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ジンバブエと中国

なかなか低開発状態から抜け出せないと言われていたアフリカ諸国ですが、南アは2010年のワールドカップサッカー主催にむけインフラ整備を行っています。内実はともかく、世界大会が主催できるほどの国力がついたともいえるでしょう。

また大慶油田などがありながら近年の経済発達を維持するため、アフリカから石油を輸入している中国は、石油確保と同国の影響力を強めるためアフリカ諸国に支援を行っています。これに関しては、スーダンやチャド支援に対する米国の反発などが新聞紙上などを賑わしています。

そんななか、ジンバブエで4月中旬に総選挙が行われたのですが、いまだに選挙結果が公表されません。つまり対抗勢力の方が得票を獲得したことから揉めているのです。同国は80年代にムガベ政権が独裁政権を樹立、お定まりの腐敗政治をおこない、公式インフレ率は160,000%と、思わず指を折って数字を確かめるほど。ある記事によれば、5日毎に通貨価値を半減させるに等しい数字だそうです。

対外債務の総計は25億ポンド(5191億)にのぼり、当然返済も滞っていることから世銀やIMFから追加融資も受けられず、適正な維持管理が行われない国内インフラは、悲惨を通り越して、皆無に近い状態になっているそうです。

じじつ返済が滞った2000年以来世銀は同国への融資を停止しており、2007年7月現在で同国の延滞金は2億6600万ポンド(552億)にのぼっています。

こういう話を読むと、世銀や欧州復興開発銀行(The European Bank for Reconstruction and Development:EBRD)が発行する債券を組み込んでますから大丈夫ですと、新興国のインフラ投資ファンドを高利回りといって勧める証券会社を信じてはいけないとつくづく思います。もっとも証券会社というより、WBやEBRDなら良いかと信用するのがいけないとも言えますが。

ジンバブエの道路網は1950年代から60年代にそれなりのレベルで建設されたものの、道路省は道路に出来た窪みを塞ぐことしかしておらず、再建が必要な状態。
また首都ハラレの上水道も、50年代から60年代に建設されたものであり、断水は日常茶飯事であり、漏水率は40%にのぼると伝えられています。

ムガベ独裁政権に代わり新民主政権が樹立されれば、ジンバブエには必要とされるインフラ事業は山ほどあり、世銀・IMFや英国の国際開発庁は緊急支援パッケージの準備を始めているようです。

仕事はある、資金は来る、しかし現地にはそれだけの仕事がこなせる業者がいない、となると国外からの業者が請け負うということになります。

モザンビーク、ザンビア、ボツワナで中国企業はどこにも負けないような安い金額を提示し、南ア企業や現地の請負業者を打ち負かし、受注に成功しています。

受注に成功しても資金欠乏により停滞する事業が多いようですが、中国はアフリカ諸国との関係強化という長期戦略があるため、そのあたりは動揺しないことから、今回のジンバブエのプロジェクトもおそらく、大部分を中国企業が受注すると見られています。

中国は開発途上国と見なされ京都議定書のCO2削減対象国に入っていないとか、いろいろあるのですが、そのあたりの差し引きはどうなのでしょうね。
中国4000年の知恵、お上手ということなんでしょうね。

# by fukimison | 2008-05-03 15:50 | つれづれ  

Sherford Project

英国のチャールズ皇太子は建築・景観に関心が深く、Prince's Foundation for The Built Environmentという財団を設立し、伝統的かつ環境に配慮した建築・都市計画の教育や実践につとめていらっしゃいます。

その財団がマスタープランを行った開発が、デボンのSouth Hams District 議会により承認されたことで、始まることになりました。

プロジェクトは、Sherfordとよばれるプリマスの郊外に建設されるもので、2020年の完成を目指し5500軒の新築家屋、あわせて67,000平方メートルの事業および商業スペース、小学校3校、中学1校の建設が予定されています。

実施面に関しては、Red Treeという開発業者やRoyal Bank of Scotlandからなるコンソーシアムが支援を行うそうです。

チャールズ皇太子の財団がマスタープランを行うのですから、当然今時の開発とは異なり、「the logic of a traditional market town」を基本構想に据えているそうです。

日本人には伝統的なマーケットタウンの考え方といわれても、良く分らないのですが、、The Architects' Journal のイメージを見ると低層のタウンハウスを主体とし、緑覆率も高く、外壁も煉瓦などで建設された街区のようです。

事実デイリーメール紙の記事を読む5階より高い建物は建設されないとあります。

さらに街区の一部は車両の通行が禁止され、街の周囲に建設される400エーカーの駐車場には風力発電施設が建設されるなどして、Sherfordの全エネルギーの少なくとも半分は、再生可能エネルギー源(風力、太陽光パネルなど)により配電され、CO2の排出量も建築基準法の規定より60%低くし、英国で最も環境に配慮した街にする計画だそうです。建設資材も半径50マイルの地域から調達されるそうです。

二酸化炭素の排出削減のため、住宅、商店、職場がそれぞれ徒歩圏内に建設されることで車両利用を減らし、上下水を含め全廃棄物はリサイクルされる計画です。

どうも外見は18-19世紀の英国田園都市風景でありながら、その内部や施設は超近代的技術を屈指するということのようです。

環境に配慮した建築、伝統的な英国風の街区、その土地固有の植生を重視した植栽を行うとしても広大な野原をコンクリートで覆うわけですから、このプロジェクトが提案されて以来、近隣の町村を主体に3000を超える反対意見が寄せられたそうです。設計プロセスの一部を担うように要請されたことで、反対意見は消えたと伝えられています。

いわゆる開発業者と地域住民の相互理解というか、調和・協調的開発の道が開けたということでしょうか。

この反対する人の意見を意訳すると「慣れ親しんだ自然がなくなるのは大変腹立たしいが、設計構想を知るにつれ、いままでに郡議会や地元の開発業者が建設してきたものに比べれば、ましだということで、まあ納得した」ということのようです。

皇太子・財団・物を言う・実践・エコは社会資産となるか、なかなか興味深い角度に富んだプロジェクトとなりそうで、追いかけてみたくなります。

# by fukimison | 2008-05-02 22:13 | つれづれ  

メッシーナ海峡大橋

2-3週間前の話ですが、イタリアで総選挙があり元EU議長であったブロディ氏を破り、前首相のベルルスコーニ氏が首相に返り咲きました。

これによりイタリア半島とシシリー島を結ぶ、メッシーナ海峡大橋プロジェクトが生き返りそうな様子を見せています。

つまりベルルスコーニ氏はこの巨大プロジェクト推進派であり、前回政権担当していた末期に、このプロジェクトの入札が行われ、プロジェクトが始動しようとしたとき選挙で破れたという経緯があります。後を引き継いだ建設反対派のブロディ氏は、費用がかかりすぎる、耐震性への不安、マフィアの関与があるなどとして2006年に見直しを決定しました。

しかしこのたび、三度首相を務めることになったベルルスコーニ氏は、およそ47億ユーロにのぼる同プロジェクトの復活を早くも支持者に語ったと伝えられています、

完成すれば最大スパン(主塔間の距離)33000mの吊橋となり、日本の明石海峡大橋(1991m)を抜いて、世界一の橋梁となります。

これほど大きなプロジェクトになると、橋床、橋脚などの鉄骨やケーブルの納入によって世界の資材市場に混乱をきたさないよう、事前に他の大型プロジェクトとの調整を行ったりします。また入札を行うにしても、これだけのプロジェクトに参加できる企業は資金・技術の面から限られており、その企業がどういったコンソーシアムを組むのか、などなど興味は尽きません。
確か、2006年に入札が行われたときは、事前にイタリア政府からこのプロジェクト監督母体となるメッシーナ公団(Stretto diMessina)が各国を回り、入札参加への調整をおこなったと記憶しています。

入札の結果、2005年10月に同公団は、イタリアのImpregilo社が主導するコンソーシアムを落札者としました。同コンソーシアムには石川島播磨重工業も参加しており、2012年の完成を目指すはずでした。

ここまで進んだプロジェクトがいわば中止になるということで、当時のプロディ政権はコンソーシアムから違約金の支払いを求められたりしたのではないかと思います。

こういった状態になったプロジェクトを再開するというのは、どうなのでしょうね。

生まれ方に問題を抱えたプロジェクトは完成しても批判的な目で見られることが多く、一部の人々にとり必要であったとしても、その部分に光が当たらず、なんとなく後ろめたい雰囲気があるように感じます。

イタリア本土とシシリー島を結ぶというアイディアはローマ時代から存在したそうです。
またシシリー島は本土に比べ、経済的な発達が遅れており、そのため交通インフラが必要とされていました。しかしフェリーで2時間、また飛行場も完成し、同島の農産物は空路欧州北部へ運ばれるようになり、本当にこの橋梁が必要なのか疑問視する声も上がっています。

日本のアクアラインや本四架橋の例もあり、予測どおりに交通量があるとは限りません。

個人的には、どんなに道路を整備したところで渋滞はなくならないし、渋滞のピーク時にあわせた建設を行うことは、ピーク時以外は収益性が上がらないことを意味しますし、予測のための計測を行った時期、計画、建設、完成には相当なタイムラグがあることから、予想通りにならないことの確率の方が高く感じています。

先進国において必要不可欠な道路、橋梁、トンネルはもう出来上がっており、今言われているプロジェクトは、あればよい、なくても大丈夫の程度のような気がしています。

# by fukimison | 2008-05-01 22:21 | プロジェクト  

列車事故

新華社によれば28日の早朝、北京から青島に向けた列車が脱線し、そこに煙台から除州へ向かう列車が衝突したことで、少なくとも66名が死亡し、247名が負傷するという列車事故が、山東省のツーボー市(畄博(「畄」は「さんずい」に畄)郊外で発生しました。

山東省では1月にも、北京から青島へ向かう高速列車が鉄道作業員の中に突っ込み、18人が死亡、9人が負傷したという事故が発生していたと伝えられており、今回の事故は今年になって2番目の大型事故ということになります。

日本でも作業中の一団に列車が突っ込むという事故がないわけではないですが、18人が死亡というのはちょっと聞いたことがなく、またこの時の作業というのが軌道の移設中だったというのがちょっと信じられません。

今回の事故原因は、新しいスケジュールで列車が運行される初日であったことが上げられていますが、映像をみると列車は大きくカーブしたところで軌道を飛び出し、土手にぶつかったように見受けます。

いろいろな情報ソースをみていると、この線路は1897年に敷設されたものというのがありました。
今年の北京オリンピックのとき青島がヨットの会場となるため、北京-青島間は高速列車による接続が行われ、そのため廃線となる予定だったという報道もあります。

この報道だけをみていると、古い線路による維持管理問題、時刻表の変化に対応しきれなかった信号ミスや乗員の勘違いということになります。

この数年間、中国は1000億ドルを鉄道に投資してきました。
その代表的なものがチベットのラサへ至る青蔵鉄道でしょう。経済発展を押し進めるため、これらの鉄道網は世界で最も過密なスケジュールで運行され、また乗車率も過密だといわれています。

過密スケジュールというのなら、ラッシュ時の山手線や中央線のダイヤの方が過密だと思います。それでも列車の衝突事故の記憶はありません。
日本で最近発生した大型列車事故は2005年の福知山線の事故でしょうが、報道で知る限りでは、過密ダイヤも問題の一部であったようですが、どちらかといえば人災のように感じられます。

チベット問題に加えこういう事故があると、オリンピック運営はどうなるのかしらと、不安になります。

# by fukimison | 2008-04-28 23:05  

学校の統廃合-3

学校の統廃合とは直接関係ないのですが、昨日、隣の町に住む友人と話していて驚いたのは、彼の住む町の町会(1-3丁目まであり、この区では住宅地域です)で、今年の事業活動について会議があり、敬老の日に高齢者へ配る記念品について話し合われたそうです。

一般に65歳以上がお年寄りというくくりになっていますが、これだと750人超にのぼり、町会財政としては厳しい、したがって、今話題の後期高齢者になる75歳以上の方々に配ろうということになったそうです。
しかし10歳伸ばしても、600人ほどいらっしゃるそうです。

数学的に考えれば、長命になればなるほど死亡率が減るのは当然で、10年先を見ても半減しないというのは、なんというか喜ばしいというのか、当たり前というのか、難しいところではありますが、まあ、そういうものでしょうとしかいえません。

問題は新入学児童にも記念品を配ろうということです。こちらの人数は、敬老記念品を受け取る方々の人数からゼロが1つおちます。

つまり、75歳以上の年を重ねた方と7歳になる子供の人数に10倍の開きがあるということです。

住宅地域といってもこの10年でマンションが多くなり、町会に加入なさるお宅も減ってきています。また古くから住んでいらっしゃる方は町会に加入されていますが、子育てに向く地域とは余りいえないことから、新しく越していらっしゃる方にお子さんのある世帯が少ない、代替わりの際は相続税支払いのため、売却されることが多いため、子育て世代は引っ越さざるを得ないなどなど諸事情があり、町会加盟世帯という枠内のこととはいえ、この10倍の差というのは恐ろしいです。

人口減による弊害の記事が新聞紙上を賑わしていますが、どこか他人事に感じていました。しかし自分の住んでいる地域の人口構成を見せられると、近い将来ではなく明日のことと実感されます。

# by fukimison | 2008-04-25 10:56 | 公共財