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英重大詐欺局、英企業海外支店の不正行為摘発へ

本日はインフラでも都市景観でもないニュースを取り上げ、いろいろと考えてみることにしました。このニュースは英建設専門誌のENRに載ったSerious Fraud Office to combat corruption overseasを元に、Ethical Corporation の特集記事などを読んでみました。

まず最初に重大詐欺局(Serious Fraud Office:SFO)ですが、この局は日本の検察庁特捜部に相当する部局で、2008年4月に局長となったRichard Alderman氏が精力的に不正摘発をおこなっており、8月にはもう海外での不正摘発を行ったそうです。9月、同氏は国外での不正行為に対し、米国式の司法取引を活用する計画を発表。当初、この方針に懐疑的であった企業も理解を示し、自ら不正摘発、防止に努めるようになってきているとのことです。

またSFOの不正対策チームの捜査官を65人から100人へと、50%を越える増強を行う計画です。人数の増強と司法取引の活用、捜査の手が入るのを待たずに、自ら不正を発見した際に申し出る、これにより罪や罰金の軽減が行われる、さらには再発防止の制度改革、セミナーにトレーニング、これを読みながら英企業の国外支店では、目に余る不正行為が海外で行われているのかしらと。でも英国だけじゃないでしょうとも思います。

当然これらの記事に英国の大手兵器企業のBAEシステムズのことが出てきます。兵器を政情不安な外国に売り込むということは、もう賄賂の二文字が大きく浮かび上がります。2006年に大きな事件となったサウジアラビアのアル・ヤママ取引では400億ポンドの資金が賄賂として送られたという噂もありました。この事件は政治的な配慮により途中終了となりましたが、SFOにとりBAEの捜査は非常に重いものであり、近頃24人のうち13人が海外不正摘発ユニットを組み、兵器製造者の海外事業、特にタンザニア、南アフリカ、チェコ、ルーマニアでの活動を注視しているようです。

全体としてSFOはイラク侵攻以前の16の海外不正事件と3つの石油・食糧交換契約に関し、捜査を行っているとあります。

これは兵器産業だけど、建設でいえばイラクで復興支援を采配しているハリバートン社だって似たようなものでしょう。日本でよく言われるのはODAでダムを建設したけど、貯水池となる土地に住んでいた農民の補償が出ないとか、立派な施設が建設されたものの宝の持ち腐れ的になっているとかあります。社会の成熟による不正に対する嫌悪に加え、今までのような右肩上がりの経済が望めないのは確かなことから、こういう世界にも変化の兆しが現れているように感じます。

by fukimison | 2008-11-19 11:17 | つれづれ  

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