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メッシーナ海峡大橋

2-3週間前の話ですが、イタリアで総選挙があり元EU議長であったブロディ氏を破り、前首相のベルルスコーニ氏が首相に返り咲きました。

これによりイタリア半島とシシリー島を結ぶ、メッシーナ海峡大橋プロジェクトが生き返りそうな様子を見せています。

つまりベルルスコーニ氏はこの巨大プロジェクト推進派であり、前回政権担当していた末期に、このプロジェクトの入札が行われ、プロジェクトが始動しようとしたとき選挙で破れたという経緯があります。後を引き継いだ建設反対派のブロディ氏は、費用がかかりすぎる、耐震性への不安、マフィアの関与があるなどとして2006年に見直しを決定しました。

しかしこのたび、三度首相を務めることになったベルルスコーニ氏は、およそ47億ユーロにのぼる同プロジェクトの復活を早くも支持者に語ったと伝えられています、

完成すれば最大スパン(主塔間の距離)33000mの吊橋となり、日本の明石海峡大橋(1991m)を抜いて、世界一の橋梁となります。

これほど大きなプロジェクトになると、橋床、橋脚などの鉄骨やケーブルの納入によって世界の資材市場に混乱をきたさないよう、事前に他の大型プロジェクトとの調整を行ったりします。また入札を行うにしても、これだけのプロジェクトに参加できる企業は資金・技術の面から限られており、その企業がどういったコンソーシアムを組むのか、などなど興味は尽きません。
確か、2006年に入札が行われたときは、事前にイタリア政府からこのプロジェクト監督母体となるメッシーナ公団(Stretto diMessina)が各国を回り、入札参加への調整をおこなったと記憶しています。

入札の結果、2005年10月に同公団は、イタリアのImpregilo社が主導するコンソーシアムを落札者としました。同コンソーシアムには石川島播磨重工業も参加しており、2012年の完成を目指すはずでした。

ここまで進んだプロジェクトがいわば中止になるということで、当時のプロディ政権はコンソーシアムから違約金の支払いを求められたりしたのではないかと思います。

こういった状態になったプロジェクトを再開するというのは、どうなのでしょうね。

生まれ方に問題を抱えたプロジェクトは完成しても批判的な目で見られることが多く、一部の人々にとり必要であったとしても、その部分に光が当たらず、なんとなく後ろめたい雰囲気があるように感じます。

イタリア本土とシシリー島を結ぶというアイディアはローマ時代から存在したそうです。
またシシリー島は本土に比べ、経済的な発達が遅れており、そのため交通インフラが必要とされていました。しかしフェリーで2時間、また飛行場も完成し、同島の農産物は空路欧州北部へ運ばれるようになり、本当にこの橋梁が必要なのか疑問視する声も上がっています。

日本のアクアラインや本四架橋の例もあり、予測どおりに交通量があるとは限りません。

個人的には、どんなに道路を整備したところで渋滞はなくならないし、渋滞のピーク時にあわせた建設を行うことは、ピーク時以外は収益性が上がらないことを意味しますし、予測のための計測を行った時期、計画、建設、完成には相当なタイムラグがあることから、予想通りにならないことの確率の方が高く感じています。

先進国において必要不可欠な道路、橋梁、トンネルはもう出来上がっており、今言われているプロジェクトは、あればよい、なくても大丈夫の程度のような気がしています。
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by fukimison | 2008-05-01 22:21 | プロジェクト  

パナマ運河浚渫入札

パナマ運河はスエズ運河を建設したレセップスが建設に着手したものの、地形的問題、環境的問題が山ほどの難工事で途中で断念。その後紆余曲折をへてアメリカが完成し、管理してきました。
たしか熱病で死亡した作業員だけでも、万単位だったと記憶しています。

パナマは基幹産業といえば、この運河だけといっても過言ではないでしょう。
なぜなら、人口の8割がなんらかの形で運河に係ることで生活をしており、国家歳入の9割が運河の通行費用だったと思います。

完成から90数年が経過し、船舶の大型化はパナマ運河が通行不可能な船舶、いわゆる「ポストパナマックス」のタンカーを生み出してきました。ちなみにポストパナマックスは南米最南端のホーン岬を航海して太平洋と大西洋を行き来します。

中国へ向かう貨物船の増加、パナマ運河に対抗しメキシコがインターモーダルの港を建設するといった動きから、パナマ運河第3閘門建設が計画されたのですが、総工費52億5000万ドルの巨費をかけるべきか否かで2007年に国民投票が行われ可決されました。

これをうけ、まず太平洋側の入り口を浚渫することになり、近頃その入札結果がでました。
この入札には3社が参加、ベルギー企業が1億7700万ドルで落札したのですが、入札参加企業をみていたら、オランダとベルギーの企業しかおらず、スエズ運河の浚渫を行った日本企業は参加しなかったのですね。

それはともかく、大型船舶が通行可能な幅に運河を拡幅するということは、単なる掘削土木工事ではなく、太平洋側と大西洋側の高低差を克服するために閘門があるのですが、この閘門を満たす水が大きな問題となっています。

船が航行するたびにガツン湖、ミラフローレス湖からの大量の湖水が閘門を満たし、その水は最終的に大洋へ投棄される。

両湖はパナマ国民の水源としても利用されているだけに、飲料水の欠乏を危惧する声、水量低下による漁業不振、なによりも太平洋と大西洋の海水が混入することによる環境への影響不安が叫ばれていました。そのため第3閘門は節水型のものとなり、排水される水量は今までに比べれば僅かになります。

パナマ政府は2014年のパナマ運河開通100周年までに、この拡幅工事を完成するとしていますが、今回入札が行われた太平洋側の浚渫に加え、大西洋側の1400万立方メートルの浚渫、拡幅プロジェクト自体で5000万立方メートルの浚渫が必要となるだけでなく、全長427m、幅55m、水深18.3mの閘門で仕切られた区画室の建設と、先は長そうです。
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by fukimison | 2008-04-17 14:52 | プロジェクト