カテゴリ:公共財( 42 )

 

Smart Grid

本日は公共財、それも本筋の送電網のお話です。
送電網といえば一方通行、イメージ的にはダムで発電された電気が日本中に張り巡らされた高圧電流網を通り、中継基地を経由し家庭に届くというものです。たまには太陽光パネルを張った建物で発電された電気が売電されることもありますが、まあ99%は電力会社が売り、消費者が買うという一方通行の送電網でこれはSuper Gridと呼ばれています。

それに対してSmart Gridとは次世代型電力管理網とでもいうのでしょうか、地産地消型電力網を可能にするシステムといったらよいと思います。これの動きについてはCisco、スマートグリッド戦略『Smart Grid Solutions』を発表グーグル、「Google PowerMeter」でスマートグリッド分野に参入という記事を読んでいただくのが速いと思います。

これだけでも大変な記事になりますし、スマートグリッドのシステム内容をお伝えし始めると長大な文になってしまいます。でもお伝えしたいのは日本ではまだごく一部の人の間でしか話題になっていないスマートグリッドが中国で本格的に導入が計画され、新聞で大きく取り扱われているということです。
6月1日付けのShanghai DailyはChina gets smart on power supplyという記事を掲載し、「中国はスマートグリッドを構築する10年プロジェクトを立ち上げた。このスマートグリッドは送電をデジタル期に突入させ、電力供給の安定やエネルギー保全の押し上げに威力を発するものだ」としています。
さらに「スマートグリッドは中国が電力産業の課題に対処し低炭素経済を開発するために必須だ」とするアナリストの意見を伝えています。

2020年の完成を目指し、技術的な基準や計画コンセプトの開発は今年(2009年)から始まるそうです。
中国の送電網は約118万km、その大部分は従来型のもので、これを介して約300万ギガワットの電気が送電されていますが、その減退率は6.6%に達しているとあります。2020年までに中国の電力需要は倍増すると予測されると共に、2020年までに代替エネルギーによる発電の割合を15%にする目標を立てています。そうなると送電網自体が監視・管理システムを持つスマートグリッドの必要性が高くなります。

中国はスマートグリッドに年間680億元(100億ドル)もの資金を投入する必要があるだろうとアナリストは記しています。既に米GE社CEOは訪中を行い、スマートグリッドを含む業務提携の合意を取り付けています。
スマートグリッドはオバマ政権のグリーンニューディールの一環でもありますし、米国ではGEにシスコが参加して中央管理システムを介したメーターの接続、変圧器、デジタルサブステーション、発電機器の総合的システムの構築を行っていく予定です。

2009年1月、中国は中央部で超高圧送電網(640km)の実証を開始し、今のところ安定的に利用できているので、これを2000kmに拡大する計画だと伝えています。中国国営送電網社(State Grid Copr of China)は超高圧(UHV)プロジェクトへの投資を増額し、2012年までに3000億元(当初計画の50%増)を割り当てる計画だそうです。
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by fukimison | 2009-06-03 11:19 | 公共財  

英、62億ポンドのM25号線拡幅PFI決定

久しぶりにコアのPFIものです。

5月20日付けのNCEは£6.2bn M25 mega-PFI signed というタイトルでM25号線のPFI工事が決定されたことを報告しています。これはBalfour Beatty (40%), Skanska (40%), Egis (10%)そしてAtkins (10%)で構成されるConnect Plusというコンソーシアムが62億ポンドのM25号線拡幅PFIを獲得したというものです。この拡幅計画は随分と遅れた制せで当初55億ポンドだったものが62億ポンドにまで膨れ上がっています。

M25号線はロンドン周辺の環状高速道路で、渋滞で名高い道路です。この渋滞解消のため、以前から拡幅が叫ばれており、今回の決定でM40号線とA1号線との接続区間、さらにM11号線とA13号線のそれとが4車線に拡幅されることになりました。

混雑区間の拡幅ですので、工事は道路利用車両への影響を極力抑える形で段階的に行われる予定ですが、道路庁は2012年のロンドンオリンピックまでに工事を完成したいとしています。拡幅完成の暁には1日あたり20万台の車両が通行可能となるそうです。

プロジェクトの資金調達状況ですが、決定された13億のうち9億2500万ポンドは商業銀行16行による上位債務、これとは別に欧州投資銀行からの1億8500万ポンド、そしてConnect Plusの株主による2億ポンド
です。

運輸大臣は発表に際し、M25号線ネットワークの維持管理と運営を兼ねたこの拡幅計画は今後30年を見据えた、混雑軽減、移動時間の改善と確実化、安全性を道路利用者にもたらすものだと語っています。

一方で1973年に設立された交通問題を対象とする民間団体Campaign for Better Transportはこの決定を「ばかげた浪費」と批判しています。参考記事はこちらNCE

その理由として去年4区間を拡幅するのに50億ポンドと発表し、それが今では2区間で62億ポンドと工事を始める前に増加している。政府自身の調査でも、どんなに拡幅し通行容量を上げたとしても、M25号線の混雑解消は難しい出ている。これは税金の無駄遣いにしかほかならないと手厳しいです。

日本も金融収縮のこの時期に道路工事?と批判がありますが、どうなんでしょうね。
個人的には、水運をもう少し視野に入れてもいいんじゃないかなと思うんですけどね。
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by fukimison | 2009-05-21 11:01 | 公共財  

英国の環境予算

英国の2009年度予算が発表され、その中の環境関連予算の規模が目を引きます。サブプライム・リーマンショック以降、金融立国を目指した英国・アイルランドの不況は大きく、住宅価格の下落や失業率の高さがたびたびニュースになります。そのような不況時の予算編成ですが、先日もお伝えしたように米国は7870億ドル規模のARRAにおいて16億ドルを環境関連に充てています。そして4月22日付けのNCEはBudget 2009: £1.5bn green energy boostという記事を載せ、環境関連への投資を不況下の起爆剤にする様子を伝えています。

15億ポンドの環境予算の内容ですが、5億2500万ポンドが新規の沖合い風力発電、住宅やビルの省エネ支援に4億3500万ポンドの積み増し、低炭素エネルギーや先端環境製造業そして最大4件の炭素回収実証プロジェクトに4億500万ポンドと発表されています。

さらにダーリング蔵相は熱電併給技術を奨励し、この種のプロジェクトは企業に化せられる気候変動税が2013年から適用除外を受けることで25億ポンド超の投資を促進するだろうと述べた。

英国は2020年までに二酸化炭素排出量の34%を削減するという目標を掲げていること、新しい産業育成分野としての環境との考えから、このような予算が組まれたのだと思います。

しかし22日付けのガーディアン紙は「2020年までに二酸化炭素排出量の34%削減を目指すCarbon Budget」というタイトルの脇に「科学者は排出目標は時代遅れで、充分な対策といえないと警告」と副題をつけ、論調は懐疑的です。

同紙は2020年までに42%の削減という数字を挙げている環境保護団体を紹介し、予算規模より目標数値に関する疑問を示しています。
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by fukimison | 2009-04-23 11:15 | 公共財  

2009 Arabian Power & Water Summit

いろいろと雑事に追われ、コンスタントに更新ができなくて残念です。
本日の記事は3月31日にアブダビで行われたArabian Power & Water Summit(中東地域電力&水サミット)です。
これは中東地域のインフラ経済雑誌であるMEEDが主催するもので、今年で6回目になります。その中で注目すべきは31日の午後のセッションでIAEAのPradeep Aggarwalさんという専門家によるnuclear energy and water resources というスピーチで、これについてMEEDはGulf at crossroads over nuclear powerという記事を出しています。

いわゆる原子力大国は米国、ロシア、中国、英国、そしてフランスで、特にフランスは原子力発電が半分を占めるから、CO2削減を目指す京都議定書締結で涼しい顔をしているというのは良く知られていることです。でもベルギー、リトアニア、スロバキアが消費エネルギーの半分以上を原子力に頼っているとは知りませんでした。

原子力発電は温暖化ガスを発生しない、ウランの使用量はごくわずか、火力や水力発電に比べ発電量はけた違いに大きいし運営費は低いといい事ずくめのように言われます。しかしこの記事にもあるように建設費は巨額ですし、原子炉を廃炉にする費用を勘定にいれると1キロワットを発電するのに8,000ドルがかかることなるとあります。8,000ドルという数字は始めて見ました。

そして記事は「これは建設可能なものとして、最も小型の原子力発電所は750,000キロワット程度であるが、その費用は60億ドルにのぼり、それは同規模の発電力を持つ従来型発電所費用の6倍超となる」と続いています。

費用もさることならが、原子力発電は濃縮ウランや兵器用の核分裂物質製造へと繋がります。だからこそ世界は北朝鮮やイランの原子力発電を疑問視し、IAEAはウラン濃縮を一元管理するとか厳密な管理下における実施を目指しているわけです。

次に放射性廃棄物の問題があります。誰であれ、放射性廃棄物の処理場が近所に建設されるのは大反対。そうなるとどこへも持っていけず、米国のように発電所内に保管することになり、費用もかさむし危険係数も高くなります。

そして3番目が事故、以前はチェルノブイリの事故みたいにヒューマンエラーや細管の破砕や自然災害といっても大型地震が言われていましたが、現在はカトリーナ級の台風が発電所をおそったらという、想定外の自然災害による事故の危険も無視できません。

中東はあれだけ太陽光に溢れた地域なのですから、建物の断熱を高めることで消費電力が10%はカットできますし、これに加え太陽光発電をもっと利用する方向へ持っていくほうが長期的にはお得だと思われます。

日本企業は海水の淡水化とあわせ、太陽光発電の逐電装置をもっともっと売り込みましょう!
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by fukimison | 2009-04-02 12:24 | 公共財  

米州政府ダム安全担当者協会、ダム改修に500億ドル必要

いろいろとニュースがあったので少し古いプレスリリースですが、私たちの生活にも関係する恐れがあると思うのでお知らせです。
欠陥のあるダムの修繕計画への予算を政府に求めているアメリカのThe Association of State Dam Safety Officials (ASDSO:州政府ダム安全担当者協会)という機関は、2009年1月29日にInvestment in Infrastructure:Focus on Damsというプレスリリースを発表しています。

このリリースによれば、high-hazard-potensital ダム(人命にかかわる事故が発生する確率の高いダム)の修繕費用160億ドルを含め、アメリカ全土で修繕が必要なダムの総修繕費用は500億ドルにのぼるそうです。2003年の報告書はhigh-hazard-potentialダムが101億ドルで総額は360億ドルであったことから比べると、大変な伸びというか上昇を示すものとなっています。この160億ドルが必要なHHPですが、公的機関が所有するダムで87億ドル、民間所有のものが73億ドルの割合だそうです。

アメリカ国内には洪水防止、水力発電、給水、灌漑目的のダムを含め85000のダムが規制下にあります。米工兵隊(米国では公共の堤防・水路・ダムといったインフラは陸軍工兵隊の管理下にあり、2005年のハリケーンカトリーナでニューオリンズの堤防が決壊した原因のかなりの部分は工兵隊に帰せられます)が管理を行っている国家ダム統計の最新資料によれば、欠陥のあるダムの数はこの5年間で36%増加したとあります。

この85000あるダムのうち、連邦機関が管理するダムはたった4%だけで、残りは民間や地方行政の所有です。ダムの経年劣化、下流域の開発、ダムの設計や建設基準の進化によって改修が必要になるダムは増え、しかし改修費用は巨額に上ることから官・民を問わず、支払える機関は殆ど無いのが現状です。そこでASDSOは提言として、連邦機関が所有しないダムの維持管理費用の65%を負担する連邦基金とそれを可能にする法令の設置を求めています。

このレポートの最後に米国のダム所有状況の円グラフがあるのですが、民間所有が65%、地方行政所有が20%、ここでもう85%に達しています。さらに恐ろしいのは所有者不明のダムが4%あることです。ダムといっても溜池みたいなのからフーバーダムのような巨大ダムまで含んでいるのでしょうが、85000の4%は3400ですよ。所有者不明のダムというか溜池というか貯水池が3400もある。日本では考えられないことです。
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by fukimison | 2009-02-12 15:42 | 公共財  

英国で発電所建設

英国は2050年までに1990年比で温室効果ガスを80%削減するとという大きな目標を掲げており、沖合い風力所の建設や潮力発電の研究に熱心です。しかし、まだまだ安定供給には遠い、コスト的にも難しいというのが現状なのか、新しい発電所しかもcarbon capture and storage (炭素地中隔離技術:地質が持つ炭素貯留能力や海洋が持つ炭素吸収能力を活用し、二酸化炭素を隔離する技術。この技術によって、火力発電所から発生する二酸化炭素を長期間にわたって地下に固定することができる・詳しくはEIC参照)が設置される計画とはいえ、所謂ガス火力発電所3カ所の建設をNCEが3,900MW in new power approvedと伝えています。決定しています。これは2015年までに数ヶ所の発電所が役目を終え閉鎖されることに伴い、計12ギガワットの電力不足が見積もられており、これを補う目的で建設されます。

この3カ所の発電所とは
1、南西ウェールズに2,000メガワットのコンバインド・サイクル・ガスタービン(複合サイクルガス発電)による発電所
2、ヨークシャーに900メガワットの(integrated coal gasification gas-fired power station:IGFC・石炭ガス化燃料電池発電)による発電所
3、ノーフォークに1,020メガワットの複合サイクルガス発電所

この中で注目すべきなのはIGFCの採用でしょう。これは簡単に言えば、発電所の燃料として水素を生成するために石炭を利用する、もう少し詳しく言うと石炭ガスを燃料とし、蒸気タービン・ガスタービン・燃料電池という3種類の発電技術を組み合わせるもので、ガス化炉の特長と構造、 燃料電池の種類と特長のベストミックスといわれているものです。

一方でCombined Heat and Power Association(熱電併給システム協会)の事務局長は単に発電するだけの発電所ではなく、あわせて廃熱を利用する施設を選ぶべきであり、今後20年にわたり英国内に数千の職場を確実なものとする持続可能なエネルギーインフラに投資すべきであろうと発言しています。

熱伝併給システム、日本風に言うとコージェネですが、利用できるものは全て利用する、しかもこの時期です、職場の創生というのは魅力でしょう。
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by fukimison | 2009-02-06 10:35 | 公共財  

ロンドンの新空港、ジョンソン市長の夢?

英国の空港といえばヒースロー、最近の話題はこのヒースローに第3滑走路を建設すべきか否かで、最終的に建設が決定されたのですが(2015年から2020年に完成予定)環境や騒音基準にあわせるとなると、年間125,000便の利用しか見込めません。この数字は当初計画に比べ222,000便も少ないものです。ここまで少なくては建設する意味が無いような気がします。

そこで浮上するのがロンドン市長のボリス・ジョンソン氏が市長選にかかげていたテムズ川の河口に建設する空港用の人工島建設です。これの記事はおそらく2008年2月のTimes Onlineが一番詳しいかと思います。

政府がヒースローの第3滑走路建設を承認したにも係らず、この計画に反対するジョンソン市長はテムズ川河口の空港建設予定地へ現地視察に出かけたりして、実施に熱心です。その記事がGuradian紙のLook seriously at Thames estuary airport, Boris Johnson tells politiciansです。

この記事によるとジョンソン市長は関係地域の市長や土木技術者でこのプロジェクトのフィージビリティー調査を行うDoug Oakervee氏と共にボートで現地を視察し、計画実施に意欲を見せたとあります。このOakervee氏ですが香港の空港プロジェクトに係り、現在はクロスレイルの取締役でもあります。(このクロスレイルプロジェクトもなかなかの大工事でインフラ好きにはたまらないものがありますが、このお話は後日)

当然これに反対する人々がいます。テムズ川の河口ということで野鳥の生息地が脅かされる、人工島建設によるエコシステムの破壊、騒音や環境汚染を心配する住民、なかでも目を引いたのが、つい先日のニューヨークで起きたUS Airの事故に言及していることです。あの事故の墜落原因はエンジンに野鳥が巻き込まれたことだといわれていることから、その二の舞を恐れる意見がちょっと目新しい。冬だけで20万羽の野鳥が飛び交うテムズ河口であれば、確率はありそう。

ロンドン市議会の環境委員会開催を前に労働党で環境担当スポークスマンのQureshi氏は、ジョンソン市長の提案を「ジョンソン市長は混雑課金ゾーンを半分にし、低排気ガスゾーンを延期し、市庁の環境チームをずたずたにし、今度は環境に致命的な打撃を与える空港をテムズ川に新設しようとしている」と手厳しく批判ケンモホロロに否定したとNCEにあります。

川や海岸部の空港は陸地にある物に比べ、総合的に良いように思います。でも関空の例もあるように、地盤沈下や都市からのアクセスを考えると費用とその対価に疑問を感じるものでもあります。空港騒音に悩み、訴訟を起す人の気持ちは、恐らく、騒音の無かった昨日と同じ日を過ごしたいと思い、それを要求しているだけだ、といったものじゃないかなと想像します。

必要なインフラ、でも歓迎されないインフラの1つです。
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by fukimison | 2009-02-05 10:45 | 公共財  

韓国、釜山と巨済島を結ぶ橋

大型船舶の航行を可能にするため、橋梁と海底に設置した沈埋函トンネルを組み合わせた車両用連絡橋としては、米のチェサピーク湾にかかるチェサピークベイ・ブリッジトンネル(全長37km)が有名です。現在韓国で建設が進む釜山・巨済島間の連絡橋トンネルは、斜張橋とトンネルを組み合わせたもので、韓国初となる沈埋函工事であることから大変な難工事となっています。

釜山と巨済島は8kmしか離れていないものの、トルコのイスタンブールで建設中のボスポラストンネル(海面下60mの海底に沈埋函を沈めてトンネル建設を行っています)に次ぐ海面下48mの海底に沈埋函トンネルを建設するもので、完成すれば自動車用沈埋函トンネルとしては世界最深になります。

これに加え海底の高低差が激しい上、台風が襲い地震が発生しする海域にたった6年で連絡橋トンネルを建設しようというもの。さすが韓国です。NCEの記事によれば総工費18億ドルの連絡橋トンネルの建設はDaewoo Engineering & Construction社が率いる7社からなるコンソーシアムのGK Corporationが行っています。(ハルクローとTECが技術コンサルタントサービス、沈埋函トンネルの設計はDaewooとデンマークのCowi社のジョイントベンチャー。Cowiは斜張橋の設計にも加わっていますし、他にはオランダのTunnel Engineering Consultants、アメリカのArcadis and Ben C. Gerwick、デンマークのPihl and Son社が参加しています )

この連絡橋トンネルは3つの部分で構成され、まず本土からDaejuk島とJungjuk島に至る3.2kmの沈埋函トンネル、その後道路は南へ進みJungjuk島とJeo島間の2つのパイロンを持ちメインスパン475m、全長919mの斜張橋、そしてJeo島と巨済島間の3つのパイロンがあり、メインスパンがそれぞれ230mの全長676mの斜張橋があります。このほか1.9kmの取り付け橋と1kmの掘削トンネルが付属します。

この橋の完成予想図としてはENR誌のFor Contractors and Their Advisers, A Sinking Feeling Is Good in Busanにあるものが分りやすいと思います。

気になるのはこのプロジェクトの資金調達方法です。官民パートナーシップ、いわゆるPPPで行われており、18億ドルの工費の4分の3をこのプロジェクトを実施しているGK Coporationが調達、残り4分の1を韓国政府が出しています。連絡橋トンネルは釜山市および釜山省と40年の建設・譲渡・運営契約を結んでおり、通行料を課金することで利益を上げる代わりにGK社は設計、建設および運営に責任を持ちます。

現在6年の工期のうち5年が過ぎ、プロジェクト全体として65%のところまで来ています。
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by fukimison | 2009-02-02 11:46 | 公共財  

インド、 今後5年間でインフラ投資に5000億ドル必要

11月5日にドバイの商用不動産についてお伝えした記事で、JBICがインドのデリー・ムンバイ間の工業地帯開発プロジェクトへ投資を行う覚書に調印したというニュースを少しお伝えしました。

これに関係し、11月9日のNew Kerala NewsにIndia needs USD 500 bn for core sector in next five yearsという記事が出たのでその要約や周辺情報をお伝えします。

久々のアジア地域ニュースです。

この記事は、11月9日、在オマーンインド大使館前に集まった人々を前にインドのシン首相は、「今後5年間にインフラ開発に5000億ドル超が必要だと語った」で始まっています。そして「特に農業や地方開発を重視しており、また若者への新たな機会が勃興していることから、インド史上最大の大型教育、社会福祉、技術開発および就業プログラムを推進する」としています。

現在の世界金融危機について、インドの成長率は今後5年間に下落をみるだろうが、来年の成長率は7から7.5%の達成が可能であり、インド経済のファンダメンタルズは大変堅調、これに加え、インドの銀行システムや金融機関は健全だし、政府は世界の動きを把握し短期・長期の両方を視野にいれ、さらなる成長を目指しているとしてます。

インド人の数学頭脳は定評がありますが、それと実態経済との連動はどうなんでしょう?アイスランドの破綻は金融立国を目指し金融工学の専門家の意見を重視しすぎたからだと思っています。それに来年(2009年)は7%の成長なんて言われると、つい本当?と天邪鬼は言いたくなります。

さらにシン首相は「インドの人口構造は若く、これがインド経済を牽引していくだろうし、国内貯蓄率はGDPの35%であり、投資率はGDPの37%だ。」と述べています。

そこでインドの人口統計をサーチしてみたところ、2001年推計で10-14歳を最大とし、その後減少に転じているちょっとひし形っぽいピラミッドの図表とインドは2030年ごろには中国を抜いて世界一になると推計され、さらに2050年にインド人口は16億人に達するとした図表が出てきました。

どちらにしても15年ぐらいは人口増が続くということで、一人っ子政策のため急速に高齢化してゆくといわれている中国よりはいいかも。

あのエネルギッシュさで進めば怖いものなしですが、それと国内の法制度や根回しシステムは別物。鉄道だ、道路だ、港湾、空港整備だと言われても、なんとも進まない現状はどうするんでしょう?

ケインズ的公共投資による景気浮揚策に批判的な私ですが、インドの場合、適切な交通手段や上下水道、電力の確保はマストでしょう。
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by fukimison | 2008-11-11 11:50 | 公共財  

ガザ地区のトンネル産業

本当はインフラや景観、特に都市景観に関係する事柄を紹介する目的で始めたブログなのに、リーマンショック以降なかなかこういったプロジェクトに関する記事が出てきません。プロジェクトを進めるのにはどうしても資金が要るため、建設業界の外側の状態を紹介するのは必要なんですけど、それが行き過ぎた記事選びになっていると、ちょっと反省です。でも面白い記事が出てきません。

そうした中、10月16日付けのBBCにGaza tunnels 'become an industry' という記事が紹介されていまいた。イスラエルとパレスチナの対立は、最初は何で始まったのか、どういう経過でこういうことになっているのか、忘れてしまうほど、または日本人にとっては理解し出来ないほど込み入っていています。一般的な意識は、イスラエルとパレスチナは対立している。イスラエルはパレスチナのガザ地区を封鎖している。これに対抗してパレスチナ人は自爆テロを仕掛けるなどして、対立抗争はどんどんエスカレートしているといったところでしょうか?

イスラエルの封鎖によりガザ地区は、恒久的はインフラ整備は進まず(空爆もあったりして破壊されることはあっても、新規に建設されることはまずない)そのため汚水処理施設というより、溜池で凌いでいる状態。日本ではあまり報道されませんでしたが、2007年春にはガザ地区北部で汚水貯水池が決壊し、村が洪水になり死者や負傷者がでている始末です。(BBC2007年3月27日

さておさらいです。ガザ地区の面積は360平方km、ここに150万人が居住。地中海に面し、西をエジプト、それ以外をイスラエルに囲まれている。

そこで本日の記事ですが、国連の報告書によるとガザ地区とエジプトを結ぶトンネルが同地に住むパレスチナ人のライフラインになっており、食糧や燃料をはじめとして多数の製品がトンネルによって運び込まれ、このトンネル産業に何千人もの人がかかわるようになってきているとあります。

イスラエルはエジプトの取り締まりが緩いため、食糧や生活物資だけでなく武器までトンネルを介して運ばれていると非難しています。また報道によれば、現在国境沿いに数百のトンネルが存在しているそうです。国連報告書は「事業者の能力不足により正規の通行所を介しての商業活動が行えないでいるため、トンネルはパレスチナ人にとりますます重要度を増している」と記しています。しかしエジプト、イスラエル、パレスチナ人の穏健派とイスラム原理主義者、そして第1次中東戦争から因縁を考えると、そう簡単に閉じた国境を緩めるとか、欧米で見られるような通関作業なんてできると思えません。

しかしトンネル事故により約40人が死亡していると続くところを見ると、ちゃんと設計したものではなく、たぶんで手掘りの危険なものだと想像されます。
2008年9月、ガザ地区を支配するパレスチナのハマス(イスラム原理主義者のほう)は、トンネルを介した通商の免許と管理に関する規則を導入したとあることから、正規のものとして利用していくのですね。
正規のものとして利用していくのは良いけれど、やっぱりちゃんと国境を空けるべきだとUN報告書は結んでいます。

土質なんて考えてもいない手掘りトンネルでしょうけど、現実に人の役に立っているというのはインフラの本質ですね。
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by fukimison | 2008-10-20 12:34 | 公共財