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建設業における失業率

統計数字はいろいろなものを見せてくれます。
数日前の新聞記事ですが、7月末のオフィス空室率、東京都心で上昇というのが出ました。この記事を読むと東京の空室率は7.57%か、でも景気は底を打ったというし米国もだんだんよくなっているようだからと良い方に考えがちです。しかしこれの元情報・三鬼商事の市場調査報告書を読むと東京の大型新築ビルの空室率は32%ですし福岡のそれは70%台です。

そして本日の失業率のお話ですが、これは米建設専門誌ENR誌が8月10日に報じたConstruction's Jobless Rate Rises in July です。

記事は8月7日に公表された報告書でBLSは、建設業のなかなか上向かない高失業率が6月の17.4%から7月は18.2%にのぼったと伝え、さらに76,000人が失職し、景気後退が始まって以来建設業界で130万人超が解雇されたと続きます。
またBLSは建設業の失業率と全国のそれ(6月の9.5%に比べ7月は9.4%と若干の減少)との大きな格差が続いてることを示した。

この5年で建設業界の失業率最も低かったのは2006年10月の4.5%ですから、いかに建設業界が大変な状態にあるかが解ると思います。この1年で最悪だった2009年2月の21.4%に比べれば良いかもしれませんが、比べる数字が余りに悪すぎます。さらに記事は住宅部門と非住宅部門の失業率を取り出し、7月の住宅部門の就業率は6月のそれに比べ1.1%、前年同月と比べると16.4%も下落している(季節調整済み)。非住宅部門の率は6月の数字より1.3%、2008年7月のそれより13.8%下落しているとあります。今年後半から米国再生・再投資法(the American Recovery and Reinvestment Act)からの資金が道路・水道・下水といったプロジェクトに流入することから大規模建設・民生部門はちょっとは上向きになるかもしれないと続きます。

この記事を読んでいて思いだしたのが8月6日付けの英NCE誌の報じたWorking through the '09 downturnで、これは同誌が行った読者調査といったものです。1022人の回答者の分析といったもので、目を引いたのが、「こんな不況の時代でも回答者の81%が仕事に充実感を感じていると答えているが、しかし24%は今後12ヶ月内での転職を考えているし、また回答者の30%は海外への転職も視野に入れている」の部分です。
少なくとも米国がこのような状態では望み薄ということで、南米・東欧・アフリカ・中東・アジア、どこも経済的、治安的、さらには仕事の進め方にもなかなかハードなものが待っていそうです。

by fukimison | 2009-08-14 11:21 | 動向  

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