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米、風力発電事情

昨日に続き本日も米国記事の紹介です。

昨年11月に米沖合い風力発電開発レポート、12月に米、五大湖エリアで風力発電所建設に向け第1歩と題した記事を紹介してから約半年、各地で計画中の風力発電はオバマ大統領の意図どおりにはなかなか進んでいないようです。

まず4月29日のUS.INFRAはUS's first offshore wind farm draws criticismとして「米国で第1号となる沖合い風力発電計画はオバマ大統領の再生エネルギー構想にもかかわらず、苦戦を強いられており、驚いたことにケネティー家からも批判を浴びえている」と報じています。
この計画はマサチューセッツ沿岸の沖合い5マイル、24平方マイルの海域(マンハッタン島とほぼ同じ面積)に高さ400フィートの風車群を建設し、40万世帯に配電可能な能力を持つ巨大風力発電ファームを建設しようというものです。事業者はCape Wind Associatesという民間事業者で、建設により1000人の雇用が生まれるとしています。

マサチューセッツ沿岸の沖合いというよりマーサズビニヤード島の沿岸と言ったほうがある意味解りやすいと思います。このマーサズビニヤード島(Martha's Vineyard)は米北東部でも有数の避暑地であり、歴代大統領がというよりケネディー家の別荘があり、ジャクリーン・ケネディー、シュワルツネッガーの夫人となったマリア・シュライバーもここで結婚式をあげたはず、というようなスノビーな島です。

という特殊な事情もあり、これに反対する人々の意見は「タービンが見苦しく、観光産業にダメージを与えるだろう」さらには「タービンは野鳥、鯨、漁業、航行、史跡だけでなく、不動産価格にも影響を与える」というものです。

もう1つの大型プロジェクトである五大湖の風力発電もUS Infraは5月27日に、Great Lakes wind farm coming soon?という記事を掲載しています。

こちらはエリー湖に5基のタービンを建設し、2012年までに20mWの発電を行おうというものです。これが第1期であり、最終的には2020年までに1000mWの発電を行うとしています。

地球温暖化の観点から総論としては歓迎される計画であっても地元民は「タービンが目障りであり、騒音、特に強風時に激しい騒音」が発生するとして反対しています。

おそらく低周波も発生するでしょうし、NIBYなのはわかります。

しかし最近のメキシコ湾での石油流出事故はこの計画にとり追い風ではと、感じます。

特にFirst Companyが掲載した沖合い風力発電と石油流出事故の対比図Nantucket Windfarm vs. Gulf Oil Spill, Which Impacts the Environment More? は風力発電ファーム建設におけるポジティブ面を強調するものとなっています。

けっして再生可能エネルギー発電(太陽光・風力・潮力)に反対するものではありませんが、「低周波や目障りである」というフレーズは個人的な問題であり、特に目障り(景観)は主観の問題だからといわれ勝ちに感じます。例えばブレードにぶつかる渡り鳥問題(バードストライク)は風力発電も渡り鳥も風が吹く道が必要ということで、そこに風力発電ファームを建設する以上、避けて通り無い問題です。そして現実として発生するだけに議論展開しやすい。しかし景観は主観(美しいという人もいる)だからという理由で議論しにくい。数字的なもの、実際的な現象面を重視することがもたらす弊害が取りざたされている今日この頃、もう少し、それはちょっとねぇというものも同じように捉えて欲しいものです。

by fukimison | 2010-06-02 11:54  

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