのトンネルは開通後の94年にもトンネル火災を起していますが、またしても今年(2008年)9月11日にトンネル内のフランス側から11kmの地点で通行中のトラック輸送用列車から出火し、14人が軽傷を負う事故が発生しました。このため30時間にわたりトンネルは完全に閉鎖され、その後も一ヶ月にわたり間引き運転を強いられ、9月29日になってやっとほぼ平常運行になったというほどの損害を与えました。

さて今日のニュースですが、簡単に言えば、今回の火災は思った以上の損害をユーロトンネル社に与えたということなのですが、海底トンネルのライニング(裏層)が熱で損傷を受け、運休と回復工事などその損害は2200万ユーロにのぼり、ユーロトンネル社の2008年第三四半期の収益は2007年同時期に比べ6%落ち込んだというものです。(9月8日付けテレグラフ紙

ユーロトンネル社会長は、同社の保険は計9億ユーロにのぼる火災によるほぼ全ての物的損害をカバーするものだと強調しています。それでも同社は保険対象外の費用1000万ユーロを払う必要があります。(10月9日付けFT紙)

同社は乗客率も貨物輸送も上向きだとしていますが、数字をみると貨物輸送はそれほどでもなく、どちらかと言えば落ち込んでいるようで、これが収益の伸び悩みに繋がっているようです。

ユーロトンネル社会長は現在の金融危機の影響は少なく、2008年1-9月の総収益は5%上昇し5億7500万ユーロであったと主張していますが、同社の株価は31セント下落し、6.28ユーロです。

大型インフラ事業は工期が長く、予想外の経済変化に対応できないことが多々あります。その例が青函トンネルであり、アクアラインであり、本四架橋(本四架橋は1本でよかったというのもあります)です。そういうことからすると、欧州とアフリカ大陸を結ぼうというジブラルタル海峡トンネルなんていうのは、海流が強いし、距離は長いし、夢物語で触らない方が良いプロジェクトの1つでしょうし、あとはイタリアの本土とシチリア島を結ぶメッシーナ海峡大橋もイタリアの首相が変わるたびに復活したり取りやめになったりしていますが、ちょっと触らない方が良いプロジェクトのように思えます。
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by fukimison | 2008-10-14 12:00  

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