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パナマ運河浚渫入札

パナマ運河はスエズ運河を建設したレセップスが建設に着手したものの、地形的問題、環境的問題が山ほどの難工事で途中で断念。その後紆余曲折をへてアメリカが完成し、管理してきました。
たしか熱病で死亡した作業員だけでも、万単位だったと記憶しています。

パナマは基幹産業といえば、この運河だけといっても過言ではないでしょう。
なぜなら、人口の8割がなんらかの形で運河に係ることで生活をしており、国家歳入の9割が運河の通行費用だったと思います。

完成から90数年が経過し、船舶の大型化はパナマ運河が通行不可能な船舶、いわゆる「ポストパナマックス」のタンカーを生み出してきました。ちなみにポストパナマックスは南米最南端のホーン岬を航海して太平洋と大西洋を行き来します。

中国へ向かう貨物船の増加、パナマ運河に対抗しメキシコがインターモーダルの港を建設するといった動きから、パナマ運河第3閘門建設が計画されたのですが、総工費52億5000万ドルの巨費をかけるべきか否かで2007年に国民投票が行われ可決されました。

これをうけ、まず太平洋側の入り口を浚渫することになり、近頃その入札結果がでました。
この入札には3社が参加、ベルギー企業が1億7700万ドルで落札したのですが、入札参加企業をみていたら、オランダとベルギーの企業しかおらず、スエズ運河の浚渫を行った日本企業は参加しなかったのですね。

それはともかく、大型船舶が通行可能な幅に運河を拡幅するということは、単なる掘削土木工事ではなく、太平洋側と大西洋側の高低差を克服するために閘門があるのですが、この閘門を満たす水が大きな問題となっています。

船が航行するたびにガツン湖、ミラフローレス湖からの大量の湖水が閘門を満たし、その水は最終的に大洋へ投棄される。

両湖はパナマ国民の水源としても利用されているだけに、飲料水の欠乏を危惧する声、水量低下による漁業不振、なによりも太平洋と大西洋の海水が混入することによる環境への影響不安が叫ばれていました。そのため第3閘門は節水型のものとなり、排水される水量は今までに比べれば僅かになります。

パナマ政府は2014年のパナマ運河開通100周年までに、この拡幅工事を完成するとしていますが、今回入札が行われた太平洋側の浚渫に加え、大西洋側の1400万立方メートルの浚渫、拡幅プロジェクト自体で5000万立方メートルの浚渫が必要となるだけでなく、全長427m、幅55m、水深18.3mの閘門で仕切られた区画室の建設と、先は長そうです。

by fukimison | 2008-04-17 14:52 | プロジェクト  

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