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Smart Grid

本日は公共財、それも本筋の送電網のお話です。
送電網といえば一方通行、イメージ的にはダムで発電された電気が日本中に張り巡らされた高圧電流網を通り、中継基地を経由し家庭に届くというものです。たまには太陽光パネルを張った建物で発電された電気が売電されることもありますが、まあ99%は電力会社が売り、消費者が買うという一方通行の送電網でこれはSuper Gridと呼ばれています。

それに対してSmart Gridとは次世代型電力管理網とでもいうのでしょうか、地産地消型電力網を可能にするシステムといったらよいと思います。これの動きについてはCisco、スマートグリッド戦略『Smart Grid Solutions』を発表グーグル、「Google PowerMeter」でスマートグリッド分野に参入という記事を読んでいただくのが速いと思います。

これだけでも大変な記事になりますし、スマートグリッドのシステム内容をお伝えし始めると長大な文になってしまいます。でもお伝えしたいのは日本ではまだごく一部の人の間でしか話題になっていないスマートグリッドが中国で本格的に導入が計画され、新聞で大きく取り扱われているということです。
6月1日付けのShanghai DailyはChina gets smart on power supplyという記事を掲載し、「中国はスマートグリッドを構築する10年プロジェクトを立ち上げた。このスマートグリッドは送電をデジタル期に突入させ、電力供給の安定やエネルギー保全の押し上げに威力を発するものだ」としています。
さらに「スマートグリッドは中国が電力産業の課題に対処し低炭素経済を開発するために必須だ」とするアナリストの意見を伝えています。

2020年の完成を目指し、技術的な基準や計画コンセプトの開発は今年(2009年)から始まるそうです。
中国の送電網は約118万km、その大部分は従来型のもので、これを介して約300万ギガワットの電気が送電されていますが、その減退率は6.6%に達しているとあります。2020年までに中国の電力需要は倍増すると予測されると共に、2020年までに代替エネルギーによる発電の割合を15%にする目標を立てています。そうなると送電網自体が監視・管理システムを持つスマートグリッドの必要性が高くなります。

中国はスマートグリッドに年間680億元(100億ドル)もの資金を投入する必要があるだろうとアナリストは記しています。既に米GE社CEOは訪中を行い、スマートグリッドを含む業務提携の合意を取り付けています。
スマートグリッドはオバマ政権のグリーンニューディールの一環でもありますし、米国ではGEにシスコが参加して中央管理システムを介したメーターの接続、変圧器、デジタルサブステーション、発電機器の総合的システムの構築を行っていく予定です。

2009年1月、中国は中央部で超高圧送電網(640km)の実証を開始し、今のところ安定的に利用できているので、これを2000kmに拡大する計画だと伝えています。中国国営送電網社(State Grid Copr of China)は超高圧(UHV)プロジェクトへの投資を増額し、2012年までに3000億元(当初計画の50%増)を割り当てる計画だそうです。

by fukimison | 2009-06-03 11:19 | 公共財  

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