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リバプール再開発

Construction Newsを眺めていたら「Liverpool welcomes £1bn complex」というタイトルがあり、そういえばリバプールの中心街で再開発事業がおこなわれていたことを思い出しました。

この記事によれば、リバプールの中心部で計17ヘクタールを開発するリバプールワン事業は、1999年に開発許可を取得し、2004年から工事が始まりました。その事業内容は、小売店160軒、ホテル2棟、アパート600戸、5エーカーの広さをもつ公園、カフェ、バー、レストラン、3000台を収容する駐車場で構成されています。詳細はこちら→Liverpool Paradise Project

すごい計画だなぁ、建設費5億ポンド、投資価値9億2000万ポンドかぁと感心したのですが、別の記事はないのかしらとサーチしたところ5月28日付けのガーディアン紙でPolicing the retail republicと題された記事を見付けました。

この記事の出だしは10億ポンドのリバプールワン開発は欧州最大の民間開発であり、英国で3番目に富裕なウエストミンスター公爵が所有するグローブナー社がリバプール市議会から買い取り(250年の借地権)、郊外のショッピングモールから買い物客を市の中心街に取り戻すことを目的としているとありました。このあたりまでは借地権の長さに驚きましたが、日本と欧州の違いなどと受け止めていました。

しかし「アクセスに対する公的な権利が取り除かれることから、中心部の街路を事実上私有地化し浄化するのではと警戒されている」とあるのでびっくりしました。つまりこのプロジェクトというか民間企業が所有し開発している地域は、事業者による民間警備会社により取り締まられるという計画だそうです。この民間警備会社というのが、不安の一端を担っており、言い換えればビッグイシュー(ホームレスの人々が立ちなり資金を得るために販売する雑誌)を売る人々、スケートボードをする若者といった「好ましくない」人々の立ち入り(アクセス)を禁止するだろうということです。また飲食は、指定された場所のみで許されるそうです。

さらに「王立公認調査士協会の2006年版報告書によれば、この傾向はロンドンやシェフィールドといった他の都市でも見られる」と続いています。同協会は公的領域の所有と管理が公から民間部門にシフトしており、地主が都市の広大な地域を所有し管理していたビクトリア朝以降見かけることのなかったパターンが復活していることを指摘しています。

新宿の歌舞伎町、渋谷のセンター街など、監視カメラが多数取り付けられ、警備員が巡回する繁華街は日本でも見かけることができます。最近では保安上の問題からコンクリートの壁がそそり立つGated Houseが建設されるようになりましたが、開発用地全体が塀に取り囲まれ、出入り口に警備員が常駐するGated Cityが存在しないのは、日本ぐらいのものでしょう。

安全に越したことはないですが、監視カメラが多数設置されたり私服であっても警備員が巡回するのは、犯罪が起きることを前提としていることだと思います。犯罪が発生した場合、このリバプールワンや歌舞伎町の警備員はどういう行動がとれる、またはとれと指示を受けているのでしょうか?多分この警備員さんたちは、単にホームレスの人々やちょっと危ない感じのナンパ目当てのオニイサンたちを排除するよう指示を受けているだけなのでしょうね。

見えない壁のある繁華街といったところですね。

この記事の最後の所に所謂リバプール事業者組合みたいな組織の会長さんが、会員1500名にアンケート調査をおこなったところ、会員の86%が市の中心街全域でzero-tolerance(いかなる情状も酌量しない)政策を実施することを支持していると述べていました。
つまりこの政策により、安全=夜間の営業時間帯に家族づれを呼び込める=営業利益アップという図式のようです。

それが良いのか、良くないのか、見方によりいろいろな答えが出てきそうです。
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by fukimison | 2008-05-30 19:03 | プロジェクト  

ガソリン価格高騰

ガソリンが1バレル60ドルになったといっていたら、つい先日ニューヨークの先物市場では1バレル135ドルを突破しました。日本でもその影響を受け、6月の出荷価格は1リットルあたり10-11円程度引き揚げられるという報道がなされています。

このガソリン価格高騰は、航空運賃においては燃油サーチャージの付加をいう形であらわれ、日本から遠距離の欧州圏は4-5万円の加算になります。(航空運賃が10万円+サーチャージ5万円で計15万円になります)。また我が家のご近所の個人運送店は廃業を決めました。いろいろお話を伺うと、いままでも時間の制約、料金の値引き要求によって経営状況はとても厳しかったがガソリン代の高騰で、ほかの道を探した方が良いだろうという結論に達したとおっしゃっていました。

昨日の新聞に米国の著名な投資家のジョージ・ソロス氏が、ガソリン価格はバブル状態であり、その値上がり曲線はピークアウトが近いことを示しているとコメントしたとの記事が載っていました。

ガソリン価格の高騰は日本だけの話ではないので、ほかの国々の状況はと思い、サーチしてみました。

5月28日のAFPは、車社会の米国でもガソリン価格の上昇により、人々は電車、地下鉄、バスを利用するようになったと伝えています。
シアトル、ダラス、サンフランシスコでは公共交通利用は2ケタ台の伸びを見せており、1日あたり500万人が利用していたニューヨークの地下鉄は、さらにこの1月以来5%の乗客増となっているそうです。ワシントンD.C.の地下鉄営業者は、このままガソリン価格の上昇が続いた場合、さらなる乗客増が予想されることから、これに対応する計画(人員の配置など)を立案中だということです。

5月23日付けのIHTによれば、普通5月末は夏の旅行シーズンの始まりとされ、ガソリンセールスは増えるものだとされていますが、マスターカードによれば2007年の同時期にくらべ、7%近くもガソリン売り上げは減少したそうです。

ほかの国々にくらべ、ガソリン価格の低い米国、車依存の米国であってもガソリン価格の上昇は、人々を車利用から遠ざけているようです。

一方アジア諸国、なかでもスリランカ、バングラダッシュといった発展途上国は、政府や国営企業が石油の輸入や流通を管理している場合が多く、国民生活安定のために日本のように石油価格があがったからといって直ぐに石油卸業者が値上げを価格に転嫁することはなく、また値上げをしてもその上げ幅は低いものになっています。しかしこれを逆サイドからみると、国営企業がロスをだしていることになります。

IHTによれば5月25日、スリランカはケロシン、ガソリン、ディーゼル価格を14%から47%値上げすると発表しました。この記事の中にセイロン石油の会長は、「石油価格の上昇は、簡単に1日あたり160万ドルの損失をもたらすものとなろう。さらにいえば、この値上げを行っても赤字状態だ」と語っています。

欧州に目を転じると、5月27日フランスのサルコジ大統領は欧州全体でガソリン税の削減を提案したとIHTは伝えています。これはガソリンの値上げに対するフランス漁民の抗議行動に対応したものです。この種の抗議行動はフランスだけでなく、英国でもトラック運転手(約300人)がロンドン周辺の高速道路で隊列を組み、警笛をならし、交通渋滞を引き起こすというデモンストレーションを行っています。

EUのエネルギー担当広報官は、「過去ECは、価格上昇に対抗するため石油課税を変更することは、産油国に対し誤ったメッセージを送ることになるとしている」と述べています。

フランスのラガルデ蔵相は、産油国に対し消費国は価格上昇にかんしなんらかの手立てを求めるべきだとしていますし、さらにインタビューで、生産者の利益により際限なく価格が上昇するマーケットモードに、これからもずっと対応できるわけではないと述べています。

EUが何らかの手を打つためには、加盟27カ国が一致して行わなければならないという枷がありますが、欧州、米国、アジアの各国はいろいろな面での影響がはっきりと現れ始めていることから、そろそろなんらかの手立てが打たれるのでは?
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by fukimison | 2008-05-29 18:41 | つれづれ  

British Energy社の入札

いま英国系投資ファンドのザ・チルドレンズ・インベストメント・ファンド(TCI)によるJパワー(電源開発)株買い増しが新聞紙上を賑わしています。特に国の重要インフラに海外資本の比率が高くなることを日本政府が拒否したことで話題を呼び、またこれについて英国政府が日本政府に対し、外国貿易法の適用基準が不明確であるとの書簡を送ったりしています。

一方、このTCIのお膝元、英国では英大手電力会社であるBritish Energy社(BE)の買収が新聞紙上を賑わしていますが、その内容は日本とだいぶ違っています。

このBE社は英国政府が株式の35%を所有しています。
そしてBBCの報道によれば。BE社は原子力発電所(8カ所)と火力発電所(1ヵ所)を所有し、英国の電力需要の6分の1を賄っています。しかし発電所の閉鎖、新しい原子力発電所の開発費用、原子炉のあった用地の浄化費用など、とにかく雪だるましきに嵩む費用により資金難に喘いでします、

そのためこの英政府所有の35%の株式が売りに出されたところ、買収に名乗りを上げたのが、英国のガス会社Centrica、フランスのEDFやSuez、ドイツのRWE、そしてスペインのIberdrolaの各社です。

Centrica社をのぞけば、すべて外国企業。
また買収の申し出が数社からあったという報道により、BE社の株価が8%上昇したという報道はあっても、国益云々の記事は見付けられませんでした。

さらに5月23日、Suez社はフランス・ガス社との合併に専念するため、BE社の入札からおりる発表した報道がありましが、この報道で面白いと感じたのは、Suez社はフランス・ガス社との合併が終わった後あらためてBE社と交渉を行うことは排除されていないと、わざわざ記述されていることです。

日本的にいえば国の根幹を成す電力インフラですが、株式上場している企業である以上、市場論理と法律に従って交渉されるものであり、買収先について政府は口を出さない。
翻っていえば、国が守りたいのであれば、株は売らないということなのでしょう。




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by fukimison | 2008-05-27 21:26 | 公共財  

海水の酸性化

ここ4-5日、いろいろな記事はでているのにじっくり読む暇がなく過ぎていきました。
四川省の地震被害は幹線道路が寸断されたことで、救援が進まないこと、ミャンマーのサイクロン被害、アフリカの紛争と事件は多すぎるほどです。
その中でインフラとは直接関係ないのですが、北米海岸で大掛かりな調査を行っていた科学者が、海洋生物に大きな影響を与える恐れのある酸性の増加を発見したという記事が5月23日付けのガーディアン紙にありました。

その記事によれば、科学者はCO2の排出増の帰結として大洋の酸性を予測していたそうです。しかし大洋の各所においてその増加は予想以上に激しく、この調査は2050年の予測数値が現実のものになっていることを示しています。

専門家は、この増加が海洋生物に壊滅的な影響を与えると予測しています。さらなる海水の酸化は貝類、プランクトンやサンゴの殻が固くなるのを阻害するだろう。このことは、海洋生態系を乱し、魚種資源の大幅な減少を導く可能性をもち、全食物連鎖における生産性に深刻な減少をもたらすだろう。

気候変動に関する政府間パネル(IPCC)が2007年に発表した4番目の報告書にも、この大洋の酸性化の問題は取り上げられています。

人類が作り出すCO2の約半分が海洋に吸収されることから、より大量の温室効果ガスの発散はより海洋の酸性化を導きます。炭酸を生成し、海洋化学を変性し、殻の堅い海洋生物は炭酸水素イオンがより得にくくなります。

この記事の最後に科学者の言として、「この酸化で海洋生物が直ぐに絶滅するわけではないが、問題なのは酸性度の進み方の速さだ」としている部分があります。

海温の上昇によるサンゴの白化減少だけでなく、海水の酸性化もサンゴに影響を与えていたのか、そしてその数値が予測をはるかに越えて進んでいるというのは、台風やサイクロンの増加と大型化に加え、なんだか薄み気味悪いものです。

こうなるとマメに電気を消したり、エコバッグを持って買い物にいったりしても追いつかないのでしょうね。
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by fukimison | 2008-05-26 22:47 | つれづれ  

バンガロール・新空港オープン

インドのバンガロールはハイテク企業が多数進出し、インドのシリコンバレーと呼ばれ、インド経済を牽引する都市として知られています。それと同時に、都市計画を立てる暇なくどんどん建物が建ち、道路、上下水道といったインフラが追いつかない。これはバンガロールだけでなく、インド全体、もっと大きくいえばアジア全体でおきていることでしょう。

そのなかでもバンガロール空港は規模が小さく、1日に300回もの発着を繰り返す、常に込みあった空港で知られています。ただ東京の成田のように、都心から離れておらず便利ではあるの野の、どちらかといえばごみごみした住宅地の中にあることから、別の意味で怖い者があります。

そのバンガロールに新空港が開港します。

5月21日付けのIHTによれば、新空港はバンガロール市中心部から約30kmの郊外にあり、すくなくとも片道90分はかかるそうです。さらにいえば、ハイテク企業が林立する地域からはそれ以上の時間がかかるでしょう。

これに加え、新空港のある地域はまだ市営水道の敷設が行われていない地域で、従って新空港の近くにホテルや事務所の建設が行えません。

この空港、本当は3月末に開港の予定でしたが、管制官が訓練時間がもっと必要だといったことから5月末に延期されたといういわくがあります。

また、新空港開港と同時に、いままでの空港を閉鎖するとしたことから、これに対しても不満の声があがっています。

インド官僚のお役所仕事は悪名高く、とにかく仕事が進まない。そのため計画から実施に至るまであまりに時間がかかり、さて開通、または開港したときには、その計画は時代遅れに成っており、予想を上回る利用者により混雑が始まるといいます。

1600ヘクタールの敷地に建設された新空港は、初日から1日に440回の離発着をこなし、初年度に1100万人の乗客をさばくことを約束しています。

政府は新空港へ接続する道路や鉄道の建設を約束していますが、その殆どは遅延、場合によってはその計画は取りやめになっています。その原因の1つが土地収用に関する裁判です。この計画には32もの政府機関がかかわっており、各機関同士の調整がつかないというのが真相のようです。

道路の改修が遅々として進まないことから、渋滞の中、車に坐ってなんかいられない人々は新空港とバンガロール中心部を結ぶシャトル・ヘリコプター(約10分、100ドル超)を利用することになるのでしょう。
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by fukimison | 2008-05-22 11:11 | プロジェクト  

The Definition of Zero Carbon

英国は建築物による温室効果ガス削減に取り組み、2020年までにゼロカーボンの新築住宅を300万戸建設することを目標としています。

これに対し英国グリーンビルディング評議会(Green Building Council)は、現在のゼロカーボンの定義が厳しすぎることから、新築家屋の80%が定義に合致しないだろうとするレポート「The Definition of Zero Carbon」を発表しました。

英国政府によるゼロカーボン建築の現行定義は、建物で使用する全エネルギーは、建築物に直接配電するオンサイト(施設内または敷地内)、または用地に隣接し設置された風力発電や太陽光パネルといった再生可能エネルギー技術により供給される定められています。

UK GBCはこのオンサイトという取り決めに懸念を表しており、同評議会はゼロカーボンの定義の対し提言を行っています。

その1つは、全新築建築物は建築設計、および開発業者が設置する住宅機器の両者において、厳格な最低省エネ基準に合致しなければならない。

2、全新築建築物は開発地において、またはその近隣において使用するエネルギーにより放出される温室効果ガスを軽減する方法を検討しなければならない。

3、上記2項目に加え下記のいづれかを行う。
A:明らかに追加的であり、特にその開発で必要なエネルギー供給のために建設される場合、民間配電網の設置なしにオフサイト(建築物自体、または敷地外)のエネルギー源を認める。または
B:開発業者は「コミュニティーエネルギー基金」に支払いを行う。同基金は新施設を介し、純温室効果ガス削減と同等、またはそれ以上が実施されることを保証するものだ。オンサイトまたは地域限定的な方法の実施に向けた奨励であることを明らかにするために、基金への支払い額は、コミュニティー規模のエネルギー源の費用より高額のマージンで設定されなければならない。

英国は今後30年間に建築物を発生源とする温室効果ガスを約750万トン削減する方針を打ち出しています。

政府とUK GBCとの綱引き、さらにはEU指令やほかの条件も加わり、これが達成されるかどうかはなぞですが、PPPやPFI発祥の英国ですから、いろいろと試行錯誤していることは確かですね。
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by fukimison | 2008-05-20 20:51  

ナイジェリアのパイプライン事故

ここ数日いろいろと忙しく、なかなかエントリーする時間が見付けられずちょっと間が空いてしまいました。このあいだに世の中はいろいろなことがあり、中国の地震被害は死者数が3万人超となり、ダムの問題もダムの亀裂だけでなく、土砂崩れと豪雨の堰き止めと大変なことです。さらに四川省にはplant 821と呼ばれる核弾頭の製造基地があり、消息筋によればアメリカの軍事衛星は同プラントの地震被害による放射能漏れがないか必死にモニターを続けていると言います。

一方ナイジェリアでは同国最大の都市であるラゴスの郊外で、工事車両がパイプラインに衝突し、その結果石油に引火。さらに周辺の住宅や学校が燃えるという大火災が発生し、100人超が死亡したとみられる事故がおきています。

この記事を読んでいくと、死者数が同地区の病院関係者の話(死者100人超)とナイジェリアの緊急管理庁の話(死者10名、負傷者36名)とだいぶ違っています。

それよりも目を引いたのが、ナイジェリアとくに政情不安な南部では反乱軍によるパイプラインの襲撃は日常化しており、さらに貧困な付近住民が石油を闇市場で売るため、パイプラインから原油を盗み出すことから、パイプラインの漏油やこれの引火による火災はさほど珍しいことではないという一説です。

この事故は道路の維持管理作業を行っていたグレーダー(地ならし機)がパイプラインにぶつかり、石油が漏れ、そこにグレーダーのスパークが引火して燃え上がったということです。

過去にも同様の火災が起きており、2007年12月ラゴスで、埋設パイプラインから石油を汲み上げた際に引火し、少なくとも45人が死亡、2006年12月にも盗賊によりパイプラインが破裂し、引火したため約260人が死亡、同年5月、やはりパイプラインの爆発により150人が死亡、1990年には南ナイジェリアで同種の火災事故で1500人が死亡しているとあります。

平和ボケの日本人にとり、パイプラインから石油を盗み出すという行為、またそれの爆発で1500人が死亡するという規模の大きさに圧倒されます。

中東アフリカの不安定さ、アジアを襲う自然災害、かと思うと原油高に湧くロシアでは、2007年第二四半期と2008年に開発業者は計460万平方メートルのショッピングモールを開設する計画だというし、なんだか終わりの始まりのような気分になります。
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by fukimison | 2008-05-19 18:49 | つれづれ  

四川省地震とダム決壊

中国・四川省の地震情報に関し、日本の報道は被害状況や各国の救援申し入れに対する中国の反応といった面を報道することが多いようです。
特に本日の報道は、各国に先駆け日本の救援隊が中国に向け出発したということを一番にあげているようです。

たしかに地震発生から3日近くが過ぎ、こういう大災害時のクリティカルリミットである72時間が過ぎようとしていることから、これらの報道は必要だろうと思います。

海外メディアが報道していて日本のメディアの報道が薄い部分に、四川省にあるダムの地震被害があります。

たぶん1番分りやすいのがCNNの報道でしょう。
この5月16日付けの記事によると、Zipingpu(紫坪鋪)ダムに亀裂が入り、日本風に言うと2000人の中国人民軍が亀裂に土嚢を詰め込むために送られたそうです。水利相は同ダムが決壊した場合、この下流の人口60万の都江堰市が浸水被害を受けるとして、緊急補修を求めていると語った。

2006年に完成し、中国でも近代的なダムの1つに数えられるダムであるが、建設に際し主要断層線に近いということで、地震学者から警告を受けていたとあります。不幸中の幸いというべきか、貯水量は半分程度であるためダムにかかる水圧は満水時に比べ低いこと、さらに下流都市の安全確保のため放水を行うなど、応急処置が上手く行けば、さらなる被害は防げるでしょう。

しかし同国の上位決定機関である国家発展改革委員会は、この地震で計391のダムが被害を受けたと発表しています。これらのダムの大部分が小型であると発表していますが、中国は全土に全世界のダムの半数がを占める計22000のダムを有する国です。長い間公表はされていませんが、1975年に豪雨でBanqiaoダムを含む62のダムがドミノ倒しのように次々に決壊し、300万haが水没、26000人の死者がでたということです。

もうひとつ気になるのは、この四川省で地震を起した断層線は青海省から四川省を通り雲南省にいたる1400kmにおよぶ断層であることから、青海省の西寧からチベットのラサに至る青蔵鉄道に被害は出ていないのかというのがあります。チベット鉄道といわれる同路線は平均海抜4500mのため、永久凍土や融解と凍結を繰り返す地点を通過することから、いろいろな意味で危惧されたプロジェクトでした。岩盤に基礎杭を打ち込み、高架路線としてあるだけに地震の影響はないのか不安です。
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by fukimison | 2008-05-16 15:29 | つれづれ  

Velib:ベリブ

近頃、交通渋滞を避ける、環境に配慮、いろいろな点から自転車を利用する方々が増えてきました。それと同時に自転車利用についても、様々な角度からの記事が新聞紙上を賑わすようになりました。駅前の駐輪施設不足や自転車と歩行者の事故(なかには死亡事故にいたるものまで)の増加などなど。
さらには幼児を持つ母親からの声で始まった、子供を乗せても安全に走れる自転車の開発もあります。

用途に応じた安全な自転車の開発、利用者の安全および利用マナー教育の徹底、それよりも自転車専用道路の設置の方が急務だと思うのですが、少なくとも東京の道路事情をみると、自動車専用道に向けた土地収用は相当ハードルが高そうです。

そこで思い出したのが昨年(2007年)7月にパリで始まったVelib(ベリブ)という大規模貸し自転車システム。個人的にはバイク・シェアリングと呼びたい試みがあります。
パリ市長のドラノエ氏が推進するもので、交通渋滞、大気汚染、温室効果ガス削減、パリが環境に配慮した都市であるとのイメージ増強などを目的としています。

そのシステム内容はワシントンポスト紙によれば、364日、24時間いつでもレンタルスポットで借り出せ、レンタルスポットも美術館や駅などを中心に300mごとに設置されているそうです。

つまり公共交通機関の至らないところをこのベリブシステムで補う、さらにレンタルスポットを駐車場に設置することで(自動車1台分のスペースで自転車4台が駐輪可)自動車利用を抑えるといった目的もあるようです。

欧州におけるバイクシェアリングは1960年代から70年代に始まりましたが、自転車が盗まれたり、壊されたりしたことで消滅。それが近頃の環境問題から改めて脚光を浴びるようになりました。
この30年の技術の進歩が味方して、GPS情報が得られるようする、自転車に広告をつけて資金の一部にする(これは広告付きということで盗みにくいという別の利点もあります)などでシステムの補強ができるようになりました。

パリのシステムを請け負っている広告企業のJCDecauxは、リヨンで実施されている同様のプログラムを運営、壊されにくい頑丈な自転車の開発を行っています。自転車の貸し出し保証でしょうか、ベリブは利用パス発行時にクレジットカード情報を要求しています。しかし自転車をラックから取り出すための利用パスは1日で1ユーロ、1年でも29ユーロと安めになっています。
しかし短時間で自転車返却を行わせるため、実際の利用料は最初の30分は無料であるのの、その後は30分1ユーロですから、1時間利用すると無料時間があっても160円ということになります。

このJCDecaux社はパリ市との10年PPP(官民パートナーシップ)を結んでいます。
その内容は1台13万円程度の自転車とレンタルスポットの全てを用意する(2007年末で20600台、1450カ所)各レンタルスポットには、自転車の状態や場所をモニターする中央コンピューターに接続したハイテク自転車ラックを15-40の設置する。このシステムの立ち上げ費用は約1億1500万ドル(120億円!)かかりますし、10年自転車の修理を行わなければならないうえ年間430万ドル(4億5000万円)を支払う必要があります。

これだけの義務を負って得られるのは、10年間にわある市内1628ヵ所にある同市所有の広告看板の独占管理権とこれから得られる収入だそうです。

利用者はパリ市民なのですが、観光客の利用が予想以上に高かったと伝えられています。
観光名所を重点に300mごとにレンタルスポットがあり、1週間パスが5ユーロで、もし29分ごとに借りては返すで移動できれば、市内の交通費は5ユーロだけということなり、パリへいった際には使ってみようと思わせるものがあります。

いい事ずくめのシステムのように見えますが、利用者からはレンタルスポットが分りにくい(景観に配慮しているため目立たない)バイクを借りたいのにラックに自転車がない、または返したいのにラックが空いていないという報告があります。また頑丈に作られているため、自転車が重い(20kg)との苦情があるそうです。

このシステムを導入する前にパリ市は自転車道の整備をしたのでしょうか?
この種の情報をググッてみたのですが、今のところヒットしません。

日本でこのシステムを導入した場合を想像して楽しんでいます。
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by fukimison | 2008-05-13 22:19 | つれづれ  

Poundbury Project

先日、英国のチャールズ皇太子の財団が英国の伝統的な商業都市を模した土地開発を行うというニュースが流れました。このSherford プロジェクトについては、私も少しお伝えしました。

その記事の中で、このプロジェクトが実施される地域の周辺住民で同計画に反対していた人々が、皇太子プロジェクトとしては第1号のPoundburyプロジェクトを見学に行ったりして、まあ別の民間開発業者が行うよりはいいんじゃないかといったコメントを出しているのを見て、さてPoundburyプロジェクトとはどういったものかを調べてみました。

Poundburyはドーチェスター西部で行われた計400エーカーを対象とした開発で、1988年に同皇太子が著名な都市計画家・建築家のレオン・クリエに依頼しすることで始まったものです。チャールズ皇太子の著作で、近代建築を批判した「A Vision of Britain」に示された考えを基本にして構想され、1993年に第1期(7.5ha)が着工されました。1999年第2期が着工され、10年かけ住宅約900戸、商業スペースが建設される予定です。

当然、The Prince's Foundation for the Built Environment の中にこのプロジェクトに関する記述があり、それには同地の住民の86%が同地に移ってきたことを良かったと感じているとあります。

またPoundbury Media Informationに、自動車利用を極力避け、徒歩で住宅、商店、職場が移動できるように考えられており、現在(2006年)1200人超の人々が住み、約750人が働いているとあります。

開発にあたり屋根の傾斜や煙突といった外観を規制する建築基準が開発されています、
設計や建設作業の質は、自由保有権が販売される以前に各開発業者と結ばれる法的拘束力のある公爵領建設協定書を介して管理され、これにより開発業者が官民であるにかかわらず、同品質の建築物が確保されるとあります。

約40haの用地を4期に分け開発する計画でしたから、15年ほどかけて約半分が建設されたことになります。今後の計画についてメディア・インフォメーションは、はっきりした(日付の入った)計画は示していません。

これらの資料にある写真でみるところ、電柱がたっていなことから共同溝による地下配線が行われているのだと思います(メディア・インフォメーションをざっとみましたが、これに関する記述は見付けられませんでした)他には太陽光発電パネル、ビオトープ、車両速度を抑えるため道路にわざとカーブをつけるなどがあげられています。ということは、ドーセット地方独特の外観を持つ伝統的な住宅+近代的な設備ということで、今度建設されるデボン州のプロジェクトと基本構想は同じといえましょう。

住民の満足度や住民による自主運営は記載されていますが、財政的に健全かどうかは見つけることができませんでした。

両プロジェクトの基本構想は同じですが、違うといえば皇太子のコントロールのあり方が違います。つまり今回のデボンのプロジェクトにおいて、皇太子はまったくコントロール力を持たないそうです。
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by fukimison | 2008-05-12 23:25 | つれづれ