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スイスの環境政策

本日はSwis InfoからSwiss Heritage Societyが発表した持続可能性エネルギーに関する方針説明書を中心にお送りします。

まずHow green energy could inherit problemsは「多くの人々は風力発電は景観の中の汚点だと受け止めているし、その近くに住む人は騒音に悩まされている。太陽光パネルは新しいビルの屋上に設置するのは良いが、教会の尖塔に設置したいとは誰も思わないだろう」として、5月19日にSwiss Heritage Societyが発表した方針説明書を紹介しています。

持続可能な開発は重要ですが、それと同じぐらい景観や建物の保存も公益として考えられる必要があるというのが趣旨です。

この中で例として上げられているのが化学企業Lonzaによる太陽光発電パネル設置FSです。バーゼルの中央駅近くの本社ビルの屋上に試験用太陽光パネル設置し、経済的に可能であれば本格設置を行おうと考え、これについての相談を担当局に持ちかけたところ、却下されたというものです。その理由として191960年代に建設された同社のビルは市のランドマークであり、保護に値するので認められないというもの。(日本人にとり1600年代ならともかくですが)
最終的に市の建設局長が「許容できるデザインでれば可能であり、他のビルオーナーも設置を検討して欲しい」ということでFSは認められたとあります。

ついどちらか一方の意見が強くなり勝ちですが、持続可能エネルギーの推進と景観・建築物保全は二者択一ではなく、両者を上手に成り立たせることとしている点が、欧州、スイスだなぁと感じます。

もう一ついえば、6月1日付けのChina to use Swiss expertise to monitor damsも面白く感じました。

スイスのエネルギー政策において水力発電が55%を占め、世界1のダム密度を誇る?国です。ダムが決壊すれば簡単に集落に至り大災害を引き起こすことから、ダムの運営、維持管理(補修)に関する規制は大変厳しい。そこで過去のダム決壊事故や現在では山峡ダムをはじめとし、26000ものダムを抱える中国はスイスとモニタリングシステムについての同意書に署名を行ったのだそうです。つまりスイスはダムの維持管理やダム建設時に移住を余儀なく去れる人々をどのように再定住へ導くかといったノウハウで、お商売を行うということです。

デュッセルドルフ空港の運営会社はフィリピンの空港管理にノウハウを提供するという記事を数年前に読んだ記憶がありますし、上インフラをどのように維持・管理・使いまわしてゆくか、総合的インフラ利用がこれからのトレンドになるのでしょうか?

by fukimison | 2011-06-06 14:56  

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