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中国の不動産価格、鈍化の兆し?

中華人民共和国商務部が6月16日にウェブサイトで行った報道によれば、中国の70都市(大規模+中規模)の不動産価格は、今年4月に比して0.9%下落したものの、前年同月比9.2%の伸びを見せたと中国国家発展改革委員会(NDRC)は発表をおこなった。

が前年比で15%超の不動産価格上昇を見せた都市は、ウルムチ、海口(海南省)、寧波(浙江省)、北京や杭州(浙江省の省と)などで、それぞれ22.8%、17.6%、16.6%、15.7%、そして15.2%の伸びと成っている。

中古住宅の価格は前年比8.8%の伸びを見せたものの、4月の伸び率より1.5%下落した。さらに非住宅価格も前年比6.5%の伸びであるが、4月から0.4%下落している。

不動産アナリストの言として、北京の不動産価格伸び率は目覚しいものがあるが、第二四半期に比べ賃貸・販売価格の鈍化を見込んでいると報じた。

一方で6月17日付けのbloombergは、都市部の固定資産投資は今年1-4月で前年比25.7%上昇し、1-5月で5850億ドルに達したと報じています。これはタイ、シンガポール、ニュージーランドの経済をあわせた額以上に相当します。
また不動産投資は前年の1-5月期に比べ31.9%上昇、非鉄金属への支出額は41.5%、石炭のそれに至っては47%も急騰しています。

Bloombergはこの支出を、こここの冬に中国は半世紀最大の大豪雪に見舞われたこと、7万人弱の犠牲者を出した5月12日の四川大地震による復興のため、道路、電力網、工場、住宅の再建を行っているためだとしています。

6月第2週世銀は、食糧およびエネルギー価格の上昇、サブプライム問題により、世界経済の成長は2007年の3.7%に比して今年は2.7%に鈍化するとした発表を行いました。しかし中国への海外の直接投資は、前年の1-5月と比べ55%増の428億ドルと相変わらず設備投資を支えています。

地震復興に加えオリンピック開会を目前にし、中国では休日返上で建設・生産が行われています。この需要が鈍化したとき、そしてこれら施設の維持管理を考えたとき、中国はどうなるのでしょう?

食糧価格が一息ついたことで、5月のインフレは7.7%と鈍化しました。

不動産価格の上昇や海外からの投資額に若干の陰りが見えるとはいえ、中国の状況について各社のアナリストは強気・弱気両面からの分析を行っています。

まだはもうなり、もうはまだなりの局面といえるのでしょうか?
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by fukimison | 2008-06-27 12:03 | つれづれ  

ソウルのエコタウン

石油価格高騰、地球温暖化が原因なのか世界規模で発生する異常気象、そんなこんなで環境対策、環境に配慮した商品の開発が盛んです。日本でも太陽光発電パネルへの助成金がつ復活したりと、風向きが変わりつつあります。

隣国の韓国も日本と同様に、石油・天然ガスなどのエネルギー資源を輸入に頼っており、ちょっと資料として古いですが、2002年のエネルギー資源輸入額は輸入総額の21%にあたる320億ドルにのぼっています。日本のエネルギー消費量が横ばいであるに比して韓国は、年平均6%台で上昇しています。

こんなエネルギー消費大国の韓国で、エコタウンの建設計画が発表されました。
ソウル市庁の発表によると江西区の麻谷地区を世界でも有数の省エネ地域に転換し、「Eco Energy Town for the Future:未来に向けたエコエネルギータウン」とするそうです。

新しい冷暖房システムにより石油や電力の消費量は50%削減されます。さらに最先端の石油使用量を削減する技術が導入され、同地域のエネルギー使用量の40%がリサイクルされる計画です。平均的なビルに対しこの地域の新築ビルは、そのエネルギー使用量を3分の1削減するよう設計することが求められることに加え、10MWの発電能力を持つ太陽光発電施設が建設され、同市の温室効果ガス排出削減に貢献する計画です。

さらに同市は河川の水により生成されるエネルギーを利用するシステムを開発し、韓国の厳冬期において、約23000軒の住宅の暖房が行えるほどのエネルギー源となることが期待されています。
省エネビルは、再生エネルギーのみならず太陽光エネルギーも利用するものとなろう。「エコスクール」は建物の屋上に設置された太陽光発電装置により、建物で使用するエネルギーを賄う計画です。

「未来に向けたエコエネルギータウン」は、エネルギー消費削減に努力する世界中の都市にとり手本となることが期待されています。ソウルは2009年の世界第都市気候変動サミット(C40)の開催都市となることが決定されており、この麻谷地区の事例は、このC40の際に紹介される予定です。

ちなみにこのC40とは2005年に主要18都市の首長がロンドンに集まり、地球温暖化と気候変動について討議したのが始まりです。そしてことしの10月にC40は東京で開催されます。

麻谷地区で開発された施設や技術は、環境汚染削減の一助として市内の新規開発地域で実践される計画です。ソウルは世界でも有数のエネルギー消費が高く、温室効果ガスを大量に排出する都市ですが、これらのプロジェクトは同市を環境に配慮した都市へと転換する積極的な取り組みの第一歩となるでしょう。

韓国は「エコ特区」を指定して温室効果ガスの削減を行うと供に、環境技術の開発を支援するということのようです。一丸となって取り組むと大きな力を発揮する韓国ですが、1年程度の期間でどの程度のエコタウンが建設できるのか、ちょっと時間的余裕の少なさが気になります。
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by fukimison | 2008-06-26 19:08  

ポーツマス・スタジアム

英国ポーツマスにあるポーツマスFCはFratton Park を本拠地とするクラブでFAカップに優勝したこともあれば、日本の川口が以前所属していたこともあるチームです。

このクラブのスタジアムを移転するという話は以前から出ており、これをスイスの建築家ユニットのヘルツォーク&ド・ムーロン(H&deM) が設計するということでした。
このH&deMはプリツカー賞受賞者であり、北京オリンピック・メインスタジアム(鳥の巣)を設計したユニットです。東京にある建物は表参道にあるプラダビル。

彼らの設計による新ポーツマスFCスタジアムの最終案が決まり、またポーツマス市から建設に向けた認可が下りれば建設は2009年にも始まるという記事がBBCに載りました。
(最終案に至るまでのH&deMの設計はこちらにあります。

新スタジアムの建設地ですが、海軍造船所に隣接するポーツマス市のウォーターフロント再開発地で、5haの敷地に新スタジアムの他、住宅エリア、ショッピングモール、娯楽施設が建設される予定です。新スタジアムは36000席を有するものであり、さらにコンサート、見本市、室内スポーツイベントなどが誘致できる1万席のアリーナが計画されています。

この開発計画は、コンサルタント企業のArup社、設計のH&deM、開発業者のSeller Property、当然ポーツマスFC、そして英海軍が係っており、6億ポンドの再開発事業です。

ポーツマスFCの現スタジアムは20200人の収容数しかなく、これにより大幅な集客増が望めます。一方で現スタジアムのあるFratton Park ですが、Seller Propertyグループがショッピングモールや低層住宅を建設し、再開発を行う計画です。
つまりSeller Propertyは、新スタジアムのある再開発地と旧スタジアムの再開発両方をおこなっているわけです。

ポーツマス市議会は、建設地への交通アクセスやショッピングモール建設に関する影響など、解決しなければならない問題はいくつかあるが、スタジアムやアリーナの計画は好ましい者だとしています。

ブラウン政権は住宅建設に力をいれるとした政策をとっていますが、英国はサブプライムの余波で建設・不動産市場が低迷していると聞いています。そうした中、こういった大型プロジェクト案件は地元から歓迎されるでしょうね。建設開始は2009年ですし、実際に稼動し始めるのは2011年ごろでしょうから、その頃にはまだ状況も変わっているでしょうし、プロのすることですから素人が心配する必要もないのでしょうね。
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by fukimison | 2008-06-25 16:48 | プロジェクト  

北京オリンピックの交通対策

8月8日のオリンピック開催を控えて、北京でオリンピックならびにパラリンピック期間中の交通対策が発表されました。

交通渋滞と大気汚染で有名な北京、この汚名を挽回するため中国は国をあげて、北京郊外にあり汚染物質を排出する工場を移転させたり、いろいろと手段を講じてきました。

そしてあと40日ほどに迫った6月20日、大会事務局はオリンピック期間中の交通規制を発表しました。当然これは渋滞・大気汚染緩和を目的としたものです。

まず、7月1日から9月20日までの間、黄色の環境保護ラベル(現行の排ガス標準を満たさない)のある車両および試ナンバーの車両は北京市の行政区域内の走行が禁止されます。

つぎに7月20日から9月20日まで、北京市で登録された車両のうち、ナンバー末尾が奇数の車両は偶数日の、また偶数末尾の車両は奇数日の走行が禁止されます。つまり1日おきにしか運転できないことになり、交通量は半分になります(理論上は)

車両が通行できる範囲ですが、7月20日から8月27日までは、北京市行政区域内の道路に対してだけ規制が課せられますが、8月28日から9月20日までは、第5環状道路内の道路、通行への高速道路、機場高速道路、八達嶺高速道路(上清橋-西関環島の間)、および京承高速道路(来広営-白馬南橋の間)までが対象となります。

この走行規制の対象と成らない車両は、警察、消防、武装警備車両、バス、タクシー、オリンピックゲーム用の許可を受けた車両、北京市の交通管理機関や保安機関が発行した許可証を所持する車両

トラックは6:00-24:00の間、第6環状道路内の通行が禁止される

このあとに大変毒性の高い化学物質の輸送は7月20日からの2ヶ月間、市内通行を完全に禁止する。有害化学物質の搬送車両は奇数・偶数の規制に加え第6環状道路内の通行を禁止する。有害化学物質を搬送する際は、事前に管理機関から許可を得ることとあります。これは今までは事前の届出制がなく、また高毒性物質の搬送車が市内を自由に走行していたということでしょうか?ちょっと不安になります。

また7月20日から9月20日まで、工事廃材を積んだ貨物車両の市内通行が禁止されることから、最後まで施設の手直し工事を行った場合、廃材の処理が出来ないことになります。

いろいろと細かく指定がありますが、これの取り締まりはどうなるのでしょうか?
オリンピックの施設、要人、選手、さらには空港や駅などの警備に加え、市内を通行する車両の取り締まり、人手はあると思いますが、単なる人手ではなく、ある程度の訓練を受けた警備員の配置はなかなか大変なのではと想像します。

そしてこれまでした工場移転や交通規制の成果が、どう現れるのか。
北京のもやがかかったような大気汚染は軽減されるのか、
現実のオリンピックゲームに加え、ゲーム環境も興味をそそります。
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by fukimison | 2008-06-24 14:14  

ダイムラー、電気自動車に乗り出す

原油価格の高騰を原因とした世の中の動き、例えば以前ご紹介した自動車の利用控えによる公共交通機関の乗車率の伸び、英・仏のガソリン税問題など様々です。そうした中、6月18日付けのロイターは、ガソリン価格高騰により自動車利用者が、代替燃料車か電気自動車の利用を真剣に検討し始めたと報じています。

同記事によれば、アナリストはバッテリーをベースにした電気技術、または持続可能なバイオ燃料のどちらを主体にした自動車にしても普及に5-10年は必要であり、どちらが成功するか分らないとしています。また電気でモーターを回し、ガソリンで走るハイブリッド型のプリウスについて言えば、トヨタは1997年の販売開始以来現在までに150万台を販売、米国の自動車販売台数において、2007年にハイブリッド車の占める割合は3%でした。

しかしある自動車リサーチャーはプリウスのようなハイブリッド車は、じきコンセントからの充電オプションのあるプラグイン・ハイブリッド車に追いつかれるだろうとしています。またあるリチウムイオンバッテリーサプライヤーは、代替電気自動車への世界的な転換は30年はかかるだろうとしています。一方ブラジルでは、新車の90%近くが flex-fuel engines(エタノールとガソリンの双方に対応し、ガソリンとエタノールをどのような混合比で混ぜても使えるエンジン)を搭載しているそうです。

しかしトウモロコシやサトウキビから作られるバイオ燃料は、穀類価格の高騰を呼んでいます。さらにいえば、標準的な車両の燃料タンクをE10というトウモロコシによるバイオ燃料で満タンにした場合、そのカロリー量は大人が11日間活動できるカロリー量に相当します。
究極の燃料は水素燃料電池車ですが、これはまだまだ実験段階にあります。

こういった記事を読んでいたもので、6月20日付けの記事「Daimler to offer electric Mercedes in 2010」はちょっと驚きでした。ダイムラー社のツェッチェ最高経営責任者が「2010年にスマートとメルセデスの電気自動車を市場に導入する」と新聞インタビューで答えたとあります。

気になる価格ですが、すでにGMは2010年にプラグイン電気自動車タイプのChevrolet Voltを約3万ドルで販売するとしていますが、ツェッチェ氏は価格は未定であり、また電気モーターを自社で製造するか、どうかも検討中、加えて2010年に燃料電池車のミニシリーズも市場投入を目指しているとしています。数年前にダイムラーは、燃料電池の大手企業、カナダのバラード社から燃料電池開発部門を買収したはずですから、ここでの研究進捗次第ということでしょう。

この燃料電池車市場ですが、この6月からホンダは燃料電池車のFCXクラリティーの製造を始めています。そして7月から米国でリース販売、秋には日本でも開始の予定です。本田は日米二カ国で初3年で200台を目指すそうです。

燃料電池車は水素燃料が必要なはずですが、水素燃料ステーションの配備という供給インフラの確保、車両自体としては燃費というか走行距離に大きな問題があり、実用化は遠いと聞いたことがあります。この本田の広報サイトによれば、クラリティーの顧客第1号はカリフォルニア州の方で、通勤や買い物、子供の送り迎えに使うとありますが、カリフォルニアは環境先進州ということで圧縮水素ステーションがあるのかしらん?

全体としてガソリン価格の高騰は、車の利用を控える、燃費の良い車に買い換えるだけでなく、化石燃料を利用しない=環境に配慮した車両を選ぶという副産物ももたらしたようです。
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by fukimison | 2008-06-23 16:50  

石油価格高騰で湧くモスクワで住宅バブル

6月5日付けのIHTは、大手不動産コンサルタントのジョーンズ ラング ラサール社モスクワ支店長が「石油価格はモスクワのマンション、戸建住宅、そしてロシアの美術品の価格と極めて密接な相互関係にある」と述べたとしています。
これらの価格が上がるにつれ、都市と郊外を結ぶ新しい道路沿いの白樺林の中に、多くのgated communityが生まれているそうです。

モスクワに富の象徴とも言えるgated community出現ですか!
ゲーテット・コミュニティー、ある区画の土地が壁やフェンスによって囲われ、非居住者の侵入を防ぐため出入りが制限された住宅街区。つまり玄関が管理された安全な住宅地。犯罪を恐れる高額所得者が、安全に暮らせる場所を求めたことから始まったシステムといえましょう。
モスクワは犯罪率が高いと聞いていますから、gated community が出現したとしても、おかしくはないけれど、それより安全をお金で買う層が出現したことに注目です。

モスクワにおいてNYのEast Hamptonに当たるのが、モスクワの西に位置するRublyovka や Novorizhskoe。これはモスクワでは風は西から東に吹き、さらに東部には公害発生源となる工場が多いというのが、一因だそうです。このRublyovkaにはプーチン元大統領やメドベージェフ現大統領の別荘もあるとか。

別荘=ダーチャ、ロシアには昔からダーチャの習慣があり、モスクワへ出張した方の話では、日曜の夕刻に空港からモスクワ市内に向かおうとするお、ダーチャから市内の自宅へ帰る車両の大渋滞に巻き込まれるそうです。
それにダーチャは日本人のイメージする単なる別荘ではなく、農場つき田舎の家といったほうが実態に近いそうです。ソビエトからロシアへ移行した際、工場労働者の給与が半年遅配したとかいう話はザラでした。その間、どうやって生活していくかといえば、ダーチャで育てた野菜やジャガイモでつなぐ、つまりモスクワに住んでいても、個々人の生活は自給自足がメインだったという隠れた経済の源がダーチャ。

いまロシアに約350のgated communityがあり、その半数はモスクワから26kmほどのNovorizhskoeに建設されています。このNovorizhskoe地域に開発中のgated communityを例に挙げると、約3ヘクタールの用地に411m2から514m2の6軒のスカンジナビア風の住宅が建設されています。記事に添えられた写真からみても、この記事の別荘は、本当の別荘で、菜園つき住宅とだいぶ赴きが違っています。
気になる価格ですが、300万ユーロから400万ユーロ、1ユーロを160円として4億8000万から6億4000万円です。

これがどの程度なのか、ロシアの平均収入を調べてみました。WEB金融新聞によるとモスクワの平均月収(額面)は8万円、実質月収(手取り)は7万5000円とありました。つまり年収で100万程度ですから、この値段のすごさが分ります。

このgated communityの開発業者に言わせると、Novorizhskoeの地価は3-4年前のRublyovka と同じぐらいの額なので、この物件は大変お買い得なんだそうです。さらにモスクワ西部郊外は地価が急騰しており、場合により地価は5年で2倍か3倍になるだろうとしてます。

モスクワは地盤が軟弱だと聞いています。それから上下水道、電気などのインフラはどうなんでしょうか?つい、そんなことが気になります。この前の香港のコンドミニアムが同じぐらいの広さで30億だったので、安いといえば安い、将来性を考えるとお買い得なんでしょうねぇ。

ここでふとおもったのが、ロシアは土地の個人所有が認められているのでしょうか?
ここも香港やシンガポールと同様に長期の借地権なのでしょうか?
そこでインターネットの強み、ネットサーチしてみると北海道庁のサイトに北海道ロシアビジネス情報館というセクションがあり、ロシアの土地不動産関連法がでていました。

これによると「土地の私有権は1993年のロシア憲法で確立した。ロシア連邦において個人、国家、自治体、その他の形態による所有権は等しく認められ、保護されている」なおかつ「外国人を同等に取り扱う一般的な法律の原則に従えば、外国人も外資企業のいずれもロシア国民やロシア企業と同様の規制をうけることを条件として土地の所有、賃貸借が可能である。私有化に関していうと、外国人はロシア企業や土地・建物をすでに取得している。外国人は土地の所有権の承継も可能であろうし、外国人または外国法人が、土地の所有権、賃借権、使用権を有するロシア企業の全部または一部を所有することも可能であると言える」と続いています。

どなたかモスクワ土地ビジネスにトライしてみませんか?
ぜひ、実態を教えてください。
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by fukimison | 2008-06-21 04:54 | つれづれ  

ルーブル・アブダビ

2007年1月のこと、フランス政府はアラブ首長国連邦(UAE)にフランスの誇る美術館であるルーブルの所蔵美術品・名称さらには専門職員を、UAEの首都アブダビに建設される新美術館に10億ドルで貸与すると発表しました。当然ですが、これはフランス国内で反発・抗議が巻き起こる中、結ばれたものです。

美術館でありながら海外に分館を持つ、このコンセプトで有名なのはニューヨークのグッゲンハイム美術館。同美術館は既にベニス、ベルリン、ビルバオ(スペイン)に分館を設置、さらにはフランク・ゲーリー設計となる美術館をアブダビのサアディアットという島に建設するとしています。

このサアディアット島というのは、今回ルーブル・アブダビが建設される場所でもあり、アブダビが新しい観光名所として莫大な費用をかけ、4つの美術館を建設するプロジェクトを立ち上げています。

アブダビのルーブル館は今年のプリツカー賞受賞者である・ジャン・ヌーベルが設計するもので、そのコンセプトは同氏のサイトで見ることができます。ちなみに同氏の設計で東京にあるものは、電通本社ビルです。もともとパリのアラブ世界研究所(壁面はガラス張りに加えて240枚のアルミパネルが取り付けられている。それぞれのパネルにはカメラの絞りのようなメカニズムが取り付けられており、開閉することで採光を自動調節する仕組みになっている:出典wikipedia)で有名になった建築家です。

今回の設計は伝統的なアラブ都市をイメージしたもので、それがドーム型の屋根の下に内包されていると言った雰囲気のものです。ガラスを多用し、消える建築といわれた彼のイメージとちょっとちがうな、というのが私の感想です。「エレガントな浅いドーム型をした覆いは、直径183mあり、たった5本の柱で支えられるものとなろう」という説明があります。
英国のBuro Happold社がアブダビ・ルーブルプロジェクトの総合エンジニア(構造、建設、土木、防災、保安、音響、ファサード、地質など)として指名されています。

アブダビの島に建設されるということは簡単に考えただけでも、灼熱、砂、潮風に耐えるものでなくてはならない、というきつい制約が入ることになります。

建設は来年の夏に始まり、美術館は2012年にオープンの予定です。

最後にルーブル・アブダビが建設されるサアディアット島の文化プロジェクトですが、まず、このルーブル・アブダビ(ジャン・ヌーベル)、グッゲンハイム(フランク・ゲーリー)、Sheikh Zayed国立美術館(ノーマン・フォスター)、舞台芸術センター、海洋博物館(安藤忠雄)が計画されています。これら文化施設プロジェクトはサアディアット島の開発プロジェクト(30年)の一部として組み込まており、同島とアブダビは新しく建設される2本の橋梁で結ばれる予定です。
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by fukimison | 2008-06-20 12:07 | プロジェクト  

英国の風力発電は原子力を上回る?

先日フランスに行った際、ホテルでテレビを見ていて気付いたことにエネルギー関係のコマーシャルが多いというのがあります。啓蒙コマーシャルとでもいうのでしょうか、ダッチシェルがLNGについての説明CMをながしていました。一番驚いたのはデンマークの風力発電企業のベスタス社がCMを打っていたこと。デンマーク人口の約25%はなんらかの形で再生可能エネルギー産業にかかわっているというだけあり、ベスタスは大企業になったんだと感無量でした。

そんなことを思い出しつつRenewable Energy Focusのサイトを見ていたところ、英国風力協会(BWEA)は風力発電所の設置が進むことで、今後5年のうちに風力による発電容量は原子力によるそれを上回るとしたデータを発表したという記事がありました。
この記事によれば、風力発電はもはや少数派ではない。既に0.5GWが設置され、さらに8ギガワットを発電する計画が進行中だ。我々はもう主流の電力供給者だとBWEAのMaria MacCafferyが語ったとあります。

KW(キロワット)、その上のMW(メガワット)は良く見かけますが、GW?と思いギガワットについて調べてみたところ、「Google、再生可能エネルギーの開発に着手 - 1ギガワット規模を目標」という記事に遭遇しました。データセンターで大量の電力を消費するグーグルですから企業的にも自前の発電所は欲しいということかと思い読み進むと、1ギガワットはサンフランシスコ市の全使用量という記述がありました。数字として考えると1gw=10億kwです。

この記事に関連し、最近ロンドンで開催されたBWEAによる Offshore 08 会議でCrown EstateのRob Hastings理事は「開発業者に向け、2009年夏に25GWの風力発電ファーム区域の入札を予定だ」と述べたとあります。
このCrown Estateは、英国の海岸線から沖合い22km(12海里)までの海底の土地を所有・管理しており、沖合い風力発電施設建設のため、用地を借りようとしている事業者に借地の許可を与えています。

開発地として11の区画が指定され、2009年に事業者に割り当てられると予想されています。各予定地は野生動物、生息地、船の航路および漁業への影響を調査する戦略的環境アセスメント(Strategic Environmental Assessment :SEA)を基にして決定される予定です。Crown Estateと事業者が共同して開発にあたり、事業者は2013年に許可を受領、風力発電の開始は2015年と見込まれています。

いままで風力発電の承認手続きに8-9年を要していたことからBWEAは、これの短縮(5-6年)を求めていました。

Crown Estateは過去にラウンド1、ラウンド2を実施しており、今回ラウンド3となったことで過去のノウハウが利用できることで、この審査プロセスの短縮が行えるようになったようです。

Crown Estateの6月4日付けのリリースによると、このプロジェクトが成功すると、ラウンド3からの発電量が加わることで沖合い風力発電施設からの総風力発電量は、33GWの潜在性を持つことになると結んでいます。

つまりサンフランシスコ市33個分の総使用量を発電するということですね。

これを現実化するのにはいろいろとあるのは分っていますが、それはちょっとおいておいて、この実行力に感動です。
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by fukimison | 2008-06-19 16:19  

不動産市場から見た香港

通信社といえば、元祖通信社のロイター(英)、そしてAFP(仏)にAP(米)ですが、近年では中国の新華社を加えてサーチすればパーフェクトに世の中の動きがわかる(はず)

そんなわけでAFPの英語サイトをみていたら香港からのニュース、Most expensive flat in Asia sold in Hong Kongが目を引きました。(なぜか一瞬のうちにリンク切れになっていたので英ヤフーの方を見てください。これとていつまで残るか。。。)

要約すれば香港のカオルーンサイドでThe Archという超高級マンションが売却された。
80階のペントハウス(建物最上階にある一番よい部屋)で広さは511平方メートル、自家用プール、ビクトリア湾を一望する眺望、屋上庭園を備え、価格は2億2500万香港ドル(2880万米ドル)。1平方フィートあたり4万1000香港ドル(1フィートは30.48cm、つまり1辺約30cmの四角が約57万)で、アジアで販売された高級マンションとしては1平方フィートあたりの単価が史上最高のものだ。
このペントハウスがある超高級マンションは、カオルーン地区西部に建設中の118階建て、484mのInternational Commerce Center(環球貿易廣場)に隣接するという立地の良さを誇っている。
昨年(2007年)11月、香港島で売り出されたものが、1平方フィートあたり3万9800香港ドル(約55万円)の最高価格をつけたが、これを上回るものとなった。
香港の不動産市場は1990年代のアジア金融危機に大暴落したものの、近年はバブル状態にあるという。

この記事を読んでちょっと調べてみました。
この物件の価格を押し上げるもとになったのは、環球貿易廣場に近いという立地の良さらしいことから、まづ環球貿易廣場について調べてみました。

環球貿易廣場は、香港の地下鉄営業者であるMTR Corporation Limitedと香港最大の開発業者のSun Hung Kai Properties が共同でカオルーン駅の上に建設中のUnion Square projectの一部を成すビルというのがわかりました。
wikiによれば、2002年に建設が始まり、2010年に完成の予定とあります。完成時には現在香港で最も高い、香港島の中環(Central)にある高さ415.8mの国際金融中心・第二期(Two International Finance Centre)を抜き、香港で最も高い超高層ビルとなる予定だそうです。

さらにthe arch自体をwikiしてみると、風水の判断からか中央部がない、いわば巨大な門(まさに凱旋門)のような写真がでていました。2005年に完成、住宅建築物としては香港で3番目に高いとあります。

狭い香港ですから、土地を有効に利用としたら容積率を上げる、つまり高層ビルにせざるを得ないわけですけど、日本式にいえば154坪のマンションが約30億、どこか違う気がします。

さらに以前、香港の土地は香港政庁が管理しており、日本のような個人所有というのはない、香港政庁は歳入を増やすため、開発する地域は容積率をあげ高層ビル化し、一方で郊外の土地は開発させない政策をとっていると記事を読んだ記憶があり、これも調べてみました。
小富豪のための香港金融案内というのがあり、これによると香港の土地は99年とか75年の長期リースによる借地権として売買されるとありました。

長期リース式の売買はシンガポールでも行われていますし、75-99年という期間は人が住宅を利用する時間として充分な気もすることから、ほぼ所有権と同じようなイメージがあります。しかし所有権のない150坪のマンションに30億、違和感はさらに広がります。

でもこの違和感は日本人だからであり、香港人の感覚であれば、家に30億かけられる資産があれば、この土地と値段の関係に納得がいくのかもしれません。またそれだけの資産があるということは、家は香港だけじゃないんでしょうし、30億というのも家に対する価でなく、投資物件に対する判断として納得できるのでしょうね。

先日読んだ記事、英バークレイズ銀行が現金、株式、債券、不動産などを合わせた総資産額を試算し、世界50カ国・地域を対象に調査したころ、総資産が100万米ドル(約1億円)を超える世帯の割合が最も高いのは香港の26.4%、2位はシンガポール(23.3%)、3位はスイス(22.3%)、4位はデンマーク(17.9%)、5位は英国(15.6%)というのを思い出しました。

香港は世帯の4分の1以上が1億円以上の資産を持っている計算になりますが、単位面積での割合なので広い国は不利になる、つまりアメリカあたりは出てこないということになります。
この記事の中にバークレイズのコメントがあり、「「香港は世界レベルのインフラを持ち、法人税率も低い。中国本土とも経済分野で密接な関係を維持していることからも、今後10年間はアジアの経済センターとして重要な役割を果たすだろう」とあり、AFPの記事はこれを裏付ける形になっています。

しかし「月収が5,000HKドル(約7万円)以下の低所得者数が2割に達するなど、中間層が減少する「M字型」社会化、貧富格差の拡大は加速している」と続き、これは先進各国でも見られることですが、あの狭いところに多くの人がひしめき合い、格差が広がるというのは、社会的な不安定さという係数も大きくなるわけで、そのあたりが不安材料です。

香港、そして2位のシンガポール、今後どうなるのか、両者の共通点、そしてライバル関係が気になります。
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by fukimison | 2008-06-18 23:55 | つれづれ  

英国のフィードインタリフ論争

英国の建築関係紙をみていたら、エネルギー法案の修正に関する情報が出ていました。

英国のビジネス・企業・規制改革省(the Department for Business Enterprise and Regulatory Reform :BERR)が委託した報告書によれば、マイクロ発電のさらなる利用により英国の炭素排出量は、5%削減が可能だという。さらに同報告書は、設備費に対するフィードイン・タリフ(Feed-in Tariff)または助成金といった多様な政府支援によって、この種の技術の立ち上げが大幅に増加されるだろうと示唆している。
これをうけ国際環境NGOのFriends of Earth(FoE)は、「マイクロ発電により気候変動への取り組みや燃料費の削が持つ大きな可能性の発展に対し、この報告書は政府の失敗を明らかにするものだ。電力の大部分が太陽光パネルや風力発電といった再生可能エネルギーシステムを介して発電されるべきであり、エネルギー法案は、グリーンエネルギー発電に向け住宅、事業者やコミュニティーに割り増し支払いを保証するよう修正されるべきだ」としている。(この修正エネルギー法は、1年以内に英国でフィードイン・タリフの導入を保証するものです)

この記事を見て、BERRのサイトで報告書をさがしましたがそれらしいものは見当たらず、5月22日発行のUK photovoltaics sector: a guide to world-class products and servicesかなぁ、でもこれは太陽光パネルの英国市場ガイドだし、ちょっと違いそうですね。ともかく同書によれば、英国は2050年までにCO2の排出を少なくとも60%削減するとしています。また世界の太陽光パネル市場の収益は2005年の13億ポンドから2009年には29億ポンドに伸び、再生可能エネルギー分野において英国は、米国、スペイン、インド、ドイツに並び、世界でも有数の投資環境にあるとしています。

肝心のエネルギー法案の修正はどうなったかと調べたところ、下院では250対210で否決され、あとは上院次第という状態です。しかしブラン首相の支持母体のうち33人が政府案に反対投票をおこない、ブラウン首相は就任以来最大の反発を受けたとありました。(ガーディアン紙

それよりフィードイン・タリフとはどういうものか?
いわゆる再生可能エネルギー、たとえばバイオマス、風力発電、太陽光発電などの導入促進や拡大を目指すもので、その内容は電力買取り価格の設定、買取期間の保証などを行うことで、システム整備に関わる初期投資を一定期間で回収できるようにする制度です。つまり再生可能エネルギーの導入にインセンティブを与えることで新しい市場を創出しようとするもので、ヨーロッパで広く導入されています。
フィードイン・タリフについての詳しい説明となぜこれが英国に導入されるべきかについてはFoEのサイトで説明されています。

日本からみると波力発電の研究も随分すすんでおり、英国は随分がんばっているように見えますが、それでもいろいろとあるのねと。
NEDOなど良いレポートを出しているように感じますが、出すだけでそれを利用しないというのが日本なんでしょうね。

それで私ごとですが、ちょっと所用のため2週間ほどお休みします。
6月20日あたりから再開の予定ですので、よろしくお願いします。
でも、
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by fukimison | 2008-06-04 12:28