カテゴリ:景観( 43 )

 

チェルシー再開発を巡る裁判でチャールズ皇太子の手紙公開

昨年(2009年)4月にチェルシー再開発でチャールズ皇太子が意見表明としてお知らせした、ロンドンの高級住宅地チェルシーでの再開発問題ですが、皇太子のやり方を手続き違反だとする建築家の意見広告、住民の意見をもっと汲むべきとした声、CABEの役割、さまざまな角度から報道がなされました。最近では5月にチェルシー再開発その後と題して、ロンドンの不動産開発業者がお金の出してであるカタールの投資会社に対し、計画変更および契約打ち切りにより失われた開発利益の補償を求めた裁判についてお知らせしました。

その裁判の中で、再開発中断の発端となったチャールズ皇太子がカタールの王族に出した手紙が証拠として公述されたというニュースが英国メディアを賑わしています。

インディペンデント紙はSorry for interfering, but this building is too brutal, Prince wrote to Qatari sheikhとしてチャールズ皇太子はカタールの王族に宛てた手紙が公開されたことで、更なる窮地に追い込まれたと報じています。補償を求めている事業者側弁護士の主張は、チャールズ皇太子が近代的なロジャース案はこの地域にふさわしくないとしてカタールの王族に再考を求めたのが原因でQatar Diar(カタールの王族が所有する投資会社)が、土壇場で許可申請を取り下げた。カタールと英国という王室関係の配慮という自分の都合で取りやめたのだから手数料の8100万ポンドを支払うべきだという理屈です。

一方投資会社側は皇太子のロビー(手紙)ではなく、商業的な懸念から再考することにしたと主張しています。

インディペンデンス紙の記事は皇太子がアンダーラインを引いて強調した部分があること、アラビア文字で署名もしていることなどを伝えています。

大衆紙のデイリーメイル紙のRevealed: Prince Charles' 'passionate' letter to Qatari PM pleading for modern development to be scrappedになると、こんな風な手紙だったらしいという図がはいっているあたりが、とってもワイドショー的。

そうした中、個人的に最も面白かったのが6月24日付けBuilding Design誌のPrince Charles's Chelsea Barracks letter revealedです。

手紙は「心より、求める、そして美しさといった言葉に下線を曳き最大限のインパクトを与え、見るに耐えない(brutalist)建築がロンドンの多くの地域を破壊している」

こちらはクラレンス宮殿(チャールズ皇太子の居城)の紋章入りのレターペーパーに書かれたチャールズ皇太子の手紙そのものが出ています。(うーん、英国の情報公開ってすごい!)

景観問題というより、海外の情報公開や裁判制度が良くわかる報道でした。
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by fukimison | 2010-06-25 11:31 | 景観  

ガズプロムタワー、大統領も高すぎると苦言

昨年(2009年)9月にロシアの景観紛争と題して、サンクトペテルブルグで計画中のガズプロムタワーを巡る住民の反対運動やユネスコからの世界遺産剥奪警告をお知らせしました。

そして本日はその続報ということで、5月31日にThe Moscow Times紙がMedvedev Hints Gazprom's Tower Is Too Tall として報じた記事を中心にお知らせします。

記事は「メドベージェフ大統領はサンクトペテルブルグの当局者にガズプロムが同市に計画中でいろいろと論争の種になっている超高層の高さに関し再考を促した」で始まります。
さらに記事は「Okhta Center(ガズプロムによるビジネスセンター建設プロジェクト)について直接の指示は出さなかったものの、大統領室はサンクトペテルブルグのMatviyenko(マトビエンコ)知事に書簡を送り、「ロシア連邦の持つ国際的な義務を満たす必要性」について注意を喚起したとメドベージェフ大統領の報道官は発表した」と続きます。

6月3日付けBuilding Design誌もRussian leaders back opposition to RMJM’s Gazprom tower としてこのことを伝えています。

こちらは「大統領は市担当者に書簡を送り、このプロジェクトがロシアの評判やユネスコとの関係を損なう可能性を持つことに関し懸念を表明した」とあります。

ユネスコは403mのガズプロムタワーがサンクトペテルブルグのスカイラインを見出し、これが建設された暁には世界遺産のタイトルを剥奪することになると警告しており、建設作業の中止と高さの低減+歴史的都市の価値と精神を尊重した計画案への再考を求めています。

記事によれば大統領に加え文化相も世界遺産委員会の代替案リクエストを支持しているとあります。

ユネスコ委員会はガズプロムの提案と関連し、サンクトペテルブルグの世界遺産都市としての地位について再考する会議を来月ブラジル行う計画です。もし計画に変更が無かった場合、サンクトは世界遺産の危機リスト入りをすると見られています。

今までにエルベ渓谷のように世界遺産を剥奪された都市は幾つかありますが、エルベ渓谷の場合、住民が何度も公聴会や住民投票を行い、世界遺産都市であるより利便性を選んだという経緯があります。

サンクトの場合、ガズプロムの住民説明会は乱闘事件に発展し、このように大統領からの勧告もあることから、行政がどうするのか、注目です。

これに引き換え、沖縄の世界遺産である首里城は景観を阻害する再開発が進行し、これにより剥奪が起きるかもしれないのに、住民も行政も何も言わず、いったいどうなっているのやらです。
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by fukimison | 2010-06-04 15:00 | 景観  

チェルシー再開発その後

昨年前半、数回にわたってチェルシー再開発を巡る動きをお伝えしました。
おそらく4月のチェルシー再開発でチャールズ皇太子が意見表明とした記事が最初だろうと思います。

それから紆余曲折があり、チェルシー再開発計画そのものは建築家の選定が終わり、実際のプランを巡り皇太子の財団関係者、地域住民、行政、事業者がともに意見交換をしているという状態で、問題は2007年に事業者であるカタール・ディアールが購入した金額が大きすぎて、採算を考えるとどうしても高層化・密集化は避けられないところでしょう。(高層・密集といっても東京のそれとはだいぶ違いますが。。。。)
このイメージについて4月21日付けBD誌はChelsea Barracks mark II unveiledとして報じています。

そして本日お伝えするのは、最終局面でカタール・ディアールがロジャース案を撤回し、その過程で共同事業者のキャンディー社に損害を与えたことによる裁判の行方です。

まず5月17日付けのBD誌はQatari Diar buckled under prince’s criticism, court hears as £81m Chelsea Barracks action beginsとしてこの裁判の様子を伝えています。

キャンディー社はチャールズ皇太子がSheik Hamad bin Jasim(カタールの首相でありカタールディアールの会長)にチェルシー再開発再考を求める書状送付という干渉により、建築許可を受ける直前になってカタール・ディアールが申請を取り下げたことを不満とし、「カタール企業は契約条項違反であり、プランナーによる計画が承認された時に支払うべき手数料の支払いを求める」と主張しています。でもその金額が8100万ポンド、本日のレートが1ポンド133円ですから10,813,555,712円、といわれるとちょっとすごい。

一方でカタール側の弁護士は「キャンディー社は全く損害を蒙らなかったのだから、この要求は無意味だ」と真っ向から対立の様子です。

キャンディー社はチャールズ皇太子の干渉なんて気にせず、突っ走っちゃえば申請は受理され、当初計画通りに建設されれば8100万ポンドの報酬が得られたのだから損害だと主張し、一方カタールは皇太子の干渉は計画申請の行方に影響を与えることが予見されていた。そうした場合、事業の遅れによるキャンディー社への支払い遅延発生を意味し、それは予見されるものではなかったとしています。

この裁判は他のメディアでも当然ながら報道され、5月17日付けLondon Evening Standard紙はCandys accuse Qatar royals of 'scandalous' action over Chelsea Barracksとして報じています。

こちらはチャールズ皇太子がカタールの王族に向けた書いた手紙が引用されていたりして、なかなかワイドショー的ですし、カタール側は「キャンディーの主張は締結した取引の商業的性格について基本的な誤解があった」としていますし、キャンディー側は「少なくとも契約書に記載されているロジャース案が却下された場合の補償費6900万ポンドを支払うべきだ」と主張とあります。(8100万ポンドがだめなら6900万ポンドですか?それでもすごいなぁ)

この裁判は3週間ぐらいで結審するとあります。
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by fukimison | 2010-05-18 11:42 | 景観  

Athlone House(英、ハムステッド)保存へ

久しぶりにコアな保存系の記事紹介です。

まず4月8日、Camden News JournalはPlanners throw out Athlone House demolition applicationとしてハムステッドヒース接して建つビクトリア様式の邸宅(Athlone House)は取り壊しに瀕していたものの、カムデン議会の計画委員会は満場一致で超豪華大邸宅の建設申請を否決し、Athlone Houseは解体を免れたと伝えています。

このニュースは4月9日付けのBD誌もAdam’s plans for ‘Stalinist’ mansion spark protestとして伝えています。

話題となったAthlone Houseですが、1871年に建設されたJacobethan-styleの邸宅で、Capability Brown(1716 – 1783、英国のランドスケープアーキテクトだそうです、詳しくはwikiで)が庭園設計をおこなったということで有名で、英国の国民医療保険サービスが所有していたが11年前に売却され、所有者はずーとそのままおいておいたため荒れ果てた状態になっているそうです。

さてこのAthlone Houseを取り壊したあと新しい邸宅の設計に当たるRobert Adamですが、新古典主義のスタイルであり、駐車場は地下にもっていくし、銅製のドームで飾られたりしてもビクトリア様式の邸宅を壊すというのが許せなかったみたいです。

個人的には11年空き家になっていたというのが気になります。管理人がいて風を通すなどして適切な維持管理が行われていないと、11年の歳月は19世紀末に邸宅にとり厳しいものだったと想像します。

English Heritageが保存に向け力を注ぎ、540人の反対運動家がこの建設案に対抗し、解体阻止を勝ち取ったとあります。

問題はこのあとどうするのか?
持ち主から買取り保存するのか?
維持管理費はどうするのか?
誰が、これらを行うのか?
なかなか興味深い問題です。
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by fukimison | 2010-04-09 12:15 | 景観  

英国、Earls Court取り壊しか

本日はこのブログのメインテーマの1つである景観です。

1月25日付けの英専門誌NCEはEarls Court faces demolitionとしてロンドンにあるアールズコート展示センターが経営不振から取り壊しの危機に直面していると伝えました。
アールズコート展示センターはアールデコの建物でロンドンのアイコンの1つ、それが取り壊しなのかということでアールズコートのサイトをみるとプレスリリースのセクションにThe future of Earls Court として説明がでていました。

株の50%を所有していたCapital & Counties 社が残りの50%も購入したが、将来についてはまだ何も決まっていないとあります。といいながらもロンドンの交通局や自治体といった隣接地のオーナーと話し合いを進めているし、隣接地をあわせると70エーカーに及ぶ土地をどのように利用するのが一番よいのオプションを検討中とあります。

70エーカーですか!85700坪、しかも隣接する駅は二つ、同じ区内にはロンドン随一の高級住宅地があります。

ENR誌は「開発業者のCapital and Counties(Capco)はこの12ヶ月のうちに70エーカーの開発申請を提出すると見られている。Capcoは8000軒の住宅を含む大規模な住宅主導型の再開発を目的としているが、最終決定はまだ行われいないとの声明を発表している。2012年のロンドンオリンピックにおいて、この会場はバレーボール会場となると目されていることから、作業は少なくとも2012年までは始まらないだろう」と報じています。

1月21日付けのBBCもLondon's Earls Court venue faces uncertain future としてこの件を報じています。
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by fukimison | 2010-01-26 11:48 | 景観  

英国で家を建てるということ

ハイチを襲った大地震から約1週間、各国の救助隊や援助物資が届き始め、救援活動が遅ればせながら軌道に乗り始めたようです。首都ポートプリンスに降り立った救援隊の第1号が中国だったというのはなかなか象徴的であるとともに、管制塔が倒壊した空港にどうやって降り立ったのか?
数人の米軍兵士が無線で旋回する飛行機に対し、管制業務を行っている映像がありましたが、あれはまだ続いているのでしょうか?

いろいろな人が支援を表明していますが、やはりダントツはジョージ・ソロスの400万ドル寄付でしょう。

暗いニュースが多い中、すこし建設的なことをと思い先日見つけたサイトのご紹介です。

英国ではコミュニティー・地方政府省(Communities and Local Government)が国土計画政策(national planning policy)を設定します。このCLGがイングランドとウェールズのプランニングシステムを説明するPlanning Potalというサイトを運営しており、その中にある住宅の3D説明ソフトがなかなか素晴しい出来なので、本日は記事ではなく、サイトの紹介としました。

まず住宅についてですが、このソフトウエアを立ち上げてみてください。屋根裏付の2階建て住宅建設時に関係するPlanning Permission とBuilding Regulationが詰まっている。しかもマウスを屋根に載せるクリックすると屋根とはこの範囲でと黄色のラインで範囲が示され、そして関係するPPとBRの説明が現れ、さらに詳しいことが知りたい場合に備え、learn moreで外部リンクへと導く。

現在の風潮にあわせ、風力発電、太陽光発電を設置する場合に関係するPP、BRに加え、Greener Homes(環境に配慮した住宅)の説明まで出てくる。
外側から見ただけでなく、左下にあるinsideをクリックすれば、建物内部の階段や照明、断熱材についてPP,BRが現れる。

しかもこのソフトは増改築版もあり、こういう場合はNG,この範囲ならOKといろいろなケースに加え、建材、保護を必要とする動植物についてまでの説明、しかも3Dで解りやすい。

この解りやすいというのがとても大切なことだと考えます。

解りにくいから間違うし、変なことになる。

無駄な労力を使わないためにも、こういったソフトの活用ぜひ日本でも、特に小学校の高学年あたりで遊び感覚で見せると家を建てるということ、それにまつわる都市計画、建築基準法、インフラとの係りの入門編になって良いかもしれないと思うのでした。
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by fukimison | 2010-01-19 12:07 | 景観  

ベルファスト、高層ビル容認政策へ転換か?

超高層ビルと伝統建築
混ざるから美しくない。中低層が調和の美であれば、超高層は孤立の美と思うのですが。。。

それはともかく、1月6日付け英建築専門誌AJはBelfast looks to open door to more skyscrapersとしてこのニュースを伝えています。

簡単に言えば北アイルランドは現在の計画官(planning officer)が個別に検討し決定を下す方式を見直しており、「詳細はまだ発表されていないが、Poots環境相はそれが適切な場所であれば高層ビル建設に関し、我々は全く依存が無い。さらに超高層ビルについて我々は時代遅れだとベルファスト・テレグラフ紙に語った」ということです。

ベルファスト・テレグラフを探したところ1月2日付けにNew planning laws promise more tall buildings in Belfastがありました。記事は「Poots環境相が発表した新政策により、ベルファストの水平線により多くの高層ビルが建ち並ぶことになろう。同相は開発業者やプランナーにガイダンスを提供し、高層ビルに対するプランニングサービスの場当たり的な決定を防止するものだと述べ、シンガポールを賞賛したとた」とあります。(ベルファストのシンガポール化ですか)
さらに「ベルファストの未来を立案するときに、我々のスカイラインを創造の源として利用するののどこが問題だ。経済発展を持続するのなら、人口を拡大する必要があり、高層ビルは住民を収容し土地利用を最大化する」と付言したとあります。

2009年1月、Victoria駅から始まるGreat Victoria Street再開発の目玉であったHKRによる37階建て住宅向けビル(工費9000万ポンド)の建設計画を周囲およびその敷地の特性に合致しないを理由に認めなかったという経緯があり、今回の政策変更はこれが引き金となっているようです。

記事の中で気になるのは「この経済状況にも係らず、ベルファストには高層ビル建設の意欲がまだある」というあたりでしょうか。Poots環境相は「(このHRKの建設が提案された)Great Victoria Streetが高層ビル建設に適切な場所かを問うものではないが、欧州諸都市は波止場や利用されなくなった埠頭に高層ビルが建設されている」としています。
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by fukimison | 2010-01-08 12:51 | 景観  

カタール、中東で最も素晴しいタワービル

11月19日、ブルジュドバイの完成により高層ビルの高さの測り方が変わったという記事をお知らせしました。この定義を出している世界高層ビル協会(The Council on Tall Buildings and Urban Habitat :CTBUH)は世界を4つの地域にわけ、その地域ごとにBest Tall Building賞を出しています。ちなみに森ビルが建設した上海の上海環球金融中心が2008年度に最優秀賞を受賞しています。
そしてカタールのTornado Towerが中東およびアフリカ地域で2009年度優秀高層ビル賞を受賞したとのニュースが12月16日付けのBuilding誌にTornado Tower named Best Tall Building in Middle Eastとして、また中東の建設情報誌MENAにもTornado Tower: The 'Best Tall Building' in the Middle Eastとして出ています。

MENAによれば「ドーハに建設された高さ200m・52階建てのTornado Towerは、敷地の最適化、資材の革新的利用、省エネ、排気および水消費量の削減を介して自然環境への影響を最小にするよう設計されている」そうです。CTBUHは高層ビルの設計、建設、開発について主導的機関であり、プロジェクトを「高層ビルの向上に貢献し、斬新なアイディアと革新的なプロセスをもたらした」と称しているそうです。

この外見にあります。MENAにあるYou Tubeの画像をご覧になるのが一番ですが、Tornado Towerの特徴は50ものサイズにおよぶ6000枚の施釉パネルが設置された30,000m2の結合カーテンウォールにあります。Wicona製結合ファサードは視界部分用に34mm反射ガラスとフロア間でビル構造を遮蔽する不透明なグレーズが組み込まれており、このパネルは外装のスチール格子を支える役目も果たしているそうです。表面構造が重要な建築上の特徴であり、鉄骨が接合するポイントに設置された照明システム(35000色で構成される照明コンビネーション)は夜間に建物の形を効果的に見せています。台形のパネルとそれらが集まって作り出される角度が、このビルが持つ特徴的なカーブと「砂嵐のつむじ風」現す双曲面の形状をもたらしているのだそうです。

技術的に素晴しいのでしょう。でも美しいかというと少し疑問があります。
それよりも中東地域でグリーンビルの動きが出てきたことに注目すべきでしょう。
COP15で本当の発展途上国と世界最大の外貨準備高を誇る中国が一緒になる。中国は上海の長江デルタで行われているDangtanのようなEco-City実験を行っているかと思うと、石炭火力発電やこれからどうするのだろうと思う山峡ダム、このあたりドバイと似通っているような気もするのですが、ともかく、マスダールにしても次の一手を模索しているように感じます。
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by fukimison | 2009-12-18 12:18 | 景観  

英、ウォータールータワー開発却下

日本では画期的勝訴といわれた景観利益を巡る鞆の浦開発差し止め行政訴訟ですが、広島県と福山市が控訴の意向を固め、さらなる混迷へ向かっています。個人的には25年かかっても建設できないのはそれだけの理由があるわけで、道路を作ったからといって若者が地元に戻ってくることに繋がらない。それよりも上高地やスイスで行われているように鞆町の外にバイパス道とP&R施設を作り、観光客の車は鞆町にいれない。狭い道路は車が入れないから不便だというけど、車が入らないから自動車事故は起こらない、排気ガスもでない、コミュニティーが残るし生まれるとプラス思考で取り組んだほうが建設的に思えます。

そんなこんなで本日のご紹介記事は景観利益確保で随分と先を進む欧州・英国の話題です。

10月12日付けのArchitects'Journal誌はSecretary of State blocks Allies and Morrison's £1bn Waterloo Towersと題してコミュニティー・地方政府大臣のジョン・デナム氏がウォータールー駅の隣の再開発計画を却下したことを伝えています。

この計画(Elizabeth House)はロンドンのSouth Bank、ウォータール駅の隣にAllies and Morrison、P&O や Morgan Stanley Real Estateが再開発を押し進めているもので、オフィス棟(2)と住宅棟(1)(それぞれ22、27、39階建て)を建設するもので、すでにLambeth区議会は開発許可を出しています。

しかしカナリーワーフなどで超高層ビル建設による再開発を押し進めたリビングストン前市長を破り現在ロンドン市長の座にあるジョンソン氏は、この再開発計画に反対していました。これについて1年前の2008年10月28日付けAJ誌はAllies and Morrison braces itself for Three Sisters decisionというタイトルで「7月にElizabeth House(10億ポンド)は容認できないと発言していたジョンソン市長だが、最近は少し風向きが変わってきた。しかしイングリッシュヘリテージや隣接区のWestminster区議会が、世界遺産指定を受けているWestminster World Heritage Siteに多大の影響を与えるとして大反対(call in:強制介入)をしていることから、設計のMorrisonは楽観できないとしている」といった記事を掲載しています。

しかしコミュニティー・地方政府大臣のジョン・デナム氏の決定は2009年4月の公聴会を受けてのものであり、記事には計画官のコメントを受け、それに同意するものだとあります。その内容はなかなか厳しく、「計画の成功は、建物の外見、個々の建物の関係性とそれらが与える周囲への影響によって非常に難しいものになるだろう。住宅ブロックもオフィスタワー2棟も、高層建築の成功に欠かせないバランスのとれた彫刻的なエレガントな品質に欠けている。計画建物を個別に見ても期待される品格に欠け、全体としてみても設計における欠陥の大きさはスカイライン、重要な眺望、および歴史資産に対する影響に関する広範囲に渡る懸念を強調するものとなろう」とあり、ここまで言う英国行政って、すごい。
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by fukimison | 2009-10-13 12:12 | 景観  

祝! 鞆の浦

世界のインフラと景観を対象にしておりますが、これは別

祝!鞆の浦

公共工事の是非、利便性、景観保護で争われた鞆の浦の埋め立て架橋訴訟は画期的勝訴となりました。

広島地裁は歴史的景観を「守るべき国民の財産」と判断、

五十嵐敬喜法政大教授(公共事業論)の話 
「文化的、歴史的価値」を景観利益として認めたことや、事前差し止めを認めた点、裁量権の厚い壁を越えた点などで何重にも画期的な判決。「開発ありき」の見直しという国民的な機運が司法を動かしたのではないか。民主党政権誕生もあり、この国の公共事業のあり方が変わるきっかけになるだろう。
東京新聞より
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by fukimison | 2009-10-01 15:48 | 景観