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英クロスレール、土砂搬出にテムズ川利用

英国・ロンドンで進行中の大プロジェクトにクロスレール建設があります。これはロンドンを東西に横切る大鉄道工事で地上部分と地下部分(22km)があり、完成するとヒースロー空港からカナリーワーフまで鉄道で行けるようになります。詳しいルートはCrossrail Mapをどうぞ。完成予定は2017年、総工費は1590億ポンドと見込まれています。当初、ロンドンオリンピックめがけて完成の予定だったのですが資金面の折り合いがつかず、遅れに遅れたという経緯があります。

大都会で実施される大プロジェクトの問題点ならではというと、トンネル掘削による土砂搬出があります。Crossrail社が出した9月30日付けのプレスリリースはCrossrail will move five million tonnes of earth via riverというものです。

本日クロスレール社はロンドン港湾局(Port of London Authority (PLA)とトンネル工事により掘削された土砂をテムズ河を利用しはしけ・台船などで運搬することで覚書に調印した。およそ500万トンと見積もられる搬出土砂を道路輸送した場合、50万台のトラック輸送に相当する。

ロンドン市長のジョンソン氏も中心部を走るトラック数を抑えられると絶賛です。
確かにトラックに比べはしけの利用は1、トラックよりも大量の土砂が1度に運べる、2、トラックに比べはるかにCO2の排出量が少なく、地球温暖化に良い、3、交通渋滞を引き起こさないといった利点があります。

ジョンソン氏はさらに「クロスレールは少なくとも200億ポンドの経済効果や14000人の雇用を生み出すだろう。ロンドンの経済発展にとり重要であり工事の進展を歓迎する」と述べています。

欧州最大の建設プロジェクトといわれるクロスレール建設において約730万立方メートルの土砂が掘削されると見込まれます。730立方メートルの土砂はハイドパークとケンジントンガーデンを合わせた底面に高さ3mの土砂が積み重なるのと同様だそうです。(日本だと東京ドーム××杯ぶん、というのがハイドパークですか!)掘削された土砂のほぼ100%が汚染されていないだろうと予測されることから、再利用が可能だと見込まれます。このプロジェクトは土砂搬送において水運と鉄道輸送を最大利用し、プロジェクト監督はKMあたりのトン輸送の85%が鉄道と水運のみでおこなわれると見積もっています。

このリリースを伝えるNCE誌Crossrail confirms plans to move five million tonnes of spoil via Thamesは野鳥保護協会と協働で、この掘削土砂400万平方メートルをEssex州にあるWallasea Islandへ運び、この50年で欧州最大となる湿地保護地域を作り出すものとして利用される予定だそうです。

東京もねぇ、江戸時代の掘割が残っていたら随分違うのに。

by fukimison | 2009-10-01 10:57  

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