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チャールズ皇太子のRIBAスピーチ

チェルシー再開発計画に関し、事業者にロジャース案の再考を求めたチャールズ皇太子の記事やこれを干渉として批判した有名建築家のことなどいろいろとお伝えしてきました。

景観に一家言をお持ちのチャールズ皇太子と現代建築家の対立は1984年に同皇太子がイギリス建築士学会(RIBA)で行ったスピーチに端を発します。この時ナショナルギャラリーの拡張計画案をmonstrous carbuncle on the face of a much loved and elegant friend’=我々の親しんだ優雅な友の顔にできたぞっとするような吹き出物と評し、建築家と険悪な関係が決定的に成りました。

それから25年、RIBAが創立175周年記念スピーチを皇太子に依頼し、それが発表された直後にチェルシー再開発に対する皇太子の干渉、有名建築家の意見広告、RIBA記念式典のボイコット呼びかけがあったものの、キャンセルは一件もなく満員の盛況だったそうです。

世間の耳目を集めたスピーチ、いろいろなところで報道されています。
World Architecture NewsはPrince initiates truce at RIBAとして、BD誌はPrince Charles warns of 'gulf' between architects and societyそしてRIBAで皇太子がなさったスピーチ原稿はこちらです。

全体として風向きが変わった、皆大人になったというのが率直な感想です。

皇太子のスピーチは25年前のスピーチを謝罪することから始まり、チェルシー再開発案には一切触れず、また古典的な建築と近代的な建築を比較するのではなく、近代建築にも良いと感じる物はあると率直に述べています。皇太子が環境に配慮した建築を進める財団を組織していることや最近のグリーンビル・持続可能な建築というのがRIBAにおいても重要視されていることから、スピーチはこちらを主眼に置いたものとなっています。といういうものの、重要な本としてアレクサンダーのThe Nature of Orderをあげたり、建築はトップダウンではなく、ボトムアップであること、コミュニティーの気持ちが反映された建築であって欲しい、といった言葉がちりばめられているのが悩ましいところです。

by fukimison | 2009-05-14 11:10 | 景観  

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