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Pivot Point by ULI

Urban Land Instituteというアメリカの不動産・都市開発研究を専門とする非営利団体があり、同団体によるインフラレポートがこのPivot Pointという報告書です。そして非営利のULIと一緒になってレポートを作成したのがアーンスト&ヤングという会計士事務所で、このあたりがアメリカらしくて良いですね。

ハリケーンカトリーナの堤防決壊、インディアナの橋梁落下とインフラへの注目が集まっている。さらに経済危機における景気刺激策としてインフラ投資が行われているなかでの報告書であることから、Architect Onlineのニュース欄でも、内容が伝えられています。

同報告書はこの数十年に中国、インドおよび欧州が近代インフラ構築へ向け高額投資を行ってきたのに、米国は反映に安住し、時代遅れの橋梁、道路、交通機関や水道の改修や補修で良しとしてきたしています。さらに米国には総合的なインフラ開発計画が無く、刺激策においても効果的な資金配分になっていないとしています。ULIは行政区を横断的に連絡する交通システムとし交通と土地利用は統合化されるべきだとしています。現在米国は何十年も機能してきた旧来のシステムを振り捨て、将来に向け統合的なインフラ、交通、土地利用を選ぶか、それとも課題を先延ばしし、今までどおりの補修を積み重ねていくか、岐路にあるとしています。といいながらも補修だけで2兆2000億ドルという数字がでています。

executive summaryをざっと見たところ、Change Funding Approaches(vii)が目を引きました全国的なネットワークの金融支援、今まで以上に民間資金を曳きつけ、官民パートナシップを前進させるためにアメリカインフラ銀行を設立すべきだとしていることです。これに加え国庫が枯渇していることから、資金は納税者から利用者にシフトすべきとしています。
このほか人々が職住や旅行先を決める時、費用と選択肢の幅が決め手となる場合が多いことから、総合的計画の進めとして、計画者は交通網や商業施設に連絡の良いコンパクトで歩行者優先の地域開発をおこなうべきだとし、また連邦、州、地元自治体はインフラ政策を一致して管理実施するため、交通、住宅、水道、エネルギー機関の再編成をすべきだとしています。

by fukimison | 2009-05-12 18:54  

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