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日韓トンネル

2009年もあとわずか、年末モードに入り各国のインフラ紙も合併号、休刊になり始めたことを受け、私もちょっと年末年始休暇をいただくことに。
今年最後を飾るのは、こういう内向きな時こそ必要な大花火的インフラ計画です。

その名も「日韓トンネル」 
私知っている中で最も古くからあるプロジェクトは300年ぐらい前に計画がはじまったというクラ地峡運河(マラッカ海峡をバイパスするために、タイとマレーシアの国境あたりに運河を掘るプロジェクト)、ですが、この計画自体も100年前からあったとか聞いています。

この途方も無い計画のフィージビリティー調査が始まるかもという記事が12月4日のテレグラフ紙にSouth Korea plans to dig tunnels to Japan and Chinaというタイトルで登場。

やはり最後はこの記事よね!ということで満を持しての登場です。

記事を要約すると「Lee Myung Bak大統領は大韓民国の西部と日本の九州を結ぶトンネルの経済的および技術的フィージビリティー調査を命じた。80マイルにおよぶ海底トンネルで日本とアジアを直接結び、商業や観光の起爆剤にしようというもの。このプロジェクトの工費はおよそ512億ポンドと見積もられている。この日韓トンネルだけでなく、中国とも結ぶ第2のトンネル計画もあり、これは山東省のWeiheiを京畿道平沢市と海底トンネル(230マイル)で結ぼうというもの。」とあり、日韓に中国まで加わってたトンネル計画とどんどん話しは広がっていきます。

これはいくらイ・ミョンバク大統領がフィージビリティーを命じたとしても、ちょっと眉唾と思ったら、なんと記事の後半に「すでに日韓協力委員会(The Japan-Korea Cooperation Committee)は、この提案に関し学術的・経済的な討議を二日間に渡り開催した」とあるではありませんか!

この記事にもあるように、このトンネル計画は現れては消えています。もし実現すればドーバー海峡トンネルを上回るプロジェクトになりますが、最近のユーロスターの事故に加え、(日韓の場合、トンネル内に2500人を16時間も閉じ込めることにはならないと思うけど)、どうにも経営的になりたたないユーロトンネル社を考えると、夢物語のままにしておいたほうが楽しいですね。

良い年をお迎えください。
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by fukimison | 2009-12-28 11:57 | プロジェクト  

super-prime crisis 2

昨日の米不動産証券reset時における危機を紹介しました。あれからいろいろと考え、昨年のIcelandのdefault騒ぎはどうなったのだろう?ドバイはどのように収拾を付けるのだろうと考えているうち、ちょっとリサーチしてみることにしました。

まずドバイですが、12月22日付けのBuilding誌はDubai World to reveal debt plan in Januaryと題して「Dubai World社は(UAEの開発事業者であるNakheel社の親会社)債権者に対し220億ドルの債務に対するStandstill案の詳細提案を1月初頭に行う」と発表したと伝えています。どの銀行(国)がどの程度これにかかわっているかは11月30日付けのCFD.Netに引用された記事でお確かめください。その中で英国の銀行団がもつ「リスク資産総額」が495億ドルとありました。サブプライム、リーマンで痛んだ英国、さらに痛むことになります。

そこで見付けたのが11月27日付けのDaily Mail紙にでたこの記事Is Britain on the brink of financial armageddon?です。

「2008年、アイスランドはIMFから60億ドルの緊急支援を受け事実上破綻、そして2009年はドバイが480億ドルの返済猶予を申し出た。これら金融危機を最も手ひどく受け、2009年のGDPが5%下落した英国がこれに続くのだろうか?」と記事はあります。

その中で目を引くのが「つい最近、英国有数の企業家の1人が投資資産を現金化した。その理由は彼は英国が破綻の危機に直面していると考えているからだ。」というあたりで、Daily Mailというタブロイド紙であるから話し半分としても、すごい。

同紙がfactとして「金融危機の以前でさえ英国は税収よりも約300億ポンド超の支出過剰に陥っており、その不足分は海外からの借入で賄っていた。予算公約通りに政策を行うために今後3年間において、1年当たり最大2000億ポンドが必要となる。金融危機以前、政府の総債務はGDPのおよそ40%であったが、現在はその60%に登っている」を揚げています。

なんだかすごいというより、信じがたい。

こういう記事を読むと、のんびり美しいインフラとは?なんて考えるより、もっとシビアに長期経済(人口動態を含む)とインフラの関係を考えることが必要なんだと痛感します。
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by fukimison | 2009-12-25 12:19 | つれづれ  

super-prime crisis

インフラと景観をトピックにするブログですが、どうしても避けて通れないのはこれを裏打ちする経済。2008年秋のリーマンショックの原因となったのはサブプライムショック、ということで今までたびたび中東の建設市場や世界各地の不動産情報をお伝えしてきました。

本日の記事ですが、少しづつ囁かれていたいたことがだんだん波紋が広がり現実味を帯びてきたということでご紹介です。(これを紹介することでさらに波紋が広がるのが良いことなのか?悩むところですが、、、、)

まず2009年12月17日付けのBusiness WeekがLuxury Homeowners in U.S. Use 'Short Sales' as Defaults Riseという記事を掲載しました。「金持ちは以前ほど金持ちでなくなった」というコメントと共に「9月の時点で90日以上の遅滞に陥っているローンの割合を見ると23万ドル以下は6.3%、米全ローンは7.4%であるのに比して、100万ドル超のローンでは約12%に達している(2008年の同月では4.7%)」という驚くべき数字が出ています。

そして12月18日付けのWSJはMore Wealthy Default on Their Mansionsという記事でBusiness Weekの記事を伝えています。この記事では「100万ドルを越えるローンの総数は114,000」とあり、これの約12%が遅延かぁと唸ってしまいます。「さらに記事は100万ドルのローンが組める人の多くがこの返済に耐えられるほど金持ちでないか、組むべきでない人であり、どちらにしてもさらに高額物件が破綻するに従い、それらのショートセール(借金の返済に困った人が債権者と交渉の上、担保物権を売却して売り上げを債権者に渡し、その額では全額返済にならないがそれで了承してもらう取引)がより一般的に成り始めるだろう」とあり、優良債の破綻がひたひたと押し寄せている気分になります。

サブプライムショックはプライムという言葉があるから良いように響きますが、ようするに劣後債ですから破綻の確率は高かった。今回は100万ドル超のローンが組める人に焦げ付きが出ているということで、影響はもっと深刻でしょう。リーマンショックで職を失った金融関係者が次ぎの職を見付けられず自宅を手放すというのはあるでしょうけど、ゴールドマンが最高益を揚げたとか、Citiは政府融資を返済したという最近のニュースからするとどうなんでしょうね?

そうしたらありました10月7日付けのforbesのMortgage Crisis Shuffles Toward Fancier Neighborhoodsに「今後3年で1180億ドルの"jumbo" mortgages(借入額が大きく、政府系金融機関の保証がつかない)の金利が固定から変動金利へシフトする」(Credit Suisse First Bostonのグラフ、素晴しい!)とありました。富裕層の多くはoption-ARM(変動金利型住宅ローンやAlt-Aに入っているそうですし、これもサブプライムのようにローン審査に収入の証拠が無くても、または少しだけでOKであり、最初の5年は返済が安く押さえられているのだそうです。そして問題は「これらローンで少なくとも3540億ドルのリセットが真近に迫っている」ことにあります。いままでは住宅価格の上昇があったことで借り換えができたのが果たしてどうなるのか?対岸の火事で終わらないのが嫌ですね。
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by fukimison | 2009-12-24 11:44 | 動向  

最近のチャールズ皇太子

2009年の英国建築界で大きな事件の1つはチャールズ皇太子の「チェルシー再開発介入事件」でしょう。このことは英国の景観論争・開発システムの面から何度も取り上げてきました。(3-6月ごろの記事ご参照ください)
最終的にチャールズ皇太子の行動によりリチャード・ロジャーズ卿設計案は撤回され、付近住民の意見を組み込んだ再開発案が現在検討されています。事業者の一員であるキャンディー社がオーナーのカタールの王族を訴えたり、ロジャース卿が支払いを巡って訴訟を起したりと話題豊富な再開発で、完成までにさらに1波乱も2波乱もあると想像します。

本日はインフラと直接関係無いのですが、年末ということで今年の話題の人の近況ということでご紹介です。

チェルシー問題で勝利したリバウンドでしょうか、チャールズ皇太子の行動or干渉についていろいろな記事が出始めました。その1つが12月16日付けのガーディアン紙に登場したPrince Charles faces fresh meddling claim over letters to ministersという記事です。このリバウンドとしては皇太子の設立した財団がチャリティーとしての資格に抵触しているとした訴えがあり、担当部署が調査したというのが今年の夏ごろありました。

皇太子は環境、農業、建築についてはっきりした考えを持っておられますが、この3年間に大蔵省、外務省、外務連邦省、および教育省といった各省の大臣にあて政策に干渉するような手紙を書かれていたことが発覚したと伝えています。ガーディアン紙が入手した情報によれば、皇太子のアドバイザーも病院の建物やエコタウンの設計といったモノを皇太子の考えに沿った物にするよう政府高官に働きかけたことが明らかと成った。

同紙を読んでいくと、「皇太子が王位を継ぐ気持ちがあるのなら中立の立場を保持すべきだ」という考えが根底にあり、それに抵触するのが問題であり、なぜこういった手紙の存在が明らかと成ったかといえば「情報公開法」だというあたりが、情報公開を求めてもスミで塗りつぶした情報が開示されたと新聞に出る日本人にとってはフレッシュです。

この件は12月17日付けのBuilding誌もPrince Charles faces more 'meddling' accusationsというタイトルで紹介しています。

同誌は「2007年に新首相のブラウン氏が10ヵ所にカーボンニュートラルのエコタウンを建設すると発表した際、皇太子が設立した団体が皇太子が好むネオジョージアンスタイルの住宅設計を採用するよう働きかけたとタイムズ紙が報じた」ことを伝えています。

英政府は皇太子の書状の内容について公開していないものの、英国自由民主党で内政問題担当報道官を務めるクリス・ヒューンは「皇太子は何が起きているか質問する権利を有しているが、それと自分の考えを促すのは異なる問題だ」と述べており、今後の成り行きが注目されます。

当然これに対しPrince's Foundationが何らかのコメントをだしているだろうと思いサイトを見たのですが、いまのところ11月4日のTimesに対するものはありますが、これ以降は(ガーディアンに対するもの)見当たりません。
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by fukimison | 2009-12-22 11:13 | 動向  

スター建築家事務所にもリストラ風

2008年秋のリーマンショック以降、スター建築家の事務所にリストラの風が吹くという記事を2009年2月にお知らせしました。例えばノーマン・フォスターの事務所は350人も削減されましたし、その後の記事で米国の大手建築事務所も10%程度の人員削減を行う計画が出ているとお伝えしました。

そして12月、暮れも押し迫り2009年の総括記事が出る中、12月18日付け英Building誌は
Top global architects lose 10% of staff in 2009というタイトルで「過去1年間に世界の大型建築事務所上位100社が雇用する建築家数は3200超減少し、落ち込みは加速化している」と伝えています。

昨年の調査で上位100事務所全体で30,613人の建築士を雇用であったのが、今年は10.7%減の27,364名であり、この下落数はこの3年で最大のものとなったとあります。記事の中で目を引くのが世界5位の事務所であるHOKの役員の談話です。「たった10%という数字で驚いている。業界全体でみるともっと酷い数字なると想像する。それよりもこれから社会にでてくる建築・工学部専攻の学生が職を得られず、レストランで働いたり、他の業界に就職したりすることになろう。職場を用意できないことが2-3年後、ある程度の仕事を任せられる若手がいないという事態が生まれるのではと懸念している」とあります。

BD誌の2009年版レポートによれば雇用数で見た世界上位5社は1位日建設計、2位Aedas、3位Gensler、4位HOKおよびRMJM

最高益が予想されるのはイスタンブールを本拠とするTabanlioglu Architects

48%が2010年に伸びを、42%が停滞、9%が減少を予想

減少しているものの、以前として北米が最も収益の上がる場所であり、上位10事務所のfee incomeは約20億ポンド

2010年に最も伸びを見せる地域として事務所の53%が中国をあげ、ついでインドがランクインしている。

なんだかすごいなぁ。大型の事務所は年単位のプロジェクトにかかっており短期的な小回りが効かないのがネック。2-3年後に人員構造に問題が出るだろうと解っているのに経済的な問題から是正できそうも無いでいるというのがコワイナァ
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by fukimison | 2009-12-21 15:25 | つれづれ  

カタール、中東で最も素晴しいタワービル

11月19日、ブルジュドバイの完成により高層ビルの高さの測り方が変わったという記事をお知らせしました。この定義を出している世界高層ビル協会(The Council on Tall Buildings and Urban Habitat :CTBUH)は世界を4つの地域にわけ、その地域ごとにBest Tall Building賞を出しています。ちなみに森ビルが建設した上海の上海環球金融中心が2008年度に最優秀賞を受賞しています。
そしてカタールのTornado Towerが中東およびアフリカ地域で2009年度優秀高層ビル賞を受賞したとのニュースが12月16日付けのBuilding誌にTornado Tower named Best Tall Building in Middle Eastとして、また中東の建設情報誌MENAにもTornado Tower: The 'Best Tall Building' in the Middle Eastとして出ています。

MENAによれば「ドーハに建設された高さ200m・52階建てのTornado Towerは、敷地の最適化、資材の革新的利用、省エネ、排気および水消費量の削減を介して自然環境への影響を最小にするよう設計されている」そうです。CTBUHは高層ビルの設計、建設、開発について主導的機関であり、プロジェクトを「高層ビルの向上に貢献し、斬新なアイディアと革新的なプロセスをもたらした」と称しているそうです。

この外見にあります。MENAにあるYou Tubeの画像をご覧になるのが一番ですが、Tornado Towerの特徴は50ものサイズにおよぶ6000枚の施釉パネルが設置された30,000m2の結合カーテンウォールにあります。Wicona製結合ファサードは視界部分用に34mm反射ガラスとフロア間でビル構造を遮蔽する不透明なグレーズが組み込まれており、このパネルは外装のスチール格子を支える役目も果たしているそうです。表面構造が重要な建築上の特徴であり、鉄骨が接合するポイントに設置された照明システム(35000色で構成される照明コンビネーション)は夜間に建物の形を効果的に見せています。台形のパネルとそれらが集まって作り出される角度が、このビルが持つ特徴的なカーブと「砂嵐のつむじ風」現す双曲面の形状をもたらしているのだそうです。

技術的に素晴しいのでしょう。でも美しいかというと少し疑問があります。
それよりも中東地域でグリーンビルの動きが出てきたことに注目すべきでしょう。
COP15で本当の発展途上国と世界最大の外貨準備高を誇る中国が一緒になる。中国は上海の長江デルタで行われているDangtanのようなEco-City実験を行っているかと思うと、石炭火力発電やこれからどうするのだろうと思う山峡ダム、このあたりドバイと似通っているような気もするのですが、ともかく、マスダールにしても次の一手を模索しているように感じます。
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by fukimison | 2009-12-18 12:18 | 景観  

港珠澳大橋着工

インフラを扱うブログとして欠かせないプロジェクトが始まりました。
その名も港珠澳大橋、香港・珠海・マカオを結ぶ長大橋です。
12月15日のWJはChina Builds Bridge to Link Southern Citiesと題し、「中国南部の3大経済を結ぶため、香港、マカオそして中国本土の珠海市と結ぶ長大橋の工事が14日始まった」と報じています。さらに「総工費は730億元(約107億ドル)、うち香港は67億5000万元、マカオ19億8000万元、そして中国政府が70億元を提供し、残りは中国銀行が主導する銀行団による融資で賄われる」とあります。(さすがWJ,資金面が主体の記事です)

12月16日付けのKHLもWorld's longest sea crossing startsとして伝えており、「たった18ヶ月前に最長記録を持つ杭州湾跨海大橋(杭州湾を跨ぎ浙江省の嘉興市と寧波市を連絡・長大橋ニューズレターを参照ください)を完成したばかりなのに、新しく世界最長の長大橋建設が始まった。全長50km、香港・珠海・マカオを結ぶY字型の長大橋は橋梁部分35km、トンネル部分5.5kmで構成されており、2015年の完成を目指し珠海市沿岸に216haの人工島建設に向けた埋め立てから始まった。橋梁は3本の航海路と交差し、また航空機路と交差するため一部トンネル化が行われる」とさすが工事内容が主体です。

これがマカオニュースになるともっと熱狂的です。
China starts building Hong Kong-Zhuhai-Macau Bridge として記事は「この橋梁は最大200km/hの風速、マグニチュード8の地震、300,000m3トンの船舶の衝突に耐え、4つの人工島が建設され、橋梁自体の耐用年数は120年だ。完成の暁には珠江の西岸にある珠海やマカオから東岸の香港までの移動時間は現在の3時間から30分に短縮される」とあります。

WWFはこの建設工事によりこの海域に棲息する海洋生物、とくに中国の国家一級野生保護動物のピンクイルカが危機に曝されていると警告を発しているそうです。
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by fukimison | 2009-12-17 10:57 | プロジェクト  

交通と環境負荷

COP15が開催され、このために用意された報告書があちらこちらで発表されています。その1つにInternational Transportation Forum(国際交通フォーラム)が準備した「Reducing Transport GHG Emissions: Opportunities and Costs. Preliminary Findings」というものがあります。
この国際交通フォーラムですが「世界52カ国の交通大臣を中心に、世界的に著名な有識者・経済人も交え、世界全体にとって戦略的に重要な交通政策関連テーマを1つ取り上げ、大局的な方向性を打ち出すフォーラム 」であり、「2012年には、日本がアジア初の議長国となることが決定しており、今後、本フォーラムを積極的に活用し、更なる国際協力を推進していく」なーんてことが国交省のサイトにあがっております。詳しくはそちらをどうぞ。

その報告書ですが、交通部門は温室効果ガス削減のために大胆な手段を早急に取るべきだ。業界内部で低コストで出来ることがあるし、低炭素技術開発へ向けた大胆で明瞭メッセージを打ち出すべきだ
といった論調です。

これについてはWorld HighwaysもCutting transport CO2 emissionsという記事で紹介しています。

ITFの報告書は「平均気温の上昇を2度出抑えるためには、2050年までにCO2の排出を現状の50%減にすることをIPCCは提唱している」とありますし、WHの記事は「いま何らかの手を打たなければ、全世界のCO2排出は2050年までにほぼ倍になると予想されている」とあり、そのためには「適切なコストでこれに挑戦」できることが重要となります。過去のオイルショックや昨年のリーマンショックによる不況、こういう時は経済活動が停滞するのでCO2の排出も少なくなる。(ITFの報告書にこのグラフがそれをはっきりと示しています)

つまり経済発展は交通量の増加をもたらすが、利用しやすい技術でこの増加を削減レベルにするものがないのが問題。ITFレポートは12の主要な提言を行っています。そのうち目立つ者は「交通部門で低炭素技術開発は難しくハードルの高いものだが、適切な燃料税を伴う省エネ基準がこれに対処する効果的手段となろう。燃料税は交通需要や自動車製造者による技術展開にかかわることからCO2排出に大きな影響を与える。車両登録の差別化または購入税およびfeebate schemes(燃費の悪い自動車に課税し、その収入を燃費のよい自動車への補助に充当する方法)が消費者の省エネ車需要を導く。交通渋滞やスピードの出しすぎを抑えるより良い交通マネージメントがCO2削減に大きな効果を持つだろう。土地利用計画や高品質の公共交通機関促進といった移動性管理政策(Mobility management initiatives)。これらに対する厳格な評価とモニターを政府が行うこと」を揚げています。

日本でもトラックにかかる重量税はありますが、ハマーやローバーを都内で乗り回す人に向けfeebateをかけても良いように感じます。つまりイラクの砂漠地帯や英国の泥炭地帯が移動できる車両で舗装された都内を走るのは、加重に舗装に負荷をかけると共に環境にもかけているのだから、それに対し課税は受け入れられるのでは?
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by fukimison | 2009-12-16 12:30  

ドバイのその後

11月末のドバイショックから約2週間、このブログでも沈むドバイとしてその経緯を海外メディアのタイトルでご紹介してきました。本日もその一環で12月14日付けのKHLがAbu Dhabi steps in to support Dubaiと題してアブダビがドバイの救済に乗り出したことを伝えています。

これはアブダビがドバイワールドとナキールが債務履行が行えるようにするため、100億ドルの政府間資金供与に同意したというものです。ナキール社には今月(12月)に満期となったイスラム債権(これの繰り延べ申し入れで今回のドバイショックが始まった)があり、アブダビの供与により同社は41億ドルの支払いが可能となるそうです。

この件について12月14日付けのBuilding誌もAbu Dhabi pays $10bn to bail out Dubaiとして伝えています。これの副題は「UAE同盟国がドバイの債務支払い支援を歓迎し、中東地域の証券市場は上昇」であり、本文中でもドバイの主要株価指数は10%、アブだびは7%上昇したと伝えています。

いろいろな記事を見ていると、困った隣国を助けるというのはアラブ世界の慣習のようです。でもその程度が違うなぁ。例えばEUはギリシアをどの程度助けるのだろうか?裏側ではいろいろな条件闘争があったと想像しますが、ここまでの金額を出すあたりが違うように感じます。

一方、同日のBuilding誌はPlans unveiled to build hundreds of schools in Middle Eastという記事も掲載しており、この記事によると「2012年までに環境配慮型の学校100校を建設することを含め、アブダビ教育委員会は今後8年から10年のうちに学校を300校建設する計画だと発表した」そうです。この環境配慮型とは水のリサイクルとsolar shading(日射遮蔽)が含まれるとあります。

さらに記事は「サウジアラビアもまた、年間予算の18%を教育投資に充てることを含め、教育施設建設プログラムを優先する計画を発表した」と続きます。同国は今後6年間に90億リヤールをこの教育開発プログラム充当し、うち42億リヤールは校舎の建設および改築に充てられるとあります。ヨルダンでも学校建設プログラムが進むとありますし、中東は教育ブームなのでしょうか?
カタールが欧米の有名大学院や研究施設を誘致していますが、これの延長線上戦略なのかなぁ?
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by fukimison | 2009-12-15 11:03 | 動向  

米、Hudson Tunnel Project

季節外れに暖かかったり、季節並みに寒かったり、地球温暖化の影響かと思ったらそれが捏造という報道が出たり、COP15の対立(世界最大の外貨保有や有人宇宙開発計画を誇る国がどうして発展途上国なのだろう)やイタリアのベルルスコーニ首相が襲われたりとなかなか話題豊富な週末でした。

その中で目立たないけどインフラ好きのモノとして外せないのが米の動き、米の大手コンサルが英国の建設企業買収に乗り出していると言うニュースが流れたり、大型インフラプロジェクトの入札が始まったりと、2008年秋の金融危機を作り出した国が被害が比較的軽く、抜け出すのも速いという皮肉な様子を示しています。

その米国といえばニューヨーク、ニューヨークといえばマンハッタン、マンハッタンは島であり本土へ行くにはハドソン川を渡らなければならない。従って橋かトンネルが必要。
12月10日Yahoo Newsは$583M contract awarded for Hudson tunnel projectとしてニュージャージーとマンハッタンを結ぶ新しいトンネルプロジェクト(87億ドル)において第1号となるトンネル契約がNJ交通委員会で全会一致で決定されたと伝えています。
契約内容は同日の建設専門紙のENRが詳しくBarnard-Judlau Venture Wins $583M Hudson River Tunnel Jobとして伝えています。これによればモントリオールのBarnard Construction社とニューヨークのJudlau Contracting社のJVで、で 全長16,500-ft, 直径27-ftのトンネル(上下1組:平均深度120-ft)建設を5億8300万ドル落札したそうです。

建設は2010年に始まり、工期は4-5年を予定していますし、このプロジェクト全体の完成は2017年が見越されています。2本の鉄道トンネルが完成することで列車数は2倍の48本に(現在ピーク時に23本)、マンハッタンへ向かう利用者数も1日あたり85000人から127,500人へと増加すると見込まれています。

巨額のインフラ投資に対し10億ドルのbudget gap、赤字予算があるときに費用がかかりすぎると批判があったとあり、このあたりはどの国でも同じだなぁと感じます。費用のうち約60億ドルはNYとNJおよび連邦大量輸送基金が拠出し合い、残りは連邦大気浄化プログラムと12億5000万ドルがNJターンパイク利用料値上げにより賄われるそうです。

このトンネル工事ですが、請負業者は一定の設定日より早い完成を見た場合最大1日あたり50,000ドルの報償金が受け取れますが、逆に完成できなかった場合、同等の損害賠償金の支払いに直面するとあります。所謂インセンティブと損害賠償金の人参がぶら下げられた契約になっているようです。またearly completion of certain milestonesと規定日が複数になっていることから、「この日までにこれ」というのが幾つかあり、そのたびに1日あたり5万ドルが支払われるし、逆に5万ドル減らされることもアリと想像されます。

1日5万ドルのインセンティブ、日本で結ばれている公共事業系の契約はどの程度、インセンティブと賠償の組み合わせが付けられているだろうか?
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by fukimison | 2009-12-14 12:36 | 公共財