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バターシーのエコタワー計画撤回

景観とインフラのことを考えるブログのはずなのになぜか経済系の話題が多くなってしまいます。これは景観系の記事が少ないというのが最大の問題なのですが、そんななか、久しぶりにロンドンで賛否両論だったエコタワー計画が撤回されたという話題です。

まず2月26日付けのBuilding誌にViñoly’s glass chimney axed from Battersea designという記事がでました。

まずこのヴィニオリ、東京国際フォーラムを設計した建築家です。これでわかるようにガラスを多用するので有名です。そこでガラスの煙突(glass chimney)がなんとなく分る気がします。
つぎにBattersea(バターシー)ですが、これはテムズ川の川べりにある4本の巨大煙突で有名な石炭火力発電所です。石炭火力発電所ということで1982年に閉鎖されまた。

開発業者のTreasury Holdingsは2007年にバターシーを4億ポンドで購入し、40億ポンドをかけ750,000平方mの複合利用を行うバターシ発電所の再開発計画をたてていました。その目玉がヴィニオリによる高さ300mガラスの煙突(透明な煙突という記述もあります)とその下に広がるエコドームでした。ヴィニオリのプランでは、この高さの煙突によりその下のエコドームは機械的な冷却装置を設置せずに、新鮮な大気を取り入れることが可能となるもので、 Treasury Holdings社の持続可能戦略の核となるものです。

しかしこの煙突は計画の中で最も議論をよぶものとなっていました。ロンドン市長のボリス・ジョンソン氏や都市開発担当者は建築家や開発業者に対し国会議事堂や世界遺産のウェストミンスター寺院へ与える影響について懸念を表明し、この計画に反対の意を唱え、建築および歴史建造物保存団体も煙突がロンドンのスカイラインに与えるインパクトについて問題を提起していました。RIBA(イギリス建築士会)前会長は「ロンドンの脅威」とすら評していました。

この計画がCommission for Architecture and the Built Environment(CABE:建築都市環境委員会・デザインレビューやアドバイスについて法的拘束力はないものの、都市プロジェクトに関する助言を行う政府の行政機関)に提出されたのですが、その前にCABEのデザインレビューパネルは煙突、エコドームおよびマスタープランについて大変批判的なことは分っていたことから、この煙突なしの計画がヴィニオリ自身から提出されたそうです。

Building Designにも同様の記事Vinoly's Battersea eco-tower scrappedがあり、その中にそのイメージがありますが、ウェストミンスター寺院の間から見える煙突、これはイカンでしょう。

2008年12月に300mを250mに変更するといっても聞き入れられず、最終的に煙突ナシ、エコドームも規模縮小となった計画書提出です。

とりあえずメデタイ
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by fukimison | 2009-02-27 18:41 | 景観  

世界で最も高い住宅

最近は昨日の記事のように落ち込むニュースが多く、読んでいても正直なところ余り面白くありません。
やはりなにかパッと明るくないとね。
そんな気持ちでいろいろなニュースをみていたら、ロシアの富豪が世界で最も高い家(この場合こそ、マンションというのが正しい)をかったという噂を否定、見たいな記事があり、世界で最も高い家とはと思いちょっと調べてみました。当然のことながら、この高いというのは値段であって家が建っている場所が高地とか超高層マンションだとかじゃありません。

The Most Expensive Journalというオンラインマガジンがあり(今回見付けました)そこにMost Expensive Homes Ever Soldという記事

この記事の出だしがなかなか格好良くて、なにを指して高価な家というのか、その本当の物差しは建築費がいくらかかったとか、いくらで売りに出されたとかではない。結局のところ誰も買わなかったら、いくら高かろうと意味が無い。この記事にある家は素晴らしい実績を重ね、不動産市場の荒波を乗り越えてきたものだ。これらが真に世界で最も高価な住宅といえるものだ。

最初に登場したのがパームビーチにある米不動産王ドナルド・トランプの家で1億ドルで売却。
なんでも2004年にパームビーチの海岸に面した7エーカー(1エーカーは1224坪)を売却金額の半額以下で買い入れ、68000平方フィート(およそ30平方フィートが1坪)の豪華マンションにしたてて売却だそうです。

次に紹介されているのがケンジントンパレスにあるインドの鉄鋼王というのかしらミタルの家で、1億300万ドルで売却。
ケンジントンはロンドンでも排他的な超高級住宅街として有名ですが、購入当時、ミタル氏は7000万ポンド(当時は1億2600万ドル)で購入したと喧伝されました。しかし実際に売買終了時にミタル氏は57,145,967ポンドしか払わなかったことから、いままでに売られた家の中で最も高い家リストに載る栄誉を得たのでした。

ウェストロンドンにあるビクトリア様式の家で1億590万ドル
この家は2006年に開発業者が買い入れるまでは女子校として利用されてており、2008年2月にウクライナの事業家が購入。開発事業者が改築したのでしょうけど、10を超える寝室、地下のプール、ジムにサウナ、ホームシアターに緊急用のパニックルームまで備えているそうです。パニックルームは映画の中だけでなく、現実にあるのですね。

開発業者がいくらで買い入れたのか書いてないのですが、この家だけが事業者もので、他のは個人から個人の売買ですね。そして次に出てくるのが世界で最も高い家になるはずなのですが、いまのところ代金が支払われていなかったりすることから、場合によってはこのウェストロンドンの物件が1位となります。


フランスはリビエラにあるLa Leopoldaで7億5000万ドルで売れるかな?

なかなか逸話に溢れた家で楽しいです。
もともとはベルギーのレオポルド二世が愛人のために建てたもので、フランスのリビエラ海岸を望むマンションです。その後多くの有名人、たとえば、マイクロソフトのビル・ゲイツ、フィアットのジャンニ・アニェッリらが所有。
そしてRepublic Bank of New Yorkの創始者、レバノン人の銀行家であったEdmond Safraが所有したものの、その直後の2003年にモンテカルロの自宅が火災にあった際死亡、現在はその未亡人の持ち物になっています。そして2008年ロシアの富豪Prokhorovが気に入り、手付けを打ったにも係らずその後の金融収縮で後が続かず、本人は買う気はないといっているそうです。

Prokhorov氏は141億ドルの資産があると考えられていますが、リーマンショック以降89億ドルを失ったといわれていますし、それにこんなご時世じゃね、この家だってどうしても必要なものじゃないでしょうし、やめようかと思うのは当然でしょう。

高い値段がつく家は、家自体の豪華さもあるでしょうけど、家が建つ地域や景観、さらにはその家の持つ逸話も値段に含まれているのだなと、改めて実感です。
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by fukimison | 2009-02-25 10:52 | 不動産  

英国、建設不況による建築家失職の記事に反論

建設関係のニュースをいろいろと見ていると、確かに中止・延期になったプロジェクトのニュースは出てきます。しかし着実に進むプロジェクトもあり、逆に言うといままで景気が良いからと必要な検証もされずに「建てたい」という気分だけで進んできたプロジェクトがちょっと待てと、いうことになったように感じます。

必要以上に不景気と言わない、また必要以上に煽らない。どんな状態であっても良い面、悪い面があると、また考えたところでなるようにしか、ならないと思うのも重要だと思います。

先日お伝えしたドバイの記事に、新品同様のポルシェがイグニッションキーを挿したまま空港に乗り捨てられているというのがありましたが、ドバイは日本からの中古車の交易地で、ここから中東に中古車がちってゆくのなら、帰りの船に乗り捨てられた高級車を載せて日本というか中国・香港あたりへ運び、格安の高級車として売り出してみたら良いんじゃないかな?捨てる人あれば、拾う人ありです。

本日の記事も見出しはセンセーショナルですが、内容は少し違います。
スコットランドの新聞・Scotsmanは2月19日付けの記事Half of all architects 'will lose their jobs'でスコットランドの建築家の50%が失業するだろうとという記事を発表しました。

要約すると2008年、スコットランド経済に15億ポンドをもたらした建設業界だが、2009年は様相が変わった。建築家の仕事量は炭鉱で危険を報せるカナリアみたいなもので、建築家の仕事が最初に薄くなり、建築専門家、建設業者そして請け負い業者が続く。
しかしRIAS(Royal Incorporation of Architects in Scotland)会長は、「スコットランドの建築家の大部分は不況に影響されない、保健施設、教育機関や行政の仕事、つまり公共工事に係っており、これが全体の6割を占め、民間の建築は4割であることから、実際はそんなに悪くない」と反論しています。

Building DesignはScotland's poor jobs outlook exaggerated, say Scottish architectsという記事を載せ、RIASの2008/2009調査によると、回答者の半分強が仕事用が増えるまたは同等と考える一方、49.6%は減少すると答えたとあります。でも2006年に20%が民間の医療保険であり、15%が確定給付型年金であったのが、それぞれ5.6%と3.1%になっていることも示しています。これを見るとやっぱり楽じゃないなと思います。

では米国はとみると、2008年12月カリフォルニアを本拠とし460人の社員を抱えるMulvanny G2 Architectureは20%の人員削減、やはりカリフォルニアを本拠とするLPAは20009年初に職員の12%にあたる30人ほどの人員削減を行うと発表しました。
人員削減はサブプライム発祥の地のカリフォルニアだけでなく、米国最大の設計事務所の1つであるピッツバーグを本拠とするPerkins Eastmanはいままでで最大の10%のリストラをおこなっていますし、やはり米国の最大手であるGenslerも10%の人員削減を行っています。

やはりカナリアは鳴いているみたいです。
でも、一般に大手設計事務所の花形建築家は超高給取りですし、これを中級ぐらいにして、全員が仕事量ほどほど、給与ほどほどにすれば、それなりに回るのではと思うのですが、いかがでしょう?
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by fukimison | 2009-02-24 11:53  

バーレーンの風力発電タービンつき高層ビル

風力発電タービン付き高層ビル、なんとも想像し難いビルですし、一体何のことかと思われる方も多いと思います。

百聞は一見にしかず。少し古い記事ですがAlternative Energyの記事Bahrain WTC Wind Turbines Completed にある写真とYouTubeへのリンクをご参照ください。

これはバーレーンに建設された世界貿易センターと同様の双子ビルで、名称も同じWorld Trade Centerです。三角錐をしたビルとビルの間に3基の風力発電用のプロベラがあるのが分ると思います。
このビルとビルとの間を吹きぬける風を利用して羽根を回転させて発電しようとしうものです。
ビル自体は2008年の4月に完成していましたが、このたび2008年8月以来行われてきた安全性および制度上のテストが終わり、担当機関のElectricity Distribution Directorateからお墨付きを得たことで商用運営が始まりました。

NCEの記事Wind turbines on Bahrain WTC start turningによれば、この風力発電装置ですが、直径29mの3枚羽根の風車が3基で構成されています。大規模商用開発に組み込まれた風力発電装置としては史上初のもので、この50階建ての2棟のビルのオフィスが必要とする電力の11-15%を供給するもの(はず)です。それぞれの位置で風速が変化することから、この3基のタービンはそれぞれ違った速度で回転し発電を行うよう設計されています。

The Council on Tall Buildings and Urban Habitat (CTBUH・世界高層ビル協会:高層ビルの企画、設計、建設、運営に携わる専門家間の交流促進を目的として、1969年にアメリカで設立された非営利団体)という団体があるのですが、同団体によってこのビルは2008年の中東・アフリカ地域で最高の高層ビルに認定されています。ちなみに森ビルが上海に建設した上海環球金融中心は、同団体から2008年の界最優秀高層ビルに選定されています。

そうかぁ。ビル風は困り者というイメージしかなかったのですが、こうやって発電でいるとなれば、少しは肩身も広くなろうというもの。なんとなく羽根が回る時やタービンによる低周波による被害、台風により大風が吹いた時の安全性、共振の問題性などを心配してしまいますが、ぜひ日本の高層ビルも、ただ高いだけじゃなく、このぐらい自由な発想をもって設計すると楽しいのにと思います。
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by fukimison | 2009-02-23 14:05  

その後の中東

サブプライムが起きても原油高騰を背景に、中東諸国はつぎつぎにメガプロジェクトを発表していましたが、さすがにリーマン以降、プロジェクトの中止や延期が始まり、ついにはナキールやエマールも人員削減を発表しています。このあたりは以前にもお伝えしています。

市内のあちこちでメガプロジェクトが進み、その工事車両や作業員を乗せた車、商談に向かうビジネスマンに観光客と、近年ドバイは激しい交通渋滞に悩まされていたのですが、この金融収縮のお陰というべきか、微妙ですが、渋滞が緩和したそうです。

こうしたなか、ドバイの近況を伝える逸話で凄いのはENRにあるBoom Turns Into Implosion For Developers in Dubaiの記事です。

突然失職した元高給取りの外国人ビジネスマンは高級車にキーをつけたまま空港に乗り捨て、そのまま帰国してしまうというもの。ある地元の人は「ほとんど未使用のポルシェを25000ドルで手に入れられる」と、政府の乗り捨て車対策について語ったとあります。もっと凄いのは超高級リゾートのパーム・ジュメイラの空室売却インセンティブにベントレーがついているというもの。ベントレー付きのリゾートマンション、よくそんなこと思いつくなぁというのもあれば、それでも買い手がでないというのは、おそろしいです。

日本をふくめ世界各国と同様に、UAEや銀行の発表する数字はどれも前年比××%の減益といった下方修正ばかりです。個人的にはもう少し明るい面を見たら(特に日本のメディア)と言いたくなるほど暗い。

そういった中、いままでドバイは投機で都市開発をしていた。この不況はもっと合理的な計画にシフトする良いチャンスだという声もでているそうです。
当然、値上がりした工費は下がるでしょうし、銀行も適切な貸付を行うでしょう(もっとも日本の経験からするとはずだ、であり、そうとも言えないのが現実)

本当に必要なインフラ開発はここ数年、ブームに湧く建設部門により先手を取られ続けてきており、消息筋はこの停滞した市場がこれらインフラに対し政府の注力を可能にすることを期待しているとあります。

でも常に建設していないと仕事が無い、ゼネコン・開発企業・建築家は仕事をつくることが仕事だし、合理性よりも金額でしょう。

ケインズ理論は破綻したと言われながら、総額7872億ドルのオバマ大統領のアメリカ再生・再投資法(American Recovery and Reinvestment)のうち、約1300億ドルは道路、施設や公共事業に当てられます。

ENRのUnwrapping the Big Packageという記事に建設関係に割り当てられた予算がでています。それによると交通493億ドル、防衛78億ドル、住宅96億ドル、エネルギー306億ドル、施設134億ドル、上下水道および環境201億ドルとなっています。

やっぱり交通大きいですね。しかも幹線道路が275億ドルと半分を持っていっています。
道路よりも鉄道でしょうと思うんですけどねぇ。
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by fukimison | 2009-02-20 15:13 | つれづれ  

史上初の風力発電による南極基地

インフラ好きとしては外せない記事です。
2月17日付けのロイターはFirst carbon-free polar station opens in Antarcticaとして史上初の二酸化炭素を排出しない南極基地がオープンしたと伝えています。

南極は寒い、それもマイナス60度というような半端じゃない寒さ、そして強風、冬に太陽はでない、こういった気象条件によって南極基地はどの国もディーゼル発電で運営されていました。そこに基地が必要とする全エネルギーを自然エネルギーで賄う基地の開設です。

それがこのベルギーのPrincess Elisabeth Stationで、8基の風力発電タービンが設置されています。
ロイターの写真をみるとなかなかSF映画風です。NCEのFirst wind powered polar base opens in Antarticaをみると、この風力発電タービンは気候の厳しい冬季は200mphを越える風速に耐え、また平均53mphの風速下で作動し、基地が必要とする暖房、コンピューター、照明、そして科学機材の230Vの電力を提供するそうです。

利用しているのは風力発電だけじゃありません。
2年の歳月をかけて建設された基地は環境に配慮した建設資材を利用しており、微生物を利用し、シャワーやトイレに使用した水をクレバスに廃棄するまで最大5回再利用することが出来ることなど、基地のエネルギー消費や廃棄物管理技術の最適化を行っている。

タービンに加え、太陽熱や太陽光発電が建物自体に利用され、基地内の給水は雪を太陽熱パネルで融かすことで、ポンプで水を汲み上げるエネルギーの使用を減らしている。

ここまで二酸化炭素の排出を削減しているのは地球温暖化の阻止のためですが、では温暖化により南極の氷が融けたらどうなるのか?

海面は約57m上昇するだろうといわれています。

そして科学者は二酸化炭素の排出を50から85%減らさないと、今世紀の中頃には大惨事が発生するだろうと警告しています。
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by fukimison | 2009-02-18 11:49  

ロシア、冬季オリンピック予算を削減

昨日に続きロシアものの話題です。
石油価格が下がってもアゼルバイジャンはエコリゾート建設発表と元気のよい話題を提供していましたが、本体の方、ロシアは2014年の冬季オリンピック開催地ソチのオリンピック施設建設予算を削減すると発表しています。

昨年夏までは原油価格高騰で資源リッチなロシアは高層ビルの開発計画発表をしたりと土地バブルでした。しかしリーマンショック以降の金融収縮で、ロシアの金融雑誌Finansによれば101人いた億万長者は2008年に49人に減ったそうです。また2007年に1位だったDeripaska氏は総資産を49億ドルに減らし8位に後退し、またチェルシーのオーナーのアブラモビッチは139億ドルで2位だそうです。(2月16日付けBBC

また前年1月に比してロシアの原料の採掘が3.6%減少する一方で、製造業は24.1%急落しています。(2月16日付けBBC

Russia cuts 2014 Olympics budgetという記事によれば、2014年の冬季オリンピクの開催予算を15%削減するそうです。またロシアの報道機関は企業からプロジェクトの入札希望がないことから、地方自治体は入札期日の延期を行っていると伝えています。さらに問題なのは、所有者と売買価格が折り合わないためオリンピック施設建設に必要な用地買収ができないでいることがあります。

そんなこんなで冬季オリンピック開催をソチと最後まで争ったオーストリアのザルツブルグは2008年11月にロシアが予定通りに施設建設を完工できなかった場合に備え、準備していると発表しています。

南アのサッカー・ワールドカップ開催も先行き不安だそうですし、冬季オリンピック、ロンドンだってこの金融状況から暗雲立ち込めています。ああいう大型イベント自体が曲がり角に来ているのかもしれません。
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by fukimison | 2009-02-17 22:34 | プロジェクト  

アゼルバイジャンのエコシティー計画

カテゴリーをプロジェクトにすべきか、環境にすべきか、悩ましいのですが、規模から行ってプロジェクトだろうということで。

アゼルバイジャンといっても直ぐに場所が思い浮かべられる人は少ないと思います。
カフカス山脈の南、カスピ海の西南に位置し、ソ連解体後にアゼルバイジャン共和国となりました。首都はバクー、バクーといえば油田、さらに首都バクー、グルジアのトビリシ、トルコのジェイハンを結ぶBTCパイプラインには日本企業も多く資金参加をしています。
天然資源が豊富、地政学的に見てロシアに近くイラン系住民がおり、さらに宗教的にイスラム系住民が多いとなれば政治的に不安定ですし、富の偏在は当たり前みたいな国です。

そのアゼルバイジャンで行われるエコシティーの建設の詳細記事がNCEに出ました。(Carbon neutral island development proposed for Azerbaijan:2月13日)

この金融収縮期に慶喜のよい話、さすが資源リッチな国です。天然ガスや石油が湯水の国ですが、さすがにご時世を反映しカーボンニュートラル(ライフサイクルの中で、二酸化炭素の排出と吸収がプラスマイナスゼロのことを言う:詳しくはEICの環境辞典参照ください)な都市開発をおこなうそうです。
この記事によると、デンマークを本拠とするBIG Architestsがマスタープランを作成し、コンサルタントのRamboll社が参画するもので、カスピ海に浮かぶ(バクーからフェリー)Zira島に100万平米におよぶリゾートと住宅開発を行うものです。世界ではUAEが進めるマスダール、中国のDangton、スペインのRiojaと炭素中立の都市開発が進んでいますが、この計画はリゾート開発の正確が強く、リゾートは人手を加えずにそのままの姿を楽しむを基本とする私としては、リゾート開発を炭素中立で行うというのが、不満です。

それはともかくInhabitatにある完成CGはなかなかのものです。

この島に建設される建物の冷暖房は島を取り巻くカスピ海に繋がるヒートポンプで行われる計画です。昼間はファサードや屋根に計画的に設置された太陽光発電がプールやアクアパークに給電を行う一方、建物に組み込まれた太陽温水パネルがお湯の安定供給を行う予定です。下水や雨水は集められ下水処理場に送られ、そこで浄化され、灌漑用水にリサイクルされますし、固形物はコンポストされ肥料とし島の表土にします。島を持続的に灌漑・施肥することで、最低限の生態学的足跡で(エコロジカルフットプリント・人間活動により消費される資源量を分析・評価する手法のひとつで、人間1人が持続可能な生活を送るのに必要な生産可能な土地面積)常緑樹の生い茂る熱帯の島の状態を可能とするものです。沖合い風力発電ファームによる風力エネルギーを取り入れることで、Zira島は自前の炭素中立電力が得られるとされています。

飲料水は海水浄化施設を建設して給水するとありますが、脱塩施設は大量のエネルギーが必要となりまた廃熱量も大きいことから、これまで含めたカーボンニュートラルなのだろうか?
その前にどの記事をみても工事費用や予算額、資金調達の方法の記述が無いのですが、この計画は本当に進むのだろうか?
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by fukimison | 2009-02-16 11:04 | プロジェクト  

著名建築事務所にも不況の風

フォスター卿というより、ノーマン・フォスターといった方が分りやすいし、香港にある香港上海銀行ビルの設計を行った人といえば、モット分りやすいでしょう。フォスター設計によるビルで東京で見られるものは、水道橋にあるセンチュリータワービル(大林が建設)で、ブレースが露出しているあたりが香港上海銀行ビルを思い出させます。
その他、シティー(ロンドン)の高層化の先鞭となったスイス・リ社のビル。別名gherkinと呼ばれる40階・180mのビルがあります。

英国を代表する建築家で、1999年のプリツカー賞の受賞者・建築家として有名なだけでなくお金持ちとしても大変有名なのですが、彼の設計事務所、といっても日本人が想像する設計事務所と規模が違います。Foster+Partnersのサイトにあるプロジェクトリスト圧巻です

そのフォスター氏の建築事務所が約350人の人員削減を行うと発表しています。(Guardian/09/02/13)

この記事によれば仕事量の伸びをみせていたロシアやカザフスタン、東欧のプロジェクトを扱っていたベルリンとイスタンブール事務所は完全閉鎖で、他の15都市のオフィスの大部分も職員解雇が予想される。つまり世界の17都市にある事務所のうち2カ所が閉鎖ということです。西ロンドンにあるThameside office(所謂本社です)で働く1000人も大きな痛手を受けるとみられます。アブダビにある事務所だけがまだ伸びており、リストラを免れるだろうとのこと。

フォスター氏が受注していたモスクワの高さ600mのロシアタワーが資金不足から中止になったりと、仕事量の激減が今回の大リストラの主要因です。

記事ではフォスター氏は2008年10月に人員削減の予定は無いと発表していたことから、今回の大リストラは職員に衝撃を与えたとあります。

Building Design(建築士向けの週刊誌)によると、建築士は他のどの職種よりも速いレートで失業手当給付金にサインをするそうです。2008年第4四半期、初めて870人の建築士が失業手当給付金を申請した。これは1年前の6倍の数値を超えるものだそうです。

日本で一番大勢建築士を雇っている企業は日建設計ですが、2007年に1174人いた建築士は2008年に985人と減っています。独立する建築家や他社に転職する建築家もいるでしょうけど、200人近くはいないなぁ。ということで日本の大手設計事務所でもリストラの風が吹いていると想像。どこも大変です。
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by fukimison | 2009-02-13 11:49 | つれづれ  

米州政府ダム安全担当者協会、ダム改修に500億ドル必要

いろいろとニュースがあったので少し古いプレスリリースですが、私たちの生活にも関係する恐れがあると思うのでお知らせです。
欠陥のあるダムの修繕計画への予算を政府に求めているアメリカのThe Association of State Dam Safety Officials (ASDSO:州政府ダム安全担当者協会)という機関は、2009年1月29日にInvestment in Infrastructure:Focus on Damsというプレスリリースを発表しています。

このリリースによれば、high-hazard-potensital ダム(人命にかかわる事故が発生する確率の高いダム)の修繕費用160億ドルを含め、アメリカ全土で修繕が必要なダムの総修繕費用は500億ドルにのぼるそうです。2003年の報告書はhigh-hazard-potentialダムが101億ドルで総額は360億ドルであったことから比べると、大変な伸びというか上昇を示すものとなっています。この160億ドルが必要なHHPですが、公的機関が所有するダムで87億ドル、民間所有のものが73億ドルの割合だそうです。

アメリカ国内には洪水防止、水力発電、給水、灌漑目的のダムを含め85000のダムが規制下にあります。米工兵隊(米国では公共の堤防・水路・ダムといったインフラは陸軍工兵隊の管理下にあり、2005年のハリケーンカトリーナでニューオリンズの堤防が決壊した原因のかなりの部分は工兵隊に帰せられます)が管理を行っている国家ダム統計の最新資料によれば、欠陥のあるダムの数はこの5年間で36%増加したとあります。

この85000あるダムのうち、連邦機関が管理するダムはたった4%だけで、残りは民間や地方行政の所有です。ダムの経年劣化、下流域の開発、ダムの設計や建設基準の進化によって改修が必要になるダムは増え、しかし改修費用は巨額に上ることから官・民を問わず、支払える機関は殆ど無いのが現状です。そこでASDSOは提言として、連邦機関が所有しないダムの維持管理費用の65%を負担する連邦基金とそれを可能にする法令の設置を求めています。

このレポートの最後に米国のダム所有状況の円グラフがあるのですが、民間所有が65%、地方行政所有が20%、ここでもう85%に達しています。さらに恐ろしいのは所有者不明のダムが4%あることです。ダムといっても溜池みたいなのからフーバーダムのような巨大ダムまで含んでいるのでしょうが、85000の4%は3400ですよ。所有者不明のダムというか溜池というか貯水池が3400もある。日本では考えられないことです。
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by fukimison | 2009-02-12 15:42 | 公共財